【解説】ナニを語る?ゼレンスキー大統領 異例の国会演説へ 各国で巧みな演説

【解説】ナニを語る?ゼレンスキー大統領 異例の国会演説へ 各国で巧みな演説

【解説】ナニを語る?ゼレンスキー大統領 異例の国会演説へ 各国で巧みな演説

23日午後6時から、ウクライナのゼレンスキー大統領が日本の国会でオンライン演説を行います。厳しい戦いが続く中で、なぜ大統領は日本での演説を望んだのでしょうか?詳しく解説します。

■異例“オンライン形式・生中継”演説 国会の長い歴史で初

ゼレンスキー大統領の国会での演説は、異例中の異例の形で行われることになります。これまで国会では戦後40回、外国の元首らによる演説が行われてきました。例えば、2002年にはアメリカ・ブッシュ大統領、2011年にはブータン・ワンチュク国王が国会で演説しました。通常は国賓などとして日本に招かれた際に、歓迎行事として行われるものです。

今回、ゼレンスキー大統領は、ウクライナから、しかもオンライン形式・生中継で行われるということで、国会の長い歴史でも初めての出来事となります。
また、演説が行われる場所も異例です。通常、外国の元首らが国会で演説する場合は、衆議院か参議院の本会議場が使われます。今回はオンライン形式ということで、モニターが必要になります。本会議場には「モニター設備を置くのが難しい」ということで、国会の裏側にある衆議院の議員会館で演説が行われることになりました。

議員会館内にある「国際会議室」がメイン会場となります。国際会議室には、大型スクリーンが2つあり、スクリーンの前に岸田首相、衆・参両院の議長、ウクライナ大使をはじめ、276の座席が設けられます。さらに、サブ会場にも353席が設けられるということです。ゼレンスキー大統領は、23日午後6時すぎから10分から15分程度、演説を行う見通しです。

■「真珠湾攻撃を思い出してください」国に合わせ演説変化

ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから、これまでゼレンスキー大統領が外国の議会で演説した数は、8回に上ります。演説は1日に行われたEU(欧州連合)から始まり、直近の22日にはイタリアに向けて演説が行われました。そして、それぞれの国で、その国に合わせた形に演説を変化させているのが特徴です。

まず、アメリカ連邦議会で16日、次のように演説しました。

ウクライナ ゼレンスキー大統領
「真珠湾攻撃を思い出してください。1941年12月7日の恐ろしい朝。9月11日(9・11同時多発テロ)を思い出してください。ウクライナの領土は毎日、これを経験しているのです」

また、ゼレンスキー大統領は8日、イギリス議会での演説では、イギリスの劇作家・シェークスピア、第2次大戦中のチャーチル元首相の有名な言葉を引用しました。

ウクライナ ゼレンスキー大統領
「生きるべきか死ぬべきか。我々は決して屈しない。最後まで戦います。みなさん(イギリス)国民と国家は偉大ですから、その義務を果たしてください」

それぞれの国の歴史や有名人の言葉を引用することで、「その国の国民の心をつかもう」というゼレンスキー大統領の思いが伝わってきます。

■“元役者”ゼレンスキー大統領の演説の巧みさとは?

こうしたゼレンスキー大統領の演説の巧みさについて、ウクライナ情勢に詳しい神戸学院大学教授・ウクライナ研究会会長の岡部芳彦氏は、「ゼレンスキー氏の経歴が大きく関係している。ゼレンスキー氏は大統領になる前は、役者・コメディアン、さらに舞台の脚本も書き、芸能プロダクションの社長でもあります。

つまり、パフォーマー・シナリオライター・経営者である三拍子そろった素養と資質、経験が伴っています。この能力が、戦時中の今こそ最大限に発揮されている」と分析しています。

■「パワフルな飛行機を」具体的要求も…

一方、ゼレンスキー大統領は、各国へ具体的な要求も投げかけています。アメリカに対しては、「私には夢がある」とキング牧師の言葉を引用しながら、「ウクライナの空を守ってください」「防空システム・パワフルで強力な飛行機を送ってほしい」と要求しました。

また、イギリスでは、ジョンソン首相への感謝を述べながら、「ロシアをテロ国家に」とさらなる制裁強化を要求しました。さらに、ドイツでは、ベルリンの壁を引き合いに出し、エネルギーなどロシアと結びつきが強いドイツによる経済優先政策を批判し、「今ある壁を壊して」と具体的な行動を求めました。
日本では、どんな演説になるのでしょうか?ゼレンスキー大統領は、アジアの国では日本が初めての演説となります。実は、今月中旬、ウクライナ側から「日本で行いたい」と打診・アプローチがあったということで、ウクライナ側の希望で日本を選んだということになります。

では、なぜ日本での演説を希望したのでしょうか?元駐ウクライナ大使・角茂樹氏は、「ウクライナ支援で世界の中心的な役割を果たしているG7(先進7カ国)のメンバーである日本は、国際的に重要な地位を占めている。日本は軍事支援を除くと最大の支援国で、これまでに3000億円以上の財政支援を行った。日本はウクライナにとって大事な国」と分析しています。

では、ゼレンスキー大統領は、演説でどのようなメッセージを日本の国民に伝えるのでしょうか?神戸学院大学の岡部教授は、「一言で表すなら、『共感力』を日本でも発揮してくるだろう。欧米と違う価値観や歴史的背景、日本人に共感してもらえるように、どうアレンジしてくるかが見どころ」と指摘しました。岡部教授は、「具体的には、『北方領土』『日露戦争』、核の脅威という意味で『ヒロシマ・ナガサキ』に触れる可能性がある」とみています。

また、角元大使は、「ウクライナと日本の『共通項』を持ち出すことで、伝わりやすいメッセージを打ち出すのではないか」とみています。「具体的には、どちらもロシアに占領されている『クリミアと北方領土』。また、『チェルノブイリ原発と福島第一原発』どちらも原発の恐ろしさを身をもって知っているというところで共通項がある」ということです。また、角氏は日本への要求について、「戦後の復興支援・難民に対する支援を言ってくるのではないか」と分析しています。

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23日18時からのゼレンスキー大統領の国会演説に、注目が高まります。
(2022年3月23日放送「news every.」より)

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