【独自】「鶏油」不足 “家系ラーメン”店がお断り・休業も・・・食卓にも影響か(2022年5月18日)
今、人気の“家系ラーメン”に欠かせない「鶏油（チーユ）」という油が不足。一部の店が休業する事態になっています。この鶏油不足は、私たちの食卓にも影響しそうです。背景を独自取材しました。
■家系ラーメン「油多めお断り」
太麺に濃厚な豚骨醤油スープが絡み付く家系ラーメン。しかし、今、この家系ラーメンになくてはならない油に異常事態です。
「武道家 龍」ツイッターから：「鶏油不足のため、色々と試行錯誤繰り返してますが、油多め、油超多めをお断りする場合があります」
「どんとこい家」ツイッターから：「鶏油のないラーメンをお出しはできませんので、休業します。残念です。ごめんなさい」
家系ラーメンの注文で、この光景をよく見掛けます。
客の注文：「（麺）硬め、（味）普通、（油）普通で」「（麺）硬め、（味）濃いめ、（油）多めで」「（麺）硬め、味普通、油普通」
注文時に言う“油”こそが、鶏油です。
■店休業も・・・“鶏油不足”でSOS
鶏油は、鶏の脂身を加熱すると出てくる油。黄金色のきれいな油ですが、香が強く、くどくないのが特徴です。
豚骨の強い味にも負けない鶏の香りで、うまみが広がるため、家系ラーメンには欠かせない調味料なのです。しかし、3月ごろから、材料である脂身の仕入れが困難になったといいます。
「武蔵家 千歳烏山」梅沢裕隆さん：「今は、なかなか仕入れが難しくなってまして。1週間に2回入ってくれば良い状態。営業は、かなり厳しい状況が続いていて、これは僕らだけじゃなくて。“家系界”全体の話でもあり、皆さん、あの手この手、色んな試行錯誤して、考えて抵抗している」
■“鶏油不足”で「人手足りない」
家系ラーメン界が頭を抱える深刻な鶏油不足。しかし、その原因は、原材料の鶏肉が不足していることによるものではないのです。
鶏油などの販売業者：「鶏の脂身というのは、鶏肉を加工する際に出てくる副産物。採集をするには、『細かな作業』と『人手をかける』必要がある」
その細かい作業とは・・・。
「水郷のとりやさん」代表取締役・須田健久さん：「『もも肉』を外します。肩に包丁を入れて、『むね肉』と『手羽先』を外します」
聞きなれた部位を取り外した後、鶏がらから、内蔵、レバーや砂肝などを外し、最後に外すのが鶏油の原料となる脂身です。
これだけの手間を掛けても、一羽の鶏からとれる脂身はわずかだといいます。
「水郷のとりやさん」代表取締役・須田健久さん：「（Q.これで、何羽分の鶏の脂身？）これで1日分以上あるから・・・大体200羽分くらいある」「（Q.『さばいて』『集めて』『煮詰めて』大変？）大変です・・・。鶏油が売れて、あんまり喜ばないですよ・・・。正直言っちゃうと、結構大変」
取り出すのに手間が掛かるという脂身。そこに追い打ちをかけたのが、人手不足です。
鶏油などの販売業者：「鶏肉の製造現場というのは、海外からの技能実習生の方も、多く作業されていたんですけれど。コロナの影響で、母国に帰られて、（日本）国内に入って来られなくなってしまった」
製造現場の多くは、コロナによる人手不足で、食肉として販売される部位の解体で精一杯だといいます。そのため、鶏油の原料となる脂身の解体まで人手が回らず、鶏油が不足しているのです。
■「カップ麺」「冷凍食品」食卓に影響？
鶏油不足問題は、家系ラーメンの店ばかりか、私たちの食卓にも直接影響しかねません。
例えば、家庭でよく使われる粉末の鶏がらスープの原材料の欄を見ると、鶏油が使われていることが分かります。
さらに、冷凍食品に書かれている「チキンオイル」や即席麺の「チキン調味料」にも鶏油が使われているというのです。
鶏油などの販売業者：「鶏油は、カップラーメンや即席麺関係であったり、冷凍食品にも使われておりますので。そういった食品加工業者の方にも、影響が及ぶのではないか」
現在、円安や原油高、そしてウクライナ侵攻などの影響による原材料高騰で、様々な商品の値上げが続いていますが、今後、鶏油不足が様々な商品の値上げの原因になるかもしれません。
（「グッド！モーニング」2022年5月18日放送分より）
[テレ朝ｎｅｗｓ] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
