汚れた水で洗濯…国土3分の1水没のパキスタンはいま 時間差で感染症の波【須賀川記者リポート】|TBS NEWS DIG
エジプトで開かれている国連気候変動対策会議=COP27のテーマの一つ「損失と損害」。それを象徴するのが、洪水で国の3分の1が水没したパキスタンです。未だに広大な面積が水没したままの被災現場を取材しました。
今年の夏、パキスタンを襲った未曽有の大洪水。温暖化の影響で例年より多く流れた雪解け水と、気候変動による大雨が重なり、国土の3分の1が水没しました。
それから3か月…
記者
「道路のわきには、このようにテントが立ち並んでいます。その理由は村があった場所が完全に水没してしまって、地平線どころか、水平線のようになっています」
パキスタン南部シンド州。集落や農地があった場所は、今も巨大な湖のようになったままです。
こちらの村では、家畜の排せつ物と混ざった水が悪臭を放ち、最も弱い立場にいる子どもや妊婦は感染症のリスクにさらされています。
国連によると、シンド州ではこれまでに少なくとも30万人がマラリアに感染。遠くから運んでくる飲み水は極めて貴重なため、洗濯には汚染された水を使うしかありません。
住民
「家を失ってからみんな体調を崩した。夫は亡くなり、私も具合が悪くなった」
記者
「ここは洪水の被害にあった場所にある地域の病院なんですけれども、すごい人数ですね」
近くにある数少ないクリニックには、栄養失調の子供を連れた母親や妊婦が殺到していました。
こちらの妊婦は、30キロの道のりを歩いてきたといいます。
クリニックに通う妊婦
「洪水にすべて奪われてしまった。土地から追われて、食べるものすら残ってないのよ」
洪水で奪われたのは健康だけではありません。
パキスタンでは2万7000もの学校が洪水の被害を受けました。いまも200万人以上の子供たちは学校に通えず、臨時のテントではすべての生徒を受け入れることができません。
「将来は兵隊さんになりたい。有名になって村を助けたいんだ」
UNICEF フマイラ・イルシャド医師
「飲料水や食べ物、住居、妊婦の健康問題など、極めて基本的な人権問題が複合的に起きています」
巨大災害によって引き起こされる様々な問題。こうした気候変動による「損失と損害」が、今年のCOP27で初めて公式な議題として協議されています。
パキスタン レーマン気候変動相
「エジプトのCOPが『損失と損害』を一番に取り上げたことは素晴らしいです。私たち開発途上国の抱える課題が最優先されることを望んでいます」
パキスタンの洪水による被害額はおよそ5兆6000億円。
温室効果ガスの年間排出量が世界全体の1%にも満たないパキスタンは「大国が補償するべきだ」と主張していますが、地球規模の危機が目前に迫る中、先進国と途上国の歩み寄りは欠かせないものとなっています。
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