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1972年 田中総理の「多大なご迷惑」発言 中国側が問題視 波乱の国交正常化交渉(2022年9月29日)【映像記録 news archive】
1972年9月25日、
秋晴れの北京空港に訪中団を乗せた日航機が降り立ちました。
引き締まった表情でタラップを降りる田中角栄総理大臣。
出迎えた中国の周恩来首相と固い握手を交わしました。
日本の国歌「君が代」が流れ、日本国旗が掲揚される歓迎ムードで始まった国交正常化交渉。しかし北京での5日にわたる交渉は、緊迫の連続だったのです。
人民大会堂に田中総理らが到着し、第1回首脳会談が行われました。
周首相は冒頭から、「戦争状態が終わっていない」ということにこだわりました。
というのも、日本政府は1952年に当時の中華民国、つまり台湾と結んだ平和条約で
すでに中国とも戦争状態は終わったという立場だったからです。
夜には、周首相主催の晩さん会が人民大会堂で開かれました。
多くの報道陣の姿も確認できます。
緊張からでしょうか。田中総理と周首相は、テーブルに置かれたナプキンで顔の汗をぬぐいます。
周首相は晩さん会のあいさつで中国側の基本的な立場を改めて示しました。
周恩来首相
「尊敬する田中首相閣下、日本の貴賓の皆さん、友人の皆さん、同志の皆さん。
(通訳「熱烈な歓迎の意を表します」)
田中首相の我が国訪問によって中日関係史上に新しい一頁が開かれました。
われわれ両国の歴史には、2000年の友好往来と文化交流があり、両国人民は
深い誼を結んできました。われわれは、これを大切にすべきです。
しかし、1894年から半世紀にわたる日本軍国主義者の中国侵略によって、
中国人民は極めて酷い災難を蒙り、日本人民も大きな損害を受けました。
前のことを忘れることなく後の戒めとするといいますが、われわれは、このような経験と教訓をしっかり銘記しておかなければなりません。
中国人民は、毛沢東主席の教えに従って、ごく少数の軍国主義分子と広範な日本人民とを
厳格に区別してきました。
したがって、中華人民共和国成立後、中・日両国の間で戦争状態の終結を公表していないにもかかわらず
ここ数年来、毎年中国を訪れる日本の友人は、他の国の友人よりも多く、
平等互恵を基礎とした中日貿易の総額も中国と他の国との貿易のそれを上回っています。
これは、日中関係の正常化に有利な条件を創りました」
続いて挨拶に立った田中総理。
この挨拶の「ある言葉」が大きな波紋を広げることになります。
田中総理
「(日中間が)一衣帯水の間にあることをあらためて痛感いたしました。このように両国は地理的に近いのみならず、実に2000年にわたる多彩な交流の歴史をもっております。
しかるに過去数十年にわたって、日中関係は遺憾ながら、不幸な経過を辿って参りました。
この間わが国が中国国民に多大のご迷惑をおかけしたことについて、
私はあらためて深い反省の念を表明するものであります。
第二次大戦後においても、なお不正常かつ不自然な状態が続いたことは、歴史的事実としてこれを率直に認めざるをえません。」
挨拶を終えた田中総理は、周首相や姫鵬飛外相ら中国側の関係者のテーブルをまわり、
穏やかな表情で1人と1人と盃を交わします。
しかし、挨拶の際に使った「多大のご迷惑をおかけした」という表現が軽すぎるとして、
翌日の第2回首脳会談で周首相が激しく非難。
日中共同声明では「重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する」という表現に改められました。
28日に開かれた田中総理主催の答礼宴。田中総理と周首相は固い握手を交わしました。
田中総理に付き添われ、人民大会堂の宴会場に入った周首相は大きな拍手で迎えられました。
中国式の丸テーブルにいっぱいに並んだ料理を前にやわらかい表情で言葉を交わす田中総理と周首相の姿がありました。
この答礼宴で、あいさつをした田中総理。
「これまでの両国間の不正常な状態に終止符が打たれ、両国国民の多年の願望である国交正常化が実現されるならば、これは両国の歴史に新たな一章を開くのみならず、アジアひいては世界の平和に貢献するものと確信いたします」などと述べました。
乾杯に使われた九谷焼の盃には、田中総理の故郷・新潟県の銘酒が注がれていました。
田中総理は関係者のテーブルを回り、盃を交わしていきます。
つづいてあいさつにたった周首相。
「国交正常化のために貢献し、命を犠牲にすることを惜しまなかった日本の友人に敬意を表したい」などと述べました。
挨拶を終えた周首相がテーブルに戻ってきました。
手に持っているのは中国を代表する「マオタイ酒」です。
連日のタフな交渉を終えた田中総理、少し疲れが出たようです。
周首相は田中総理が日本酒の盃を持つと「マオタイでやりましょう」と呼びかけました
2人はマオタイが入ったグラスで乾杯します。周首相はテーブルを回り二階堂官房長官、大平外務大臣ら日本の関係者と次々と盃を交わし、別れの宴は幕を降ろしました。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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