“渋谷のシンボル”東急百貨店本店 最後の一日…55年の歴史に幕 跡地に高層複合ビル(2023年2月1日)
最先端の文化と流行を発信してきた東急百貨店渋谷本店が、55年の歴史に幕を下ろしました。開店当時の映像には、高度成長にわく昭和の日本の姿が記録されていました。
■“世界の要人”も度々訪れ…55年の歴史に幕
別れを惜しむため、駆け付けた大勢の人たち、見守る瞳には、涙が見えます。半世紀以上にわたって愛された、“渋谷のシンボル”。最後の一日を追いました。
1月31日、東急百貨店本店の前には、開店前から行列ができていました。
娘（50代）：「昔からありますから。いつも楽しみで、買い物に来ていました」
母：「（Q.きょうが最後ですが？）さみしいです」
店内では、ラストセールが行われました。運動靴を試着する女性は、幼いころから家族で頻繁に買い物に来ていたといいます。
娘：「7階の文房具売り場とか、小さいころは毎週来ていて、すごく楽しかった」
東急百貨店本店が開店したのは、昭和42年。当時、日本列島は、高度経済成長の真っただ中。若者が集う渋谷という街にありながら、都内有数の高級住宅街「松濤」の近くという立地を生かし、高級ブランドを手厚くそろえ、周辺の富裕層を取り込みました。
“鉄の女”の異名を取った、イギリス初の女性首相、マーガレット・サッチャー氏や、去年亡くなったイギリスのエリザベス女王、その一人娘・アン王女など、世界の要人も度々訪れました。
55年にわたって、最先端の文化や流行を発信してきた東急百貨店本店。再開発の一環として、その歴史に幕を下ろすことになりました。
■常連客“おすすめ”で「買った物でハズレない」
東急百貨店本店 コンシェルジュ・上野直美さん：「やはり、ショックでした。『本店なくなってしまうのだな』とさみしく感じた」
客の要望に応じて、最適な商品を提案するコンシェルジュとして働く、上野さんです。
上野さん：「93年に入社しましたので、もうすぐ30年になります。一回のお買い物で、お洋服だけでも100万円以上、高価な時計だったりすると1000万円以上。お金持ちの方は、こういうのを買うんだなと、先輩と話したのを覚えています」
この日は、常連のお客さんの最後のお買い物をアテンドします。
上野さん：「（Q.お二人は何年くらいのお付き合い？）2014年から」
常連客：「8年半か、9年弱くらいですね」
最初のオーダーは、親戚の子どもに渡す、入社祝い選びです。
上野さん：「おすすめなのが、こちらのセットになっている商品。ベーシックなモノがおすすめ」
上野さんは豊富な知識を生かし、プレゼント選びを手伝います。
上野さん：「いくつか見ましたが、この柄が一番素敵かなと思いまして、ご提案させて頂きました」
常連客：「上野さんの一押しなら、こちらで」
上野さん：「一押しは、こちらでございます」
入社祝いは上野さんのおすすめ通り、チェック柄のネクタイに決まりました。
常連客：「上野さんの一押しで、買った物でハズレがない。買い物だけでなく、空間とかも含めてデパートっていいなと。我々の世代だから、思うのかもしれないけれど。（閉店は）残念で残念でしょうがない」
“デパ地下”で手土産用のお菓子を買って、本店での「最後のお買い物」は終了しました。
常連客：「さみしい…」
上野さん：「私がお客様に色々相談事に応えて、あれこれとオススメするなかで、それ以上にお客様から学ぶことがとても多かった。さみしい気持ちはあるが、これから良い意味でスタートが始まると、前向きに捉えている」
■最後は大行列「本当にさみしい」「人生の一部」
最後の時が迫るに連れて増え続ける人。店の入り口前だけでは収まらず、道路を挟んだ反対側にも人があふれます。そして、ついに…。
東急百貨店 本店・稲葉満宏店長：「長い間、東急百貨店を支えて下さった皆さま。本当に、どうもありがとうございました」
街の人：「本当にさみしいです。ずっと通っていた所なので、（子どもたちが）赤ちゃんの時から。屋上で遊ぶのも楽しかった。いつも行くジュース店のお姉さんに、『最後来てくれてありがとうね』『元気でね』と言われたら、うるっとしちゃいます」「（Q.もうなくなっちゃうんだって？）さみしい」
娘（40代）・母（60代）：「渋谷で生まれて育って、お母さんと一緒に結婚式の時に、ティアラを買いにアクセサリー売り場に行ったりとか。人生の一部だったので、本当に感謝の気持ちでいっぱいです」
跡地に建設が予定されているのは、地上36階・地下4階の高層ビル。商業店舗、ホテル、高級賃貸住宅などが入る予定で、2027年の完成を目指すということです。
（「グッド！モーニング」2023年2月1日放送分より）
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