まもなく1年　終わらぬウクライナ侵攻　どう終わらせる？【風をよむ】サンデーモーニング

まもなく1年　終わらぬウクライナ侵攻　どう終わらせる？【風をよむ】サンデーモーニング｜TBS NEWS DIG

ロシアによるウクライナ侵攻から2月24日でちょうど1年となります。戦争が終わる兆しはいまだ見えてきません。

■虐殺の街ブチャに壁画
ウクライナ・キーウ近郊の都市ブチャ。市内の建物には、こんな絵が…

「STOP」の道路標識に、「戦争」という文字を入れる少女―
たき火で身体を温めながら、「助けて」と訴える少年―

イタリア人アーティストが描いた壁画です。

ここブチャでは、去年3月末のロシア軍撤退後、少なくとも市民458人の遺体が見つかりました。ロシア軍による大量虐殺と報じられ、国際社会に大きな衝撃が広がったのです。

一刻も早い戦争の終わりを訴える壁の絵。しかし、この戦争にいまだ終わりは見えません…。

■長期化する戦争
プーチン大統領（去年2月24日）「特別な軍事作戦を始めることを決めた」

去年2月24日に始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻。ロシアの圧倒的な軍事力によって、戦闘は短期間で終結するかに見えました。ところが…

ゼレンスキー大統領（去年2月）「武器は置かない！私たちの国を守る！」

■双方に多くの犠牲
国連によれば、ウクライナでは2月12日までに、民間人7199人が死亡したとしていますが、ウクライナ側は徹底抗戦の姿勢を崩していません。

ゼレンスキー大統領（2月15日）「ウクライナが勝利に向かっていることを確信できる春にしなければならない」

一方のロシア側も、17日のイギリス国防省発表によれば、ロシア兵の死者が4万から6万人の規模に達したとされ、被害は甚大です。

■戦争はいつまで…
にもかかわらず、ロシアの独立系世論調査機関が1月に行った調査によれば、軍事侵攻が今後半年以上続くと予想する人は68%。

さらに侵攻を続けるプーチン大統領の支持率も82%に達するなど、ロシア国内で停戦に向けた機運は高まっていません。

「プーチン氏の頭脳」と呼ばれる極右の思想家、アレクサンドル・ドゥーギン氏も、「この戦争にどのような終わりがあるか」という問いに、ロシアの勝利か、核戦争による世界の終末かの二択だと語ります。

ドゥーギン氏「ウクライナは存在しなくなります。（ロシアが）勝利するか、人類滅亡になるかの二択です。三つ目のシナリオはありません。我々が勝利しなければ、止まることがない…」

■代理戦争の様相
「泥沼化」「長期化」の様相を見せる今回のウクライナ侵攻。その要因について、歴史学者の油井さんは…

油井大三郎　東京大学・一橋大学名誉教授（国際関係史）「ロシアは核兵器を持った大国ですので、ウクライナの抵抗はそんなに強くないと言う風に甘く考えていた、一種の大国のおごりが作用していた。もう一つは、民主主義対権威主義というようなイデオロギー対立の中で、代理戦争的な性格が強くなり、結果として非常に戦争が長期化している」

そうした例の一つとされるのがベトナム戦争。南ベトナムを支援するアメリカは1965年から北ベトナムへの爆撃に踏みきり、超大国アメリカの
参戦で、戦争は早期に終結するかに見えました。
　
ところが、北ベトナム側の徹底抗戦に加え、ソ連・中国といった東側の援助もあって戦局は泥沼化。本格介入から8年後の73年にアメリカはようやく撤退します。

またソ連による1979年のアフガニスタン侵攻も、親ソ連政権を支援するソ連側に対し、アメリカなどが反政府ゲリラを支援する形で介入。

米ソ超大国が関わる東西両陣営による代理戦争の様相を呈し、ソ連撤退までに10年もかかったのです。

今回のウクライナ侵攻も、「ロシア対欧米」の構図を見せる中、その終わりはどのようなものになるのでしょうか―

■ロシア人捕虜
ウクライナにあるロシア兵捕虜収容施設。ここで捕虜となった戦闘員に話を聞くことができました。1年を経ても終わりの見えない戦争について…

捕虜の男性「何も悪いことをしていない子どもやお年寄り、民間人が死んでいる。この戦争が何のためなのか分からない…」

■どう終わるのか
ではこうした戦争が、いつどんな終わりを迎えるのでしょうか。

油井大三郎　東京大学・一橋大学名誉教授（国際関係史）「ある時点でこれ以上戦争は続けられないという局面は登場してくる。その時に、ロシアとも友好関係にあるトルコとかインドが仲介する形で和平会談が行われる、それを国連がバックアップするというのが一番現実的な可能性がある。戦争というのは始めるのは簡単だが、終わらせるのはとても難しい…」

いまだ終わりの見えないロシアによるウクライナ侵攻。今も、多くの命が失われ続けています…

ウクライナ男性「戦争はまだ終わっていないことを思い出してほしい」

（サンデーモーニング2023年2月19日放送より）

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