マスク氏“衛星ネット”ウクライナ支援継続示唆…日本では“緊急時”に重要役割担う?(2022年10月18日)

マスク氏“衛星ネット”ウクライナ支援継続示唆…日本では“緊急時”に重要役割担う?(2022年10月18日)

マスク氏“衛星ネット”ウクライナ支援継続示唆…日本では“緊急時”に重要役割担う?(2022年10月18日)

 スペースX社が提供するインターネット接続サービス「スターリンク」。イーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は、ウクライナへの無償提供を停止する考えを示し、注目されている。

■マスク氏 通信環境の“無償提供停止”示唆

 ロシアによる侵攻で、まひしたウクライナの通信インフラ。それを補ってきたのが、人工衛星を使ったインターネット接続サービス「スターリンク」だ。

 侵攻直後から、マスク氏が率いるアメリカのスペースX社がウクライナに無償で提供。これによりウクライナ軍や市民の通信環境は支えられてきた。

 しかし、今月14日…。

 マスク氏(ツイッターから):「スペースX社は、既存のシステム(スターリンク)に資金提供を無期限に続けられない」

 マスク氏は、ウクライナへの無償提供の停止を示唆した。

 マスク氏によると、ウクライナに無償提供するためのスペースX社の費用の負担は、これまでに日本円で120億円近くに上り、年内には、およそ148億円を超える見通しだという。

 CNNは、スペースX社が、アメリカ国防総省に必要な資金を出すよう求める書簡を送ったと報じた。

 スペースX社が米国防総省に送った書簡:「我々はウクライナへの端末に、これ以上寄付すべき立場にはなく、既存の端末のために無期限で資金を提供すべき立場にもない」

 ところがマスク氏は、ウクライナへの無償提供停止を示唆した翌日に、態度を一転させた。

 マスク氏(ツイッターから):「もう、どうでもいい。スターリンクは赤字が続き、他の企業は何十億ドルも税金をもらっているが、我が社は、ウクライナ政府へ無償提供し続けるつもりだ」

 その後、現地メディアは、アメリカ国防総省が「スターリンク」に対する資金提供を検討していると報じたが、国防総省の報道官は臆測で語ることはないと述べたという。

■「スターリンク」アンテナ設置で利用可能

 スターリンクは、ウクライナにおいて非常に重要な役割を担っている。

 インターネットを利用するための通信の流れを説明する。

 日本などでは一般的にプロバイダと呼ばれるインターネットを提供する通信事業者と光ファイバーなどで物理的につながって利用している。

 一方で、スターリンクは高度550キロの軌道を周回する数千基の人工衛星を介して、無線でインターネットと接続する仕組み。大きな違いは、アンテナさえ設置すれば利用が可能だという点。

 そのため、ロシア軍によって通信用の電波塔が破壊されたウクライナでも、スターリンクのアンテナを設置することで、インターネットを利用し続けることが可能となっている。

 これによりSNSなどによってウクライナ国内の惨状を世界に伝えることもできている。

 また、ワシントン・ポストによると、スターリンクはドローンの制御など、ウクライナの軍事作戦にも利用されているそうで、ウクライナ軍の司令官は、「最前線をスターリンクなしで戦うことは、銃なしで戦うようなものだ」と話しているという。

 このようにウクライナを支えているスターリンクだが、実は日本でも提供が始まっている。

■日本で始動…緊急時に重要な役割

 スターリンクを自宅で使用しているITジャーナリストの石川温さん。自宅3階のベランダにある直径50センチ程度の丸いアンテナと、ケーブルでつながった電源ボックス、そしてWi-Fiの送信機、これらが12日にスペースX社から届いたそうだ。

 電源を入れてしばらくすると、衛星の電波をキャッチするため、アンテナが動いた。

 気になる通信速度は…。動画はストレスなく、スムーズに見ることができる。

 ITジャーナリストの石川さんは、このスターリンクが災害などの緊急時に重要な役割を担うと考えている。

 石川さん:「通常、地震が起きると、町中の電柱とか倒れてしまいます。そうすると光回線などが切れてしまい、復旧が難しい。何も考えず、電源さえあればつながることは、災害時や戦争時に有効なのかなと思います。例えば、自治体や市役所で1台とかは必須だと思いますし。町内会で1個置いておけば、万が一、大地震が起きた時でも、インターネットは提供される」

■通信インフラの確保の重要性

 通信インフラの重要性については、日本でも再認識させられる事故もあった。

 今年7月、通信大手「KDDI」が運営する携帯電話サービスで86時間にわたって大規模通信障害が発生し、3000万人以上に影響があったとされている。

 また、個人間の通信にとどまらず、消防・救急などの緊急通報への支障が生じたことやシステム障害による物流の遅れ、さらには気象観測システム「アメダス」が観測データを送信できないなど、様々な分野で影響が出ていた。

 こうした背景もあり、今回取材した石川さんは通信を確保することがいかに重要かということを実感したそうで、スターリンクの導入を決めたそうだ。

■東日本と北海道の南部で利用可能

 そんなスターリンクだが、公式ホームページによると、現在は世界38カ国でサービスを提供しているという。

 利用はスターリンクの公式ホームページから申し込む形で、日本でのサービス提供は11日から始まった。今利用できる地域は、東日本と北海道の南部となっている。

 現状その他の地域は利用できないとされているが、今年中には利用できるようになるそうだ。

 また、気になる利用料は、専用のアンテナ代7万3000円に加え、月額1万2300円で利用できるという。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2022年10月18日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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