『ひとつの賭けではあります』賃上げした経営者の覚悟 中小企業で従業員もビックリ(2023年2月9日)
『賃上げ』が話題になっていますが、日本で働く全従業員の約7割が勤める中小企業は、なかなか踏み出せません。そんな中、経営者が『お金の使い方』を変えてうまく回りだしたという企業や町工場を取材しました。
京都に本社がある「わかさ生活」。健康食品を研究開発し、主にネットなどで販売しています。
(わかさ生活 松浪宏二副社長)
「『ブルーべりーアイ』が主力商品になっておりまして、瞳の健康成分が1粒に24種類入っております」
従業員はパートを含めて約150人。物価が高騰する中、従業員の生活を支えるために、「生活応援手当」として去年2回に分けて計40万円を支給しました。ただ、今年は単発の手当だけでは不十分と判断しました。
(わかさ生活 松浪宏二副社長)
「現状25万円の基本給だったものを5万円アップしました。また、パートの皆さんには時給を一律200円アップしました」
予算規模としては年間で数千万円。将来のための貯えなどを当てるそうです。人件費に対するこれまでの考え方を変えました。
(わかさ生活 松浪宏二副社長)
「目先の人件費にとらわれることなく、これは先行投資だと思っておりますから。会社がやっていこうとしている方向に一緒になってついて来てほしい」
給料アップはうれしいのは当たり前ですが、ほとんどの従業員は最初、驚きをもって受け止めました。
(社員)
「『うわ!うれしい』いうのが第一でした。大企業の(賃上げの)情報は知っていたので、まさか自分の会社もしていただけるというのに対してすごく驚きと感謝の気持ちでいっぱいでした」
(パート従業員)
「子育てにもお金がかかるので正念場だなと思っていたところなので、これからも頑張っていこうという気になりましたね」
大阪府八尾市にある町工場「高由金属」。金属を加工して半導体の検査機械などの部品を作っています。工場の移転がきっかけで、去年、5人のベテラン従業員が辞めました。「移転だけが辞めた理由なのか」と経営者の高島小百合さんは気にかかっていたことがありました。
(高由金属 高島小百合取締役)
「何か不満なり、いろんなことがあったんじゃないかと思いまして。やっぱり給料ももう一度見直そうと」
去年8月、辞めた従業員に支払う予定だった給料を原資に、全従業員一律3万円の賃上げに踏み切りました。会社が始まって以来、初めての賃上げでした。
(従業員)
「最初明細を見た時に間違っているんじゃないかなと思って社長に言いに行ったくらい。結構驚きましたね」
現在の従業員は22人。辞めた5人の仕事量をカバーし合い、生産性も上がったうえ、逆にミスも減ったそうです。
(従業員)
「前までやとちょっとうまくいかないときに、もうこれくらいでいいかなってなっていたんですけど。自主的にもうちょっとこうしたらうまくいくんじゃないかなと考えられるようになった」
「お給料が増えたらそれだけ使おうかなってなりますもんね。やっぱりちょっといいものを食べに行こうかなとか、そういうのは増えましたね」
思わぬ効果があった賃上げですが、そこには経営者の決断と覚悟が必要なようです。
(高由金属 高島小百合取締役)
「儲かっていて上げるんやったら全然いいと思うんですけど、決してそういう訳ではない中でなので。本当に難しいですし、ひとつの賭けではあります」
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