「外からは全くわからなかった」ガラスを肘で割り救出活動にあたった女性の証言 都内で急増する住宅火災の「現実」
今年に入り、都内では、住宅火災による死者が7割も増加していることがわかりました。何が原因で火事が起き、どんな人が犠牲になっているのでしょうか?
「離れて下さい。煙吸わないところにいな、煙吸わないところにいなさい」
これは、消防士のヘルメットに取り付けた小型カメラの映像。東京消防庁が初めて、メディアに公開しました。火が出た住宅の中に逃げ遅れた人がいる、一刻を争う現場です。消防士は、ドアを壊して煙が充満する家の中へ突入。
「中隊長、右側のほうにいるかもしれないから」
「252(逃げ遅れ)1名発見」
「1階に1名発見」
今年3月までの東京都内の住宅火災の件数は495件。去年の同時期と比べ、少し減っています。ところが、死者については41人と、去年の同時期の24人と比べ、7割も増加しているのです。死者のうち高齢者が占める割合が去年の7割から9割に増加。半分は一人暮らしでした。
高齢者が逃げ遅れるケースが急増している原因について、専門家は、今年の冬は乾燥した日が多く、火災が燃え広がる早さが増していた可能性を指摘します。
防災システム研究所 山村武彦所長
「空気の乾燥というのは、短時間に燃え広がってしまうということもある。多くの方が逃げ遅れたりするケースもあります」
都内では、今年1月から3月の平均湿度が去年よりおよそ15%も下回っていました。
防災システム研究所 山村武彦所長
「湿度70%以上と湿度50%以下を比較すると、湿度50%以下の日の方が火災の発生件数は約3倍に増える」
小さな火が一気に燃え広がり、人の命を奪う住宅火災。
先月、足立区で発生した火災では、足の不自由な60代の女性が死亡しました。
救出活動をした女性
「ガラスをたたき割って、自らカギを開けて中に入りました。本当に小さなボヤだと思っていたので、階段の途中から(怖くて)上に行けなくなってしまいました」
警視庁によりますと、現場には大量のタバコの吸い殻が入った灰皿がありました。
死亡火災の原因を見ていくと、最も多かったのはタバコの不始末の11人。次に電気ストーブの6人。そして、電気ケーブル、コンロと続きます。
防災システム研究所 山村武彦所長
「一人暮らしのお父さんお母さんがいらっしゃったら、できるだけ注意喚起をしてほしい。燃えやすいものを周りに置かないとか」
高齢者が死亡する火災が急増した事態を受け、東京消防庁は、高齢者の戸別訪問を強化しています。
東京消防庁の職員
「消えてるなと思っていても、実は小さな火だねが残っていて、そこから火事になる。それもかなりの時間が経ってから」
喫煙や暖房器具による洗濯の乾燥など、何気ない生活習慣が命取りとなる住宅火災。高齢者には改めて注意が必要です。
(08日15:43)
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