【解説】気をつけることは?3年ぶり「外出自粛要請なし」のゴールデンウイーク
東京都が、リバウンド警戒期間を延長することを決めました。まもなく始まるゴールデンウイークをどう過ごしたらいいのでしょうか。飲食店での人数制限などについても、詳しくお伝えします。「感染者“下がりきらず”」、「飲食店制限を“緩和”」、「GW明け 新規感染者1万人試算」、「3回接種 効果いつまで?」、この4つのポイントについて詳しく解説します。
■ゴールデンウイーク、3年ぶり外出制限なしに…気をつけることは?
新型コロナウイルスの感染状況について、21日に東京都で新たに6713人の新型コロナウイルス感染者が確認されました。10日連続で前の週の同じ曜日の人数を下回りました。しかし、国立国際医療研究センターの大曲貴夫医師からは、「新規陽性者数が十分に下がりきらないまま、増加に転じることに警戒が必要」という声もありました。
東京都では、3月21日まで「まん延防止等重点措置」が発出されていました。解除以降は4月24日まで「リバウンド警戒期間」とされていました。その「リバウンド警戒期間」を4週間延長し、5月22日までとすることが21日に決まりました。
これを受けて、ゴールデンウイークも警戒期間となるわけですが、私たちはどんなことに気をつけて過ごしたらいいのでしょうか。東京都のホームページに掲載されているQ&Aをご紹介します。
・自由に外出してもいいかどうか?
OKです。外出自粛要請はありません。ただ、連休中なので、特に混雑する場所は避けて、行動するように呼びかけています。
・県をまたぐ移動はしてもいいか?
こちらもOKです。ただ、ワクチン接種や陰性確認、基本的な感染対策は続けてほしいということです。
2020年、2021年のゴールデンウイーク期間中には、緊急事態宣言が発出されていたため、外出制限がないゴールデンウイークは3年ぶりとなります。
■東京都、認証店での飲食「8人以内」に緩和
一方で、飲食については、「自由に」とはいきません。東京都内で認証店を利用する場合、22日時点では「1グループ4人以内・2時間以内」とするよう要請されています。お酒を飲むかどうかにかかわらず、この人数、時間です。
なぜ、2時間なのかというと「滞在時間が2時間未満の場合と、2時間以上の場合とでは、感染リスクが約2倍違う」という研究結果に基づいているからです。
ただ、延長期間となる4月25日以降、この制限が変わります。「利用人数は1グループ8人以内・利用時間は原則2時間以内」です。しかし、全員の陰性が確認できれば、それ以上の人数や時間も認められます。
陰性確認は医療機関などで発行された紙やメールの通知画面を提示する形で行います。有効期限は、PCR検査の場合は検体を採取した日から3日後まで、抗原検査は翌日までです。ただ、これはあくまでも目安ですので、詳細はその都度、お店に確認した方が良さそうです。
■ゴールデンウイーク期間中…東京都の感染状況は 名古屋工業大学・平田教授がAI予測
一方で、心配な予測も発表されています。ゴールデンウイークの過ごし方によって今後の東京都の感染状況がどうなるか、名古屋工業大学・平田晃正教授がAIを使い、試算しました。
平田教授の試算によると、人流や行動レベルが現在のまま保たれた場合、新規感染者数はほぼ横ばいで推移するとしています。
一方、前回の年末年始並みに飲み会や里帰りなどをする人が増えて、普段会わない人と長時間にわたって接触する機会が増えた場合、ゴールデンウイーク直後には1日の感染者が1万人程度まで増加すると予測しています。
さらに、マスクも外して、大人数でバーベキューのような密な接触をすると、感染者1万4000人程度まで急増してしまうと試算しています。
「ゴールデンウイーク期間中の旅行や飲食店の予約状況などを見ると、かなり人流が増える可能性がある。実際には、現在の横ばい水準よりは高いものの、感染者1万人程度までには届かないぐらい。あるいは、マスクを外して接触する人が増えると、感染者1万4000人程度に近くなる可能性もある」と平田教授は指摘しています。
■進まない3回目接種 小池都知事は再三呼びかけも…
リバウンドを防ぐための鍵となるのが、新型コロナウイルスのワクチン接種です。東京都の小池百合子知事は22日午後、「ゴールデンウイークの前だからこそ接種をお願い申し上げます。それ(ゴールデンウイーク前の接種)が難しいという方も、ゴールデンウイークの期間を利用されて接種をしていただきたい」と呼びかけました。
小池都知事は、ワクチンの3回目接種を再三呼びかけています。東京都全体で12歳以上の現在の接種率は54.8%です。年代別では、12歳~19歳以上が11.4%。20代、30代が30%台でした。年齢が低いほど、接種率が低い傾向となります。
こうした中、東京都・医学総合研究所の研究チームが都内の医療従事者704人を対象に「ワクチン接種後の効果がどれくらい維持されているか」を調べた実験結果が21日、新たに公表されました。
感染を防ぐための抗体の量を調査しています。10以下の場合、効果がないということです。
2回目の接種から7か月後は20~30代で抗体量は40でしたが、年齢が上がるにつれ減少し、60~70代の場合、若い人と比較するとほぼ半減でした。
ただし、3回目接種から4か月後では、20~30代で1027と非常に多くの抗体が残っていました。年齢が上がっても、1割程度しか減少していないということです。
つまり、「3回接種すれば、どの年代でも、長期にわたり高い抗体量を維持し、感染のリスクが減ることがわかった」と東京都・医学総合研究所の研究チームが明らかにしました。
ただし、この実験は従来株を使ったものです。実際に今主流のオミクロン株の場合、抗体量は30分の1程度に減ることがわかっています。この結果を考慮すると、2回接種だけの場合、どの年代でも抗体量は10以下となり、感染を防ぐには不十分ということです。
一方、3回接種の場合、30分の1にしても、どの年代でも抗体量は30以上あり、オミクロン株にも十分な効果が維持されていることも明らかになりました。
◇
コロナ禍で迎える3回目のゴールデンウイークとなります。2020年、2021年と比較すると、感染状況やワクチンの接種状況はかなり変わってきています。何よりも大規模なリバウンドを避けるためには、今の状況に合わせたポイントを押さえた対策を続けていきましょう。
(2022年4月22日放送「news every.」より)
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