【干ばつ】アメリカで“トマト缶”20%超の高騰…背景に深刻な「水不足」 世界の加工用トマト6%~15%減との試算も

【干ばつ】アメリカで“トマト缶”20%超の高騰…背景に深刻な「水不足」 世界の加工用トマト6%~15%減との試算も

【干ばつ】アメリカで“トマト缶”20%超の高騰…背景に深刻な「水不足」 世界の加工用トマト6%~15%減との試算も

パスタや煮込み料理などに幅広く使われる万能なトマト缶。その値段が今、おもな生産地のひとつ、アメリカで高騰しています。背景に、深刻な問題がありました。

■「トマトはイタリア料理の血液」トマト缶高騰で店に大打撃

アメリカ・ロサンゼルスのイタリア料理店の厨房で作っていたのは、魚料理。たっぷりのトマトを加えてぐつぐつと煮込んでいく人気の一品です。

ところが、店のオーナーは今、悩みを抱えています。

レストランのオーナー
「トマト缶の値段が上がる一方です。どうしたものかと…」

トマト缶の仕入れ値がこの1年間で20%も上がり、来月、さらに15%上がるというのです。魚介にパスタにとイタリア料理に欠かせないトマトの値段の高騰は、店にとって大打撃です。

レストランのオーナー
「トマトはイタリア料理の血液ですよ。これ以上高騰したらやっていけません」

■東京ディズニーランドの16倍が休耕地に…水不足でトマト作れず

トマト缶高騰の理由は何なのか。NNNは、カリフォルニア州の農家を訪ねました。

収穫時期を迎えた広大なトマト畑で、きれいに熟したトマトが積み込まれていきます。缶詰用のトマトは、この地域だけで世界のおよそ3割が作られています。

ところが、農家は異常事態に陥っていました。収穫が行われている場所の隣にある土しかない場所も、かつてはトマト畑でした。

トマト農家
「水が来ないから作れないんですよ」

十分な水の供給がないため、畑でトマトを作ることができないといいます。この農家だけでも東京ディズニーランドの16倍もの面積が休耕地となり、眠ったままになっていました。

トマト農家
「30年、農業をやってきましたが、今が最も困難な時です」

■昨年は豊富にあった水が…アメリカ最大の貯水池「ミード湖」に異変

カリフォルニア州にも水を供給しているのが、ラスベガス近くにあるアメリカ最大の貯水池「ミード湖」です。

湖がかなり遠くに見えまる場所も、実は2021年に水がありました。一年ほどでこれだけの水がなくなったということです。

湖を航空写真で見てみると、およそ20年前の写真では、水は豊富にありました。それが先月には4分の1ほどに減ってしまい、湖が明らかに小さくなっています。水は急激に減り、湖の底にあったものが姿を見せるまでになりました。いたるところで乾いた地面がむき出しになっています。近隣への水の供給は今後も減り続ける見通しです。

専門家も今後に大きな懸念を示しています。

テキサス大学 ニヨギ教授
「今後1年は加工用のトマトの値段は上がり続けるでしょう。干ばつが終わるのを待つしかないのです」

ニヨギ教授らの研究では、より効率的な水の利用法が生み出されない限り、2050年までに世界の加工用トマトの生産量は6%から15%減ると試算されています。

アメリカ西部での干ばつが、世界の食料事情にも影を落としつつあります。

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