「全数把握」見直しで医療現場は、自治体は、私たちへの影響は(2022年8月25日)

「全数把握」見直しで医療現場は、自治体は、私たちへの影響は(2022年8月25日)

「全数把握」見直しで医療現場は、自治体は、私たちへの影響は(2022年8月25日)

 多くの地域で感染者数の高止まりが続くなか、東京都の小池知事は全数把握を当面続ける意向を明らかにしました。

 東京IDC専門ボード・賀来座長:「新規陽性者数は第6波のピーク時を超える高い水準が続いており、人と人との接触機会の増加により、新規陽性者数が増加に転じることに引き続き警戒が必要である」

 25日、東京では新たに2万3129人の感染者が確認されました。

 先週木曜日と比べて4234人減少しましたが重傷者は24日から2人増えて38人に。

 東京の感染者数は高止まりが続いていましたが、都はここに来て減少傾向になっているとの認識を示しています。

 ただ、全国に目を向けるとお盆休みの影響がじわり。

 24日は静岡・三重・徳島・高知の4件で過去最多を更新。

 直近1週間の全国の感染者数も前週と比べて1.19倍となり、増加に転じています。

 新型コロナウイルス感染症対策ADB・脇田隆字座長:「お盆と夏止みの影響で全国的な増加というところに転じたと考えています。首都圏と沖縄については減少の傾向がみられてきていると思いますが、その他の地域についてはまだしばらく増加傾向が続く可能性もあると考える」

 感染制御学が専門の東邦大学、小林寅てつ教授は首都圏と地方の違いをこう分析します。

 感染制御学が専門、東邦大学・小林寅てつ教授:「都市部では早い時期から感染拡大が起こって、早いうちにそのピークをある程度迎えてきた。そうすると、都市部からの人の移動によって地方に(感染)が広がっていくことになる。遅れて感染拡大が起こって地方がいま大きく増えていっている状況」

 名古屋市内のクリニックです。コロナの疑いのある発熱患者を受け入れ診察と検査を行っていますが最近は、人数制限を設けているといいます。

 名古屋市医師会・竹中基晃理事:「お盆前にスタッフに陽性者が出て医療体制が今まで通り組めなくなった。コントロールを設けないと医療機関が崩壊してしまう」

 診断した医師はコロナ患者全員の氏名や連絡先、症状などを情報システム「ハーシス」に入力して発生届を保健所に提出する必要があります。

 ただ、感染の急拡大によってその入力作業が負担になっています。

 名古屋市医師会・竹中基晃理事:「(ハーシスへの入力は)1時間半ぐらいかかる。午前中のことは午前中に済ませないと、もう大変な夜中が待っている」
 
 疲弊する医療現場の負担軽減につながるのでしょうか。

 岸田総理大臣:「必要な方への診療時間を確保するため自治体の判断で今回、緊急避難的に全数届け出を見直すことができる。このようにした」

 24日、岸田総理は感染者の全数把握を見直す方針を明らかにしました。

 今後は、発生届の提出を都道府県の判断で65歳以上の高齢者や入院が必要な人、重症化リスクがある人、妊婦などに限定することができます。

 一方、それ以外の感染者については年代別の人数のみを報告するといいます。

 仕組みの変更で、私たちにはどのような影響があるのでしょうか。

 感染制御学が専門、東邦大学・小林寅てつ教授:「ご自身が(体調が)悪くなった時とか(自治体からの)フォローアップが受けられないケースがありますので、何かあった場合には(医療機関などに)すぐに申し出る準備をした方がいい」

 小林教授は、保健所に報告されていない感染者は症状の悪化が見逃される可能性があるため今まで以上に自分の体調に注意する必要があると指摘します。

 一方で。

 感染制御学が専門、東邦大学・小林寅てつ教授:「医療現場が全数把握の見直しでマンパワーが軽減されることによって例えばコロナウイルスに限らすほかの病気で今までにかかれなかった医療や病院にかかれるメリットがある」
 
 全数把握の見直しについて各自治体からは賛否の声が上がるなか、小池都知事は、25日午後、東京では、これまで通り感染者の全数把握を当面、続けていくことを明らかにしました。

 小池東京都知事:「医師が患者を診て作成する発生届には感染動向の把握に加えまして患者さん一人ひとりの健康状態を把握して必要な医療につなげていく重要な機能がある。都は一人ひとりの患者さんを大事にしていくために当面、発生届の取り扱いにつきましては現在の運用を続けていくことに致します」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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