【音声入手】“実弾窃盗”疑われた警察官 “違法な取り調べ”を提訴
奈良県警の男性巡査長が、拳銃の実弾を盗んだと疑われ違法な取り調べを受けたとして、県に損害賠償を求めた裁判を前に、読売テレビが取り調べの音声を入手しました。そこには耳を疑う言葉の数々が残されていました。
◇
取調官
「やったんやろ」
男性巡査長
「やってないです」
取調官
「やってたんなら、やったと言え。どうせアウトやからな。どうせアウト、もうお前やねん」
容疑者と決めつけ、強い口調で取り調べるのは奈良県警の警察官です。
ことの発端はことし1月。奈良県警が奈良西署で、拳銃の実弾5発を紛失したと発表しました。県警は、署の地域課に所属する20代の男性巡査長を、窃盗の疑いで任意で聴取しました。
男性巡査長
「(実弾を)持っているという記憶も、とった記憶もないです。ほんまにないです、うそじゃなくて」
しかし、聞き入れられることはなく、取り調べはことし2月末から8日間、朝から晩まで続いたといいます。
取り調べには、いわゆる“うそ発見器”も使用され、深夜、自宅を捜索されたり、日常生活の監視もされていたりしたといいます。
取調官
「往生際悪いぞ、悪いわ。ちゃんと終わらせよう。(幹部らが)お前の家に張り付いているの知っているやろ」
取調官
「一番わかるやん、やったやつ」
男性巡査長
「でも、ないです」
取調官
「お前みたいな行動は少なくとも0人、間違いない」
県警はその後、実弾の紛失はなく、本部の担当者がそもそも弾を少なく配分していたと発表しました。
一方、男性巡査長はうつ病を発症し、休職。県に対し、およそ710万円の賠償を求めています。
取調官
「人間なんて、みんなうそつくが、病気に近い回答の仕方をする。お前、虚言性なんちゃらや。その特徴というのは、ADHD(注意欠如・多動症)とかの特徴やで」
取調官
「やりましたでいいわ、やりましたでいこう」
男性巡査長
「とった記憶がないです。そこから(捜査)進まないんじゃないですか」
取調官
「いいよ、しようがない」
これに対し、奈良県警本部は「係争中の案件のためコメントを差し控えるが、引き続き丁寧かつ誠実に対応していく」としています。
今回のケースに専門家は…
立命館大学・浜田寿美男上席研究員
「残念ながら日本の刑事捜査は被疑者と疑われた段階で、取り調べで“やったに間違いない、謝れ”というところから始まりやすい。(警察は)真犯人から自白をとるのは手柄になるけど、逆に無実の人間を早々に無実だと解明して早く釈放しても、誰も手柄だと言ってくれない文化がある」
第1回口頭弁論は4日に奈良地裁で開かれる予定です。
(2022年10月3日放送「news every.」より)
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