【解説】変わる緊急地震速報…長周期地震予測情報が追加『週刊地震ニュース』
高層ビルなどを大きくゆっくりと揺らす周期の長い揺れ、長周期地震動の予測情報が2月から緊急地震速報に追加されることに。テレビや携帯でも速報されますが、どのように備えればよいのでしょうか。震度との違いは。長周期地震動階級とは? 社会部災害担当・中濱弘道デスクが解説します。【週刊地震ニュース】
■宮城・福島で震度4の地震 29日は東京・神奈川でも震度3
今月23日から29日までの期間、震度1以上の地震が19回発生しました。このうち震度4と震度3の地震が1回ずつありました。
▼25日午前10時頃、宮城県石巻市や福島県相馬市、浪江町(なみえまち)で震度4を観測する地震がありました。震源は福島県沖で地震の規模を示すマグニチュードは5.1、震源の深さは55キロでした。2021年2月と2022年3月にもこの付近ではマグニチュード7クラスの大きな地震がおきています。地震活動が活発な地域ですので引き続き注意が必要です。
▼29日午後9時20分ごろ、関東地方で震度3の地震がありました。神奈川県と東京都、そして栃木県宇都宮市で震度3となりました。震源は神奈川県西部でしたが、深さが150キロとかなり深い地震でした。
■2月から「緊急地震速報」にも追加、長周期地震動とは
大きな地震がおきると周期が長い大きな揺れが発生することがあります。通常の地震は震源に近いところほど大きく揺れますが、長周期地震動は震源から離れた場所、地上はあまり揺れていなくても、高層ビルの上の階では大きく長く揺れる特性があります。キャスター付きのイスなどが大きく移動することがあり、固定していないコピー機などは勢いよく動いて周りの人がけがをすることもあります。
高層ビルでの長周期地震動による揺れの大きさは震度では表現できないため気象庁は4つの階級に区分した「長周期地震動階級」という別の指標で被害の状況を解説しています。
▼階級1 つり下げたものが大きく揺れる。
▼階級2 何かにつかまらないと歩くのが困難な揺れ、書棚の本も落ちます。
▼階級3 立っていることが困難で固定されていない家具が大きく動いて転倒することもあります。
▼階級4 はわないと動けないほどの揺れです。固定されていない家具が動き回って、ぶつかれば大けがをすることもあります。
2011年の東日本大震災の時、観測された長周期階級は東京都心では「階級4」、大阪市でも「階級2」でした。将来、発生する可能性が高い南海トラフ巨大地震では関東から九州地方の太平洋側の広範囲で「階級3から4」の揺れが生じると想定されて特に高層ビルの多い3大都市圏では大きな被害となることが懸念されています。
■緊急地震速報
2月から緊急地震速報の対象に追加される「長周期地震動」の予測情報ですが、そもそも緊急地震速報は最大震度5弱以上の揺れが予想される地震が発生した場合、震度4以上の揺れが予想される地域を対象にテレビや携帯電話などを通じて強い揺れへの警戒を呼びかけるものです。気象庁などが技術開発を進め長周期地震動の予測が可能になったため、緊急地震速報に追加されることになりました。
気象庁は「長周期地震動」の予測情報が緊急地震速報で発表された場合も通常の地震と変わらず、強い揺れに備えて身の安全を守る行動をとってほしいと呼びかけています。
(2023年1月30日放送)
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