事実上の選挙戦スタート　「原発再稼働の是非」に福島の人たちは

事実上の選挙戦スタート　「原発再稼働の是非」に福島の人たちは｜TBS NEWS DIG

世界的なエネルギー価格の高騰や、脱炭素の推進で、原発を再稼働すべきかどうかが来月の参議院選挙の争点に浮上しています。被災地福島で人々の思いを聞きました。

6月12日、福島県。

「福島県尾村の復興拠点の避難指示が、今日解除されました」

テレビを見つめるのは、岩川貴子さん。福島第一原発からほど近い双葉町で飲食店を営んでいましたが、原発事故で故郷を離れ今は浪江町で暮らしています。

この日、葛尾村の一部で避難指示が解除されました。帰還困難区域の住民が自宅に戻るのは初めてのことです。

岩川貴子さん
「（解除は）今だったんですね。そうなのね。双葉はいつになるのかしら」

記者
「あちらに見えるのは、福島第一原子力発電所の排気筒です。原発事故から11年経った今でも、多くの方が避難生活を強いられています」

東日本大震災から11年。安全性を不安視する声は今でも根強く残っています。しかし…

今、ウクライナ情勢などによるエネルギー価格の高騰で電気料金は値上げ。さらに、地球温暖化など自然環境に配慮した「脱炭素」が世界的なトレンドとなる中、発電コストが安定していて、二酸化炭素も排出しない原発の再稼働を進めるべきなのかどうか。

各政党は原発再稼働について、このような主張をしています。
▼自民党は「安全が確認された原子力の最大限の活用を図る」
▼公明党は「基準を満たした上で関係者の理解と協力を得て取り組む」
▼立憲民主党は「地元合意のないままの再稼働・新増設は認めない」
▼日本維新の会は「住民との対話と合意形成の場をつくり理解促進を図る」
▼国民民主党は「次世代炉等へのリプレース（建て替え）を行う」
▼社民党は「脱原発を進め廃止に向けたロードマップを示す」
▼共産党は「即時ゼロ」
▼れいわ新選組は「即時禁止、国有化し廃炉を公共事業にする」
▼NHK党は「安全が確認された原発は再稼働を検討」など様々です。

岸田総理
「安全を確認し地元理解を得た原発の再稼働を進めていきます。」

自民党は去年10月の衆院選の公約に「最大限活用する」という文言を加え、原発の必要性を強調。
一方、立憲民主党は…

立憲民主党泉健太代表
「原子力発電からの脱却、依存を減らしていくと」

これまで、「速やかな停止・廃炉を目指す」としていたのに対し、今回は「地元合意のないままの再稼働は認めない」と表現を修正しました。

原発再稼働について被災地・福島の候補予定者はどう訴えるのか。

自民党から出馬を表明している総合病院の理事長・星北斗氏は

自民党公認星北斗氏
「今の電力事情を考えればですね、需給を改善する一つの大きな柱だと思いますので、安全性を確認し、そして皆さんが安心できる形で再稼働を目指さざるを得ないと思います。」

一方、立憲民主党などが推薦し、事実上の野党統一候補となるフリーアナウンサーの小野寺あきこ氏は

立憲・国民・社民推薦小野寺あきこ氏
「最終的にという意味では、私は原発はゼロになる社会が理想だと思っています」

1人区の福島選挙区からはその他、皆川真紀子氏、窪山紗和子氏が出馬を表明しています。

再稼働の機運の高まりを原発事故の被災者は複雑な思いで見つめています。

岩川貴子さん
「私嫁いだころはよく言われましたから、地震や何かあったときは1号機に逃げなさいって。天災であり人災でもあります。皆離れ離れになったのかもしれないですけど。その場所で生きたという諦めで、次も行きますよという再度チャレンジで」