「割に合わない…」酪農家を襲う“三重苦”…エサ高騰、子牛価格暴落、牛乳廃棄 11月から牛乳値上がりで大量廃棄の懸念も｜TBS NEWS DIG
来週から乳業メーカーが一斉に牛乳の価格を引き上げます。消費者にとっても厳しい値上げですが、酪農家は半数以上が廃業を考えるほどの厳しい経営環境にさらされています。
熱々のグラタンにドリア。毎日店舗で仕込む濃厚なホワイトソースが自慢の一品です。こちらの店では、寒くなる今頃から例年売り上げアップが見込まれるといいますが、今年は…
ドリア＆グラタンなつめ新宿店 長澤優希店長
「牛乳の価格高騰はすごく痛いです。8％値上げという数字は大きい」
特製のホワイトソースには毎日20パック以上の牛乳を使っていて、来月からの“牛乳の値上がり”に頭を悩ませています。
11月の出荷分から明治は最大5.5%、雪印メグミルクは最大9.6%、森永乳業は最大10.2%、牛乳などの乳製品を値上げします。
店では牛乳以外の食材も軒並み値上がりし、ガス代や電気代なども最大3割上がっていますが…
ドリア＆グラタンなつめ新宿店 長澤優希店長
「原価率はちょっとかかってしまうが、それでも今の価格を維持したいなと」
値上げが苦しいのは消費者も。この店では、来月から1パック10円から20円の値上げを考えています。
30代女性
「常に牛乳は必要なので、（値上げは）ちょっと困る。（子どもに）おやつのとき飲ませたり、朝にパンと一緒に飲ませたりしてます」
50代女性
「牛乳は買いだめができないので、（1度に）買っても2本ぐらい。外食を削るとか、優先順位の低いお菓子とか、そういうものを削るしかない」
ただ、もっと苦しいのは生産者です。30頭以上の乳牛を飼育している関口牧場では…
関口牧場 関口健社長
「こちらが牛の主食になるエサですね。（Q.値段は？）コロナ前からだと、ほぼ倍の価格です」
エサの牧草やトウモロコシなどはほとんどが輸入です。ウクライナ情勢や急激な円安の影響で、毎月の負担は20万円以上増加していると話します。
さらに、酪農家にとって大切な収入源である産まれた子牛の取引価格も暴落。えさの高騰で肉用の子牛を育てる農家が減り、価格は数か月前には1頭10万円以上だったところが2万円になっているといいます。
関口牧場 関口健社長
「エサ代が上がって子牛価格が安いんだよって、酪農をやっても割に合わないとやめてしまう人が多い。うちの場合は2人やめたので、そこでなんとか持ちこたえている、人件費が削れて」
ある調査では酪農家の97%が経営環境が悪化し、半数以上が「経営を続けられない」と答えています。
年末にかけては牛乳の値上がりで、大量廃棄の懸念も出ていて、支援を求める声が高まっています。
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