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『下水で地域の感染状況を把握』京大研究チームらが調査…全数把握に代わる指数に?(2022年8月18日)
新型コロナウイルスの新規感染者数を、数えるのか、数えないのか。厚生労働省が見直しの検討を始めました。
加藤厚労大臣は8月17日、新型コロナウイルスについて分科会・尾身茂会長ら専門家と意見交換会を開きました。すべての感染者の情報を保健所に届け出る現在の「全数把握」の見直しについて議論が交わされました。
(新型コロナ分科会 尾身茂会長)
「全数把握を徐々にやめるんだったら、どうやったら感染のレベルを比較的正確にモニターできるかという仕組みが必要ですよね。なるべく早くやったほうがいい」
一方、この方針に異論を唱えている知事もいます。島根県の丸山達也知事は「感染者に仕事を休んでもらうなどの制限をかけるためには、行政が全ての感染者を把握する必要がある」と訴えます。
(島根県 丸山達也知事)
「感染者が行動することで感染者を増やすという感染症の基本的な理解が欠如している。より感染を拡大させる方向にかじを切るなんていうのは、私からすると信じられない発想」
感染の“波”を把握して感染拡大を防ぐためにこれまで行われてきた全数把握。このうち、感染の波の把握について、新たな研究が琵琶湖畔にある「京都大学大学院工学研究科附属 流域圏総合環境質研究センター」で行なわれています。ここでは今、下水中のウイルスを調べることで、その地域のコロナ感染状況を割り出す研究が行われています。この研究チームは今年6月から大津市や京都市などと連携して調査を始めました。
隣接する滋賀県大津市の「水再生センター」に入る研究員。
(研究員 藤田知功さん)
「今から下水を採水します。下水中にコロナウイルスがどれくらいあるかというのがわかります」
採取した下水は遠心分離機にかけるなどして目標となるウイルスと不純物に分けられます。そしてウイルスの濃度によってその地域でどのくらい感染が広がっているのかを把握できるというのです。
(京都大学大学院工学研究科 西村文武准教授)
「下水の定義は『雨水』と我々が普段の生活で出す『汚水』からなるものですけれども、『汚水』の中には様々な情報が入っている。新型コロナウイルス以外に、これまでなされてきた研究の中には『ノロウイルス』『ポリオウイルス』、そして最近では『サル痘』のウイルスの検出の試みも海外で始まった」
西村准教授によりますと、新型コロナウイルスは症状が出る前から糞尿となって人から排出されて下水に流れているため、実は今の「全数把握」よりも少し早く感染の動向がわかるといいます。
(京都大学大学院工学研究科 西村文武准教授)
「どの種類のウイルスがということも、それを区別できる分析技術と合わせると十分に把握することができます」
新型コロナウイルスと闘い続けて3年目。新しい集計方法にかじを切るべきなのかどうか、検討が始まっています。
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