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【北朝鮮ミサイル】“過去最長”飛距離で「日本上空」通過 専門家「危険なら迎撃できた」
北朝鮮が4日発射したミサイルは、飛距離が過去最長となり、日本上空を通過しました。北朝鮮は発射を繰り返し、核実験を強行する可能性も取りざたされています。これらの背景について、安全保障に詳しい笹川平和財団の小原凡司上席研究員に聞きました。
■飛距離「4600キロ」の意味は?
有働由美子キャスター
「日本上空を通過しましたが、日本に直接の被害が及ぶ可能性は、どんなことが考えられますか?」
小原さん
「計画通りに飛んだのであれば問題はありませんが、もし発射直後にロケットが爆発するなどして、推力が予定より出なかった場合は、近い所に落ちます」
「または飛んだ弾頭部が、破裂や分裂などで壊れてしまうこともあり得ます。そういった失敗をした時には、破片などが日本に落ちてくる可能性があると思います」
有働キャスター
「これまでで最も長い飛距離4600キロについて、どんなことが言えますか?」
小原さん
「これまで北朝鮮は、(中距離弾道ミサイルの)『火星12号』だと仮定すれば、最大射程5000キロと言っていたにもかかわらず、それだけの距離で飛ばしたことはありませんでした。わざとそうしていたのか、その能力が出せなかったのか分かりませんでした」
「ただ少なくとも今回、その最大射程に近い距離で飛ばしたということは、これでグアム島までしっかりと射程に収めたということを示したことになります。『グアム島をいつでも攻撃できるぞ』と、北朝鮮は威嚇をしたことにもなると思います」
■なぜ今…「発射」繰り返す狙いは?
有働キャスター
「ではなぜ今、北朝鮮はミサイル発射を繰り返すのでしょうか」
小野高弘・日本テレビ解説委員
「9月23日、アメリカと韓国の合同軍事演習で、韓国の釜山にアメリカの原子力空母『ロナルド・レーガン』が入港しました。全長333メートルで大きく、多くの戦闘機が搭載され、基地の役割も担っています。北朝鮮から見れば脅威です」
「今、北朝鮮が最も気にしているはずなのが日本、アメリカ、韓国の連携です。韓国の今の尹錫悦(ユンソンニョル)政権は北朝鮮に厳しい姿勢のため、日米韓の安全保障を強化する動きになっています。北朝鮮は反発しています」
「さらに、ウクライナや台湾をめぐって欧米とロシア、欧米と中国が対立しています。北朝鮮はロシアや中国と近いので、ミサイル開発を急ぐ動機がここにあります」
■小原さん「ロシアとの関係も影響か」
小原さん
「日米韓の協力に非常に警戒感を示し、けん制しているのは間違いないと思います。北朝鮮は核兵器を持つことで、アメリカが北朝鮮の政治体制を覆すのを防げると思っているため、それが無効と言われてしまうと、北朝鮮の目論見は破綻します。だから強く反発する」
「ただ一方で、急いでいる背景には、国際情勢の他の部分もあると思います。少なくとも今、ミサイルを発射したり、たとえ核実験を行ったとしても、国連で、少なくとも安保理で制裁決議が採択されるような状況にはありません」
「ロシアは北朝鮮に対して エネルギー資源の供給を開始したり鉄道での輸送を再開したりしているので、ロシアとの関係も北朝鮮の決定に影響を及ぼしている可能性はあると思います」
有働キャスター
「韓国の情報機関は『北朝鮮の核実験場の坑道が完成し、10月中旬にも核実験を強行する可能性がある』との見方を示しています。核実験をこのタイミングで行うとすれば、狙いは何でしょうか?」
小原さん
「北朝鮮は今回のプーチン大統領のウクライナ侵攻を見て、核によるエスカレーション抑止、つまり将来核戦争に発展するぞという脅しをかけることが有効だと学んだと思います」
「ただそのためには戦略核、大陸間弾道ミサイルだけではなく、中距離、準中距離、または短い射程のミサイルにも核弾頭を搭載する必要がある。そうすると、より小型化し、出力も下げないといけませんが、そのためには核実験が必要になるということだと思います」
■危険なら…小原さん「迎撃できた」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「フェーズドアレイというレーダーに使われるシステムが専門なのですが、今のミサイルの予測システムはどれくらい正確なのでしょうか?」
小原さん
「少なくとも今の段階では、非常に正確だと思います。例えばエージスシステムがミサイルを追って弾頭部を破壊する時には、弾頭部の軌道が正確に計算されていなければいけません。そうでないと小さな弾頭に当てることは難しいです」
「正確に計算されているということは、どこに落ちるかも正確に分かるということだと思います」
有働キャスター
「4日は(上空を)通過しましたが、仮に(落下するなど)危ないと分かれば日本は迎撃できたということですか?」
小原さん
「その通りだと思います」
■対北朝鮮で…日本にできることは?
有働キャスター
「今の日本の設備としては可能だということですね。今後日本にできることは?」
小原さん
「最終的には北朝鮮を対話に引き込む必要があると思います。ただ現段階で北朝鮮が対話に乗る可能性は低いです。それは、経済制裁が解除される期待がなければ乗ってこないだろうと思われるからです」
「その期待は一度なくなったと考えているので、今度は、北朝鮮がやろうとしていることは効力がないんだと思わせて、アメリカも北朝鮮も日本も、お互い戦争をしたいわけではないので、回避するための努力が必要なんだと思わせることが必要です」
「そのためには最終的に抑止力をしっかり見せる必要がある。その能力をつける必要があると思います」
有働キャスター
「落合さんは、北朝鮮との向き合い方についてはどうですか?」
落合さん
「今、北朝鮮はロシアとの関係を強化するように動いているので、日本はどんどん距離が遠くなっていくように思います。専守防衛に努めるような技術を開発するなどしながら、毅然とした態度を示すのが重要だと思います」
小原さん
「その通りだと思います。そのために政府は今動いていますが、より計画を具体化することが、強い政治的なメッセージになると思います」
(2022年10月4日放送「news zero」より)
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