“降伏勧告”マリウポリに人道回廊?・・・戦争支持の大衆心理?ロシアで「Z」浸透(2022年4月20日)

“降伏勧告”マリウポリに人道回廊?・・・戦争支持の大衆心理?ロシアで「Z」浸透(2022年4月20日)

“降伏勧告”マリウポリに人道回廊?・・・戦争支持の大衆心理?ロシアで「Z」浸透(2022年4月20日)

 ウクライナ南東部・マリウポリの攻防で、ロシア軍が再び日本時間の20日午後8時からと期限を区切ってウクライナ軍に降伏を迫っています。こうしたなか、アゾフスタリ製鉄所にいるウクライナ軍の司令官は「最後になるかもしれない」と世界の指導者に助けを求める声明を出しました。

 黒い煙が立ち上るのは、ウクライナ東部・ドネツク州のクラマトルシクです。ロシア軍の砲撃によって少なくとも1人が死亡し、3人が負傷しました。

 CNN、ベン・ウェデマン特派員:「午後3時前、ここクラマトルシクでミサイルが建設現場の倉庫を直撃。このような損害をもたらし、少なくとも1人が死亡しました。遺体は、あの黄色と青のシートの下にありました」

 また、隣のルハンシク州の州知事によりますと、約1万8000人が住む村のクレミンナがロシア軍に制圧されたといいます。

 ロシア、ラブロフ外相:「作戦は新たな局面に入った。特別軍事作戦全体にとって非常に重要だ」

 そして、最激戦地のマリウポリ。街のほとんどはロシア側の手に落ち、残すはウクライナ軍や都市の防衛にあたるアゾフ大隊が拠点とするアゾフスタリ製鉄所など、ほんのわずかです。

 ロシア国営メディアが新たに公開したアゾフスタリ製鉄所の映像。広大な敷地のあちこちから煙が上がり、複数の建物が真っ黒に焦げています。

 アゾフ大隊・副司令官:「現在、アゾフスタリ製鉄所は毎日、爆弾の攻撃を受けているなかでビルの崩落で埋められた人がたくさんいます。100%状況を把握できていません」

 マリウポリ市当局は、この地下に子連れの女性や高齢者など1000人を超える民間人が避難を続けているとしていますが・・・。

 ポドリャク大統領府長官顧問:「ロシアはアゾフスタリ製鉄所に地中貫通弾を落とし続けている。世界は子どもたちへの殺人行為を見ながら沈黙を続けている」

 地中貫通弾は地下に到達した後に爆発し、地下施設を破壊する兵器です。

 マリウポリでは、プーチン大統領に忠誠を誓うロシア連邦チェチェン共和国の首長・カディロフ氏の私兵部隊も展開しています。

 チェチェン共和国・カディロフ首長:「神のおぼしめしで、マリウポリにいるウクライナのナチスを処分し、アゾフスタリ製鉄所のすべてを取る」「その後はキーウやハルキウにいるナチスを絶対に捕まえる。そこまで行く」

 アゾフスタリ製鉄所にいるウクライナ軍の司令官は、“最後になるかもしれない”声明を発表しました。

 ウクライナ軍・司令官:「世界の人々への声明です。そして最後の声明かもしれない。数日、もしくは数時間しか持ちこたえられません。敵は我々の何十倍いて、空でも大砲でも地上部隊でも戦車でも優勢です。世界の指導者に助けを求めます」

 一方、ロシアは民間人が避難する施設への攻撃について・・・。

 ロシア、ポリャンスキー国連次席大使:「民間人は『人間の盾』に使われているだけだ」

 ロシアは、マリウポリのウクライナ側の部隊に降伏を迫っています。

 ロシア国家防衛管理センター、ミジンツェフ所長:「ウクライナ政府に思慮分別を持つことを呼び掛ける。戦闘員たちが無駄な抵抗をやめ、拠点から出ていくよう指令を出すべきだ」

 ロシア国防省は19日、日本時間の午後6時までに武器を捨てて投降すれば、民間人を避難させる人道回廊を設置するとしました。しかし、ウクライナ側はこれを拒否しました。

 ゼレンスキー大統領:「マリウポリの状況は引き続き厳しいままだ。ロシア軍は市民を助けるための人道回廊の設置を妨害している。占領者は、捕らえた住民を(ロシア側に)送還したり、軍に動員したりさえしている」

 ウクライナ政府は連れ去られた住民がサハリンへの移住を提案されたり、ロシアからの出国を2年間、禁じられたりしていると訴えています。

 そして20日、ウクライナの副首相は人道回廊の設置でロシア側と暫定的に合意したと発表。

 女性や子ども、高齢者に向けて日本時間の午後8時に集合するよう呼び掛けました。

 マリウポリ、ボイチェンコ市長:「マリウポリ住民を避難させるため、バスを90台用意している。大きなバスで6000人ぐらいの民間人がザポリージャに避難できる」

 ただ、街にはまだ12万人以上が残っています。

 ロシアで来月に予定されている戦勝記念パレードのリハーサル映像です。「Z」の形で飛ぶ戦闘機。このZ文字はロシア軍の戦車などに描かれていることで度々、目にすることになりましたが、そもそもロシア語の文字には「Z」の表記はありません。

 しかし確かなことは、すっかり浸透しているということ。

 モスクワ市内の土産物店にはTシャツのほか、無数のZグッズが・・・。街をゆけば、ビルの外壁にも巨大なZマークが描かれています。

 クリミアでもZ。この盛り上がりは一体・・・。

 筑波大学(国際政治)・東野篤子教授:「ロシアの市民たちは積極的にロシアの国家的なプロパガンダの上に乗っかって自分たちも戦争を支援していくんだという大衆心理が間違いなくあると思う。ロシアの国営(メディア)の説明をきっちり信じている人たちもいて、世論が二分されている状態だと思う」

 そのロシアをアメリカ政府がテロ支援国家に指定するか検討しているといいます。CNNの報道です。

 CNN記者:「テロ支援国家に指定されることは、どんな意味を持つんでしょう?」

 ビル・ブラウダー氏(作家):「今、ウクライナは毎日が9・11のようなものです。多くの無実の人が爆撃されています。テロ以外の何ものでもありません。指定されれば、ロシアがくぐり抜けようとしている現在の制裁の抜け道がふさがれることになります」

 ブッシュ大統領(当時):「このような国々と、テロリストの協力者は悪の枢軸である」

 現在、アメリカがテロ支援国家に指定しているのは北朝鮮、イラン、キューバ、シリアの4カ国。そこにロシアが加わることになるのでしょうか。

 筑波大学(国際政治)・東野篤子教授:「ロシアの自己認識としては、偉大な大きな国家なわけですよね。それに対して北朝鮮並みの指定をするというのは侮辱以外の何ものでもないわけです。しかし、やっていることはテロではないです。明確な侵略戦争をやっているわけで、テロというとむしろ矮小(わいしょう)化されるぐらいの印象がある」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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