「経済と医療の両立無理」“BA.5対策強化宣言”実効性に疑問の声｜TBS NEWS DIG
新型コロナの感染者が過去最多となる第7波に対応するために、政府がきょう新たに打ち出した「BA.5対策強化宣言」。実効性はあるのか医療現場などからは疑問の声があがっています。
東京できょう新たに発表された感染者は3万6814人。2日連続で3万人を超えました。感染の拡大が続く中、政府はきょう新たな対策を発表しました。
山際新型コロナ対策担当大臣
「国がBA.5対策強化地域と位置づけ、都道府県の取り組みを支援する」
新たな対策「BA.5対策強化宣言」は、病床使用率が50%を超えるなど医療機関の負荷が高まった場合、自治体が独自にこの「宣言」を行うというもの。
山際新型コロナ対策担当大臣
「行動制限をするものではありません。経済社会活動というものを、きちんと両立できるようにサポートしていくと」
宣言が出た地域では自治体が高齢者や重症化リスクの高い人、またその同居家族に外出を控えるよう“協力を要請”するということですが、自治体からは…。
小池百合子都知事
「それの効果がどれぐらいなのか、見極めていきたいと思っています」
8月の旅行や帰省シーズンを前に、街の人の受け止め方は様々です。
20代と50代の親子
「旅行はキャンセルしちゃいました」
60代
「国には期待はできないのかなと思います。行動制限というか、自分の身は自分で（制限）した方がいいのかな」
2児の母親40代
「九州とかに帰省をするので、そのまま決行したいと思っています。経済とか元気がなくなると、それはまた別の問題もあるし、難しい」
一方、医療現場からは政府の対策に疑問の声があがっています。
国際医療福祉大学 松本哲哉教授
「社会経済活動の維持と医療の逼迫の回避を同時に両立させるということ自体が、まず根本的に無理なんですよね。協力要請とか呼びかけがほとんどですので、それについて国がサポートをすると言いながら、具体的なものも何も見えてないと」
政府のコロナ分科会のメンバーからも。
政府コロナ分科会メンバー
「医療崩壊したとしても、経済を回し続けて良いということにはならない」
東京消防庁職員
「23日に新型コロナウイルス要請と診断された方。現在38度の発熱、ならびにサチュレーションの低下、現在82～84」
東京23区の119番通報に対応する東京消防庁『災害救急情報センター』。
「救急要請多数入っていますので、救急隊到着まで若干時間要しますけど、確実に向かいますのでお待ちください」
救急の要請の通報が鳴り止みません。
東京消防庁によりますと、新型コロナの患者からの救急要請は先週、1577件。そのうち病院に到着するまでに5時間以上かかったケースは84件あり、前の週のおよそ4.5倍に急増しています。
救急隊員歴25年の隊員は「救急の現場はこれまでに経験したことのない状況」だと訴えます。
東京消防庁救急機動部隊 鶴田広樹総括隊長（50）
「ご覧の通り、いま点滅しているのは（救急車が）出場している状況ですから、おおむね90%を超える稼働率になっています。地域によっては、常時100%というようなところも。第5波第6波ともに大変な状況ではありましたが、ここまでひっ迫しているのを、実感したことはありません」
患者の搬送が続き、朝に出動した隊員が丸一日たった翌朝まで消防署に戻ってこられなかったケースも。救急の現場も疲弊しています。
東京消防庁救急機動部隊 鶴田広樹総括隊長（50）
「完全防護しての活動なので、水分補給もできないトイレも行けない。我々の役目は、しっかりこの不安感を取り除いて、適応した医療機関に迅速に搬送するということですが、その責務が果たせず、非常に強いジレンマを感じています」
きょうも救急車の出動率は96%を超え、危機的な状態だといいます。東京消防庁は「救急車を本当に必要とする患者に届けるため、判断を迷った場合は『#7119』に電話をかけ、問い合わせて欲しい」としています。
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