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「脱ロシア依存」のカギに?再エネ率90% ドイツ南部の街で見えた“地熱”の可能性(2022年7月31日)
こちらはロシアとドイツを結ぶ天然ガスのパイプライン、ノルドストリームです。
ロシアは27日から供給量を8割削減すると発表しドイツのショルツ首相は危機感を滲ませています。
ロシアから天然ガスを輸入している日本にとっても対岸の火事ではありません。
ドイツの「脱ロシア」の動きを追いました。
▽天然ガスで揺さぶるロシア 対抗のカギは?
(ロシア プーチン大統領)「(天然ガス供給を)稼働しても突然止めてしまうかもしれない。そうしたら終わりだ」
ロシア産エネルギーを武器にヨーロッパ各国に揺さぶりを掛けるプーチン大統領。
ロシアからの天然ガス供給が8割削減され市民生活に影響が出ているドイツ。
今、「脱ロシア」の動きが加速しています。その中心が、南部最大の都市ミュンヘン。
再エネ率は、何と90%。特に大きな期待が寄せられているのが“地熱”です。
(山口豊アナウンサー)「新しくこちらには、住宅とか学校を作っているんですが、そのすぐ目の前、こちらにあるのがフライハム地熱プラント。ここで地熱の熱をこの地域一帯に供給している」
近代的なこの建物も“地熱プラント”ドイツでは都市部に作る事で効率良く熱を供給しています。こうした地熱施設は、ミュンヘン周辺だけでも20カ所以上あるといいます。
(山口豊アナウンサー)「あれが今地下に繋がっている配管ですね」
地熱プラントの内部は、どのようになっているのでしょうか。
(山口豊アナウンサー)「奥に見えている黒いのがタービンですね。タービンが回って、このシャフトが繋がっています。このシャフトで繋がっている手前の黄色いのがジェネレーター。ここで電気を生んでいるということです」
この発電機でおよそ3万5千人に電気を供給することができるそうです。電気だけではありません。ドイツの地熱プラントは、“熱そのもの”も暖房や給湯用として家庭に供給しています。さらに、この装置は、太陽光や風力で作り過ぎた電気を熱に変えるシステム。発電や熱供給と合わせ、余すところなく地域にエネルギーを供給しています。
(グリュンバルト地熱発電所所長)「私たちはエネルギーを自分たちの足元、バイエルンの土地から生産します。そして、プーチンのような、ならず者への依存から脱却するのです」
なぜこうした施設を作ったのか。およそ20年前、ミュンヘンの隣町で市長を務めていたクナペクさんが教えてくれました。
(ドイツ地熱協会 クナペク名誉会長)「プーチンは当時ウクライナから欧州でガスを止めていました。地元住民は、この状況が続けば、いつかはガスがなくなると考えました。ならば住民の意思で自分たちで作ったエネルギーを使った方がいいと考えました」
価格をめぐる対立から、ロシアは2006年、ウクライナへの天然ガス供給を停止。当時もヨーロッパの多くの国が、ロシア産エネルギーに依存していた事もあり影響が広がりました。
この対抗策として地元の人たちが選んだのが、“地熱プラントの建設”でした。
▽ロシアへの対抗策 地熱が秘めた可能性
家庭ではどう使われているのか。クナペクさん宅の地下には…
(ドイツ地熱協会 クナペク名誉会長)「これが自家用の地熱装置です」
近くの地熱プラントから配管で直接お湯が運ばれています。天然ガスに頼らず、シャワーや床暖房が利用できるのです。
(ドイツ地熱協会 クナペク名誉会長)「現在、ガスは2倍近く高騰していて非常に高い。(安い)地熱をすぐにでも利用したい人は多いと思います」
地熱というと、暖房のイメージが強いですが…
(山口豊アナウンサー)「この建物の中は非常に涼しいんですね」
この企業では、地熱を使った冷房を開発したのです。
(開発企業の担当者)「この技術は元々とても古いものです。手の上に水を乗せ、風を吹き付けると蒸発して冷気が出ます」
原理は“打ち水”と同じ。水が蒸発する時、周りの熱を奪う力「気化熱」を利用して温度を下げています。
(開発企業の担当者)「ロシアがウクライナに侵攻した2月24日以降、(問い合わせの)電話が鳴り止みません。エネルギー供給でロシアなどのガス・石油に依存しないことを人々は望んでいます」
ドイツでは地熱開発への支援体制も整いつつあります。1つのプロジェクトにつき井戸8本まで掘削費用の40%を助成する制度が新たに始まろうとしています。
一方、日本は世界3位の地熱資源があるものの、実際の導入量は10位。億単位で掛かる掘削費用を支援する制度が脆弱で地熱を十分に活用できていません。
記録的猛暑による電力需給の逼迫、さらにロシアとの天然ガス開発事業でも権益を失う可能性があり、日本のエネルギー問題は待ったなしです。
(ドイツ地熱協会 クナペク名誉会長)「日本でも冬は寒いと思いますので熱は必要です。建物や工場などの熱の資源がどこから来ているかよく考えてみて下さい。これらは全て地熱で賄えます。日本はそれができるほどの技術大国です」
7月31日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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