4630万円“必要ない依頼書”で誤送金「上司のチェックなし」・・・フロッピーに住民リスト(2022年5月20日)

4630万円“必要ない依頼書”で誤送金「上司のチェックなし」・・・フロッピーに住民リスト(2022年5月20日)

4630万円“必要ない依頼書”で誤送金「上司のチェックなし」・・・フロッピーに住民リスト(2022年5月20日)

 山口県阿武町で、給付金4630万円が誤って振り込まれた問題で逮捕された24歳の男。同級生が取材に応じ、「お金への執着がすごかった」と話しました。

■容疑者の同級生「お金への執着すごい」

 阿武町民:「阿武町民の大事なお金をそんなことに、ギャンブルとかに使われて許せることではない」

 18日、逮捕された24歳の無職・田口翔容疑者。阿武町から振り込まれた新型コロナの給付金4630万円を、誤って送金されたものと知りながら、自分の金と装い、スマートフォンで400万円を別の口座に振り替えた疑いが持たれています。

 田口容疑者の同級生:「お金への執着は、すごいと思います」

 弁護士によると、田口容疑者は「インターネットカジノ」に4630万円を全額つぎ込んでいたといいます。

 田口容疑者(弁護士によると):「お金を使ってしまったことについては、大変申し訳なく思っています。少しずつでも、返していきたいと思います」

 逮捕容疑については「間違いありません」と認めています。

■日本 ネットカジノのアクセス世界4位

 ネットカジノは、日本からのアクセス数がこの3年でおよそ3倍に急増していて、アメリカ、ドイツ、韓国につぐ世界4位。専門家によると、その一因は、コロナ禍にあるといいます。

 Similarweb Japan シニアソリューションエンジニア・鈴木雅之氏:「巣ごもりで、在宅の時間が長くなったところが、1つ要因として、考えられるのではないかと思います」

■地球最後の日「お金すべて使い果たす」

 同級生を取材すると、金に執着する田口容疑者の“人となり”が明らかになってきました。その片鱗(へんりん)は、小学校の卒業アルバムの中にもありました。

 田口容疑者の小学校の卒業アルバムから:「(Q.もし地球最後の日が来たら?)所持金を使い果たす」

 田口容疑者の同級生:「卒業アルバムに、お金をすべて使い果たすと書いていて、今回のことと一致しすぎて、お金の執着心があったと思った」

 同級生の話では、小・中・高と地元の学校に通った田口容疑者。しかし、高校生のころから次第に学校に行かなくなり、やがて中退。その後、地元の遊び仲間と一緒に、公園などでたむろする姿がみられ、次第に、様々なギャンブルにのめり込んでいったといいます。

 田口容疑者の同級生:「パチンコと競輪。同級生の子なんですけど、競輪はいいよって言ったら、すごく食い付いてきて。それで、お金をすったりというのは、あったみたいです。お金への執着は、すごいと思います。お金ないと思うので。彼も遊んでばっかなんで。友達からお金を借りてたみたい」

 一方、近所の住民の印象は良かったようです。

 田口容疑者の実家近くの住民:「自転車を押して、エレベーターから出てきた」「(Q.普通にごあいさつをした?)普通に、こんにちはって」「無視するとか、そういうことは一切ございませんでした」「(Q.そんなに悪い印象は?)私はなかった。だから、びっくりしました。だから、私は役場の人に腹が立つ。あなたたちが間違ったから、こういう罪を作らせたんでしょって。私は思ってしまう」

■町長から・・・防災無線で「謝罪の言葉」

 田口容疑者の逮捕を受けて、町長は19日、次のように話しました。

 阿武町・花田憲彦町長:「全額を回収していきたいという気持ちには、変わりありません。身柄を拘束されて、証言が得られるような形になったということについては、お金を取り戻す1つの足掛かりができたんじゃないかなと。そういう気持ちはあります」

 逮捕の直前、町長から町民に対し、防災無線で「謝罪の言葉」が放送されました。しかし、町民の中からは不満の声も上がっています。

 阿武町民:「ちょっと、声のトーンが小さくて、分かりづらいところはありました」「町にも、責任はあると思いますけど」

■銀行に“必要ない依頼書”で誤送金

 事の発端は、町の担当者による振り込みミス。どうして、今回のミスは起きたのでしょうか?町への取材で、誤送金の詳細が明らかになってきました。

 担当者は先月1日、住民の口座情報などを「フロッピーディスク」に入れて銀行に渡し、振り込みを行いました。この時は、対象となった463世帯それぞれに10万円ずつが振り込まれました。

 通常は、このフロッピーディスクを銀行に渡すだけで良かったのですが、今回ミスを招いた原因は、本来銀行に提出する必要のない「振込依頼書」です。

 阿武町によると、振込依頼書は役場の事務作業を進めるための資料で、「銀行コード」の順番に名簿が作成されています。

 今回、誤って4630万円が送金された田口容疑者の口座は大手銀行のもので、コードの数字が小さかったため、名簿の一番上でした。

 データを作成すると、自動で振込依頼書が印刷されるシステムになっているそうですが、この時、記載されるのは振込の「合計額」と「名簿の1番上の人の名前」だけだといいます。

 町役場幹部:「本来なら必要ない『振込依頼書』を出納室の職員が誤った操作で作成して、なぜか銀行に出してしまった。そもそも、出す必要がない書類なので、上司もチェックをしていなかった」

 上司のチェックを受けることなく、振込依頼書が銀行に提出されたため、田口容疑者に4630万円が振り込まれたといいます。

 さらに、今回の誤送金の経緯とともに、話題になっているのが、フロッピーディスクです。

 インターネット上では、「令和なのに、フロッピーディスクとか時代遅れすぎでしょ」「20年ぐらい前の化石PC使ってるんやろか」といった声も上がっています。

 町が振り込みを依頼した銀行などを傘下に持つグループ会社は、去年5月をもってフロッピーディスクを使った振り込みを廃止し、インターネットバンキングを通じた振り込みを呼び掛けているといいますが・・・。

 町が振り込みを依頼した銀行などを傘下に持つグループ会社:「新規の受け付けは行っておりませんが、既存のお客様からフロッピーディスクでの振り込みを継続させてほしいというご要望があれば、対応している状況です」

 人口3000人ほどののどかな町を揺るがした今回の事件。田口容疑者は20日、送検される予定です。

(「グッド!モーニング」2022年5月20日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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