立法会選挙にも背を向け 香港市民すでに８万８０００人が英国移住を申請
今月、香港で行われた立法会選挙は民主派が事実上排除され、親中派が議席をほぼ独占しました。自由を制限される状況に望みを絶たれ、イギリスに移住する人たちは後をたちません。
今年１０月、香港。イギリスへの移住を希望する人たち向けのセミナーです。民主派への弾圧を受けて、香港市民向けに導入された新たな移住制度やイギリスでの生活事情が説明されました。
ウィニー・ワンさん
「新しい情報を聞けて役に立ちました。もうすぐです、１２月にはイギリスに行きます」
参加者の一人、宝飾品販売業のウィニー・ワンさんは長女と共に香港を出て、次女のいるイギリスで新たな生活を始める計画です。
ウィニー・ワンさん
「私が好きなものは失われてしまいました。言論の自由、報道の自由、法律の保障などもうありません。こうした生活を支える最も基本的なものが無くなったので、もうここにはいられません」
それでも生まれ育った街は名残惜しい。これは、ウィニーさんがイギリスへ行く前に香港の様々な場所を訪れて撮ったものです。市民の足であるフェリー、待ち合わせ場所として有名な時計塔、そして夜景・・・。友人たちとも会食を楽しみました。大切にしていた娘からの誕生日プレゼントのサボテンも人に託してきました。そして先月３０日、香港を出発し、イギリスに到着しました。
ウィニー・ワンさん
「ここはコンビニですかね？」
今月１０日、イギリス・ノッティンガム。まだ、ホテル暮らしのウィニーさんですが、住む予定になっているマンションの周辺を見に来ました。ビジネスを立ち上げる予定のウィニーさん。多少の困難は覚悟しています。
ウィニー・ワンさん
「この先、いろいろ不確実で試練もあるでしょう。でも娘たちと一緒なら大丈夫です。それが家族というものです。もちろん香港は生まれ育った場所ですし大好きでした。でも変わってしまったんです。すごく変わってしまった・・・」
香港では今月、立法会選挙が行われましたが、投票率は過去最低、民主派は事実上排除され、親中派が議席をほぼ独占しました。かつては必ず投票に行っていたウィニーさんですが、香港にいたとしても投票していないと話します。
ウィニー・ワンさん
「選挙のルールに納得がいかないからです。（Ｑ．選挙に何か期待しますか）いいえ全く。結果はもう決まっていますからね」
今後、香港を訪れることはあっても再び住むことはないと話します。イギリス政府によると、新たな移住制度の開始から８か月で、およそ８万８８００人の香港市民が移住を申請しています。（27日16:46）
