広がる支援「NFT」デジタルアートで資金調達も 子どもの描くウクライナの姿

広がる支援「NFT」デジタルアートで資金調達も 子どもの描くウクライナの姿

広がる支援「NFT」デジタルアートで資金調達も 子どもの描くウクライナの姿

ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中、日本政府や自治体、大学などで避難民受け入れの動きが広まっています。一方、「NFT」と呼ばれる技術でオリジナルであることを証明したデジタルアートの販売による支援も注目されています。

ドイツに避難「Danke」
スペインに避難「Muchas gracias」
ポルトガルに避難「Obrigada」

さまざまな国の言葉で「ありがとう」。ウクライナから他の国へ、戦火を逃れた難民からのメッセージで、ウクライナ政府がSNSに投稿したものです。

支援の動きは日本でも広がっています。ウクライナの首都キエフから千葉に避難してきたオルガさん一家です。

パンコーヴァ・オルガさん(43)
「子ども部屋になります。まだ何もないんですけど結構広いですね」

千葉市は災害被災者用に準備していた市営住宅16部屋にウクライナの避難民を受け入れることを決定。現在、5世帯から入居の相談を受け、うち3世帯の受け入れが決まりました。

ガスコンロや照明機具、冷蔵庫、洗濯機など生活に必要な家財道具も市が順次提供します。

パンコーヴァ・オルガさん
「これもリサイクルショップで購入しました。テーブルとイスとドライヤー、大体5000円で買いました」

オルガさんは戦況が悪化したことから避難を決意。留学経験があった日本に、息子とオルガさんの母親の3人で今月14日に来日しました。

家族3人の生活費は留学時代の友人らの寄付でまかなわれ、生活用品の多くも友人が提供したものを使っています。

パンコーヴァ・オルガさん
「私たちはリュック3つだけで避難しました。 寄付金、食べ物、洋服とかたくさんの物を支援してくれて、本当に心から感謝しています」

政府はウクライナからの避難民を受け入れるため、古川法務大臣を来月1日にもポーランドに派遣し、帰国時の政府専用機に避難民を同乗させる方向で調整に入りました。

福岡空港に到着したウクライナの大学生たち。ロシアの軍事侵攻からポーランド経由で逃れてきたエリザベータさん(21)がいました。

エリザベータさん
「無事に来られて良かったです」

ウクライナの大学で日本語を学んでいたエリザベータさん。通っていた大学と提携する日本経済大学が、ウクライナの学生を留学生として無償で受け入れることを知り、一人で来日することを決めたのです。

エリザベータさん
「日本へ行って頑張って通訳になって、それでウクライナに帰ります。自分の国の経済を向上させたいと思います」

ウクライナの子どもたちが描いた絵を「NFT(=非代替性トークン)」という新しい技術を使って支援につなげようとする動きもあります。

山本恵里伽キャスター
「真っ赤に染まった絵や日本語で『助けて』と書かれていたり・・・」

絵のテーマは「戦争と平和」。27日、在日ウクライナ人の子ども30人が描きました。

この絵をデジタル化し、「NFT」という複製が困難になる技術を使い、コピーでなくオリジナルだと証明して販売。収益をウクライナに寄付しようというプロジェクトが今進んでいます。

アイキくん(13)
「こういう絵を誰かが買ってくれて、この絵で何十人も助かるならいいと思います」

2月に母親と一緒に日本に避難してきたアイキくん。描いた絵の左半分はウクライナで見ていた風景。そして右側は・・・

アイキくん
「鳥の代わりに爆弾が飛び交っていて、草の代わりに血がついた土と雲の代わりに爆発のキノコ雲」

相反するウクライナの2つの景色。アイキくんはこの絵にある思いを込めています。

アイキくん
「(Q.〔右の〕景色はもう見たくない?)見たくないです。もし(戦争が)終わったとき、ハサミでこれを切り裂きます、クシャクシャにして捨てる」

戦争が終わったら爆弾が飛び交う右側の絵を捨てる。購入した人にもそうしてほしいと願っています。

このプロジェクトを進めるNPO法人にNFTの技術面で協力する企業は。

Xクリエーション 河上昌浩代表
「これからこの技術って世の中に定着していくと思いますので、そこを先駆けて新しい寄付の形を提案できればなと思っています」

NFT技術を使った支援はインターネット関連の大手企業でも。平和の象徴であるハトをモチーフにしたNFT作品を3月末まで販売し、収益全額をウクライナの支援活動に寄付するといいます。

GMOアダムNFT企画担当 林智美さん
「NFTの力を使って支援をするというポジティブなムーブメントが起これば良いなと」

ウクライナ政府もNFTの技術を使い、ウクライナ人アーティストらが手がけたデジタルアートをあすから販売します。

作品はすべてロシアによるウクライナ侵攻の場面を描いており、寄付を集めるだけでなくロシアの侵略を歴史に残すことも目的としています。

新しい技術を使った新しい支援の形が広がっています。
(29日23:21)

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