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「お父さんやったで」“戦後初”最高裁が死亡男性の再審を決定 42年前の滋賀・日野町強盗殺人事件
42年前、滋賀県日野町で起きた強盗殺人事件で、無期懲役が確定し服役中に死亡した男性について、最高裁は再審=裁判のやり直しを認める決定を出しました。無期懲役や死刑が確定した事件で、死亡した後に再審開始が認められるのは初めてとみられます。
阪原弘さんの長男・阪原弘次さん
「お父さんやったで、再審裁判はじまるよって、それはすぐに伝えに行こうと思います。墓参りさせて頂きます」
認められるケースが少ないことから「開かずの扉」とも言われる再審=裁判のやり直しがついに決定しました。
1984年の12月。日野町の酒店の女性店主が行方不明となり、年が明けた1月に、遺体となって見つかりました。店からは金庫がなくなっていて、警察は強盗殺人事件として捜査に乗り出しました。
阪原弘さん(2000年)
「みなさん どうぞ私を信じてください」
遺体が見つかってから3年。逮捕されたのは、店をよく訪れていた、近くに住む阪原弘さんでした。事件当日、店の近くで目撃されていたことなどから容疑者として浮上し、警察の取り調べで、「自分がやった」と“自白”しました。
長男の弘次さんは、父から取り調べの様子について聞いていました。
阪原弘さんの長男・阪原弘次さん(2018年)
「鉛筆を束ねたもんで頭を小突かれるわ、椅子を父ちゃんが座ってたら、椅子を蹴飛ばされるんやって。『殴られても蹴られても、わしがやったとは言わんかったんや』と。そやけど“娘の家に嫁ぎ先にいって家のなかガタガタにしたろか?”とか“豊田(地元)を火の海にしたろうか”、ということを言われたときに、父ちゃんどうしようもなく『やった』と言ってしもうたんやって」
阪原さんは裁判で、一転して無実を訴え続けましたが、自白と状況証拠などから2000年に無期懲役の判決が確定。服役中の2011年に亡くなりました。75歳でした。
その後、「父の無実を証明したい」と息子らが再審を求め、2018年、大津地裁が、これを認める決定を出したのです。
再審が認められた理由の1つに“自白”との齟齬(そご)があります。
写真は、自白に基づき、阪原さん自身が殺害方法を再現しているもので、背後から首を絞め、殺害したとされています。しかし、弁護団は、遺体に残る痕は壁や床に押し付けるように首を絞められてできたものだと指摘しました。
もう1つの有力な証拠とされたのは、金庫が捨ててあった現場まで阪原さんが案内できたこと。このことなどから、犯人しか知りえない『秘密の暴露』にあたるとされました。ところが赤枠で囲まれた半数の写真が、現場に向かう際ではなく、“帰り道”に撮影されていたことが明らかに。調書を作成する過程で、警察が、写真の順番を入れ替えていたというのです。
大津地裁に続き、大阪高裁も裁判のやり直しを決定し、検察側が不服として最高裁に特別抗告していました。
そしてー。
最高裁
「抗告の趣旨は事実誤認の主張であって抗告理由にはあたらない。原判断に誤りがあるとは認められない」
裁判官全員一致の意見で特別抗告を棄却。再審開始を認めたこれまでの判断を支持しました。無期懲役や死刑が確定した事件で、本人が死亡した後に再審開始が認められるのは初めてとみられます。
阪原弘さんの長男・阪原弘次さん
「涙出てきました。うれしかった、こんなうれしいのは初めてくらいかな。こうやって決断していただいて、私はうれしく思っています」
一方、大津地検は「改めて証拠を精査し、大津地裁でのやり直し裁判に適切に対応したい」としていますが、再審が認められたことで無罪の公算が大きくなりました。
■証拠の信頼性揺らぐ中・・・
(中谷しのぶ キャスター)
改めて、整理します。
事件があったのは1984年です。強盗殺人事件が起きました。
この時、1988年に常連客の阪原弘さんを滋賀県警が逮捕したのですが、「みなさん、どうぞ私を信じてください」というメッセージをご記憶されている方も多いかと思います。
1995年に大津地裁では、無期懲役の判決が言い渡されまして、2000年に最高裁で無期懲役が確定しました。
2001年に再審請求を行って、2011年に阪原さん75歳で病気を患って亡くなりました。2012年には、遺族が第2次再審請求を行って、2018年大津地裁は再審開始を決定したのですけれども…
この再審決定の決め手になったのは、“証拠の信頼性が揺らいだ”ことにあります。
殺害方法が、自白と矛盾している点。また、金庫を発見した現場での写真=『秘密の暴露』とされた写真についても、新たな証拠で撮影順に矛盾があったということです。
今回再審が決定したことについて、亀井正貴弁護士はこのように話しています。
「無罪になることは十分あり得る」ということです。
■なぜ長期間かかった? 検察側への“制約”に影響は?
ただ、再審開始からきょうまで、7年7ヶ月の時間を要しているわけなのです。
時系列で見てみますと、検察側が2018年に即時抗告をしまして、2023年大阪高裁が地裁決定を支持した時も検察側が特別抗告をして、最高裁が再審開始を確定させたということで、2月12日にも法制審議会では、このような決定がなされています。
再審制度の見直しなどの要綱が可決されているのですが…、冤罪被害者から要望があった『検察官の不服申立ての禁止』というのは盛り込まれなかったんです。
(高橋克哉 解説デスク)
今回、自白の強要だけではなく、自白したものの裏付けの捜査にもちょっと問題があったんじゃないかという指摘がありますので、やはり40年経つといろんな捜査のやり方・手法が変わってきてますから、新しい視点でぜひ真実を追求していただきたいなと思います。
(中谷しのぶ キャスター)
亀井正貴弁護士もこのように指摘をされています。
「検察側の異議申し立てに対して、再審の必要性を証明するためには、自白やアリバイの信用性について徹底的に立証する必要があり、それに時間がかかったのでは」ということです。
今後の最新の行方にも注目していきたいと思います。
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