厳冬期のウクライナ　市民が凍えるなか“ウクライナ疲れ”も…　ロシアは寒さを武器に？ 【風をよむ】サンデーモーニング｜TBS NEWS DIG

厳冬期のウクライナ　市民が凍えるなか“ウクライナ疲れ”も…　ロシアは寒さを武器に？ 【風をよむ】サンデーモーニング｜TBS NEWS DIG

ロシアによるウクライナ侵攻から10ヶ月。ロシア軍は、発電所などインフラ施設への攻撃を続けていて、ウクライナ市民はいま、過酷な生活を強いられています。

■過去にも“冬将軍”でロシアが有利に

降り積もった雪の中、うつむき加減で歩く兵士たち。19世紀、フランスのナポレオンによるロシアへの遠征を失敗に追い込んだ厳しい寒さ。それは当時、「冬将軍」と呼ばれました。

いま、「冬将軍」に見舞われているのが、北海道より北に位置し、氷点下10度にまで達するウクライナ。その寒さで、数百万人が命の危険にさらされているといいます。

■インフラ攻撃で市民は寒さと暗闇の苦しみに

キーウ近郊ボロディアンカ。ロシアによるインフラ攻撃で、電気が途絶え暖房機器が使えない中、住民は、服を何枚も重ね着して、寒さに耐えています。

住民「とても寒い。服を何枚も着ないと寝れません」

また大規模停電が発生したオデーサ州では、街は暗闇に覆われ、市民たちは懐中電灯を頼りに反射材を身に着けて歩きます。

さらに首都キーウでも…

ウクライナ保健省心臓研究所ボリス・トドロフ所長「本日、こんな状態で心臓の手術を行っています。人工心肺装置を使った手術です。停電になってもヘッドライトを使って手術を続けています」

14歳の少年の心臓手術を行っている最中に停電が発生。非常用のバッテリーを使って、なんとか手術を終えたといいます。

■越冬のための支援は日本からも

こうした状況の中、人々が厳しい冬を越せるよう、国際社会からは支援の動きが起きています。

激しい攻撃を受けた建物の壁に描かれているのは、覆面アーティスト「バンクシー」の作品です。

バンクシーはウクライナ支援のため、自らの作品50点を販売すると発表。売り上げは発電機やヒーターの購入などにあてられるといいます。

また12月13日には、ウクライナへの支援を議論する国際会議がフランスで開かれました。

フランス・マクロン大統領「会議ではウクライナが冬を越せるよう具体的な支援を導きたい」

48の国と、24の国際機関が参加したこの会議では、およそ1450億円にのぼる支援が表明されました。

また日本でも、ウクライナの冬の寒さへの支援に動き出した若者たちがいます。

日本全国から不要になった防寒着を集め、ウクライナへ送り届ける準備をする学生たち。その中にはウクライナからの留学生の姿も。

彼らは2022年10月、ウクライナの避難民を国境付近などで支援するボランティア活動に参加。帰国後は、日本からできる支援活動として、今回のプロジェクトを立ち上げました。

「StudentCharityforUkraine」三宅大生代表「何もせずにはいられないと。現場を肌で感じた僕たちが何かやらなきゃいけないという衝動はありました」

■厳しい寒さのなか“ウクライナ疲れ”の動き

冬に備え、より支援が必要な状況の中、懸念されているのが、いわゆる“ウクライナ疲れ”です。

11月、ワシントン・ポストは、アメリカ政府がウクライナに対し、ロシアとの交渉に前向きな姿勢を見せるよう、水面下で促していると報じました。その際にアメリカの当局者は、こう発言したといいます。

「一部の支援国で『ウクライナ疲れ』が現実のものとなっている」

実際、戦争の長期化にともない、一部の国からは、こんな意外な声が…

11月、チェコで起きた数千人が参加した抗議デモ。食料やエネルギー価格が高騰する中、政府が自国よりもウクライナ支援を優先していると訴えました。

デモ参加者「なぜウクライナ人に、われわれのお金を与えるんだ?こちらの負担になるじゃないか」

■市民が凍えるなか「ロシアは冬を武器に」

ウクライナ侵攻が長引き、“支援疲れ”ともいえるような動きが広がる一方で、ゼレンスキ―大統領は…

ゼレンスキー大統領「敵は本気で冬の寒さを武器にしようとしている」

ロシアがインフラ施設を攻撃することで、ウクライナ国民は寒さと暗闇の中での、苦しい生活を強いられています。まさに、冬の寒さを「武器」として利用しているというのです。

ウクライナへの侵攻開始から、まもなく10か月。防寒着を送るプロジェクトに参加しているウクライナからの留学生は…

ウクライナ人留学生トポリアン・ターニャさん「ウクライナで寒さは4月まで続きますので。戦争は止められないけど、できることを一生懸命頑張ることです。これは私の責任」

厳しい寒さもあいまって、多くの市民が命の危険にさらされているウクライナ。その状況に、いまだ終わりは見えません。

（サンデーモーニング2022年12月18日放送より）

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