【解説】生活圏にもクマ出没…相次ぐ被害に警察によるライフル銃での駆除を検討も…立ちはだかる壁
(黒木千晶キャスター)
今年、特に私たちの生活圏にクマが近づいているという現状があります。
京都では、嵐山周辺で出没が相次いでいます。
よく中継などでご覧いただく渡月橋、こちらが渡月橋になります。こちらには世界遺産の天龍寺があります。
そしてその近くにある竹林の小径、この近くで子グマが見つかっています。
ちなみにこちらは小学校だということで、このように学校の近くでもクマが見つかっています。こうして見ますとかなり嵐山周辺で出没が相次いでいるんです。
(高岡達之 特別解説委員)
ここのエリアというのは日本の方ばかりではありません。むしろ日本の方より海外の方が多いと言ってもいいかもしれません。
そうすると日本に来て日本語のニュースを見て気をつけようというのは、なかなか難しいので海外の政府も注意喚起をしています。
(黒木キャスター)
まずイギリス政府なんですけれども、日本への渡航者に注意を呼びかけています。
1人で歩かない、そしてクマが寄ってきてしまう原因になるような全てのゴミを持ち帰るなどクマへの注意を呼びかけています。
さらには日本全国の話ですけれども、各地でイベントの中止や観光地の閉鎖も相次いでいます。
それから市町村や観光協会に、「今近くでクマ出ていますか?」という問い合わせも増えています。
このようにこれから行楽シーズンになりますので、いつもより少し自然豊かな場所に出かけたいと思っている方も多くいらっしゃると思います。
(高岡 特別解説委員)
近畿ですから、東北ほどクマが身近ではないと思っていらっしゃる方がいるかもしれませんが、先ほどの嵐山の地図もそうですけど、全く身近な問題です。
対処の方法というのは、クマがよく出没する東北の県・自治体のホームページで、突然会ってしまったら、こういう姿勢を取ってくださいと情報提供しています。
近畿にお住まいで近畿の行楽地に行くから、そういうことに関心がないというのは大変危険です。
確認をしていただきたいと思いますが、警察を所管するのは国家公安委員長、赤間大臣ですが、警察官が本来であれば市民の安全を守るというのが一義的な役目です。
なので警察官に今後ライフル銃を持たせて、法律に基づいて発砲するというような話も出てきております。
ただし、ちょっと今シーズンには間に合いそうにないということです。
警察官の中でライフル銃の訓練を受けているのは、機動隊の人が一番多いです。
機動隊だけではなく、それ以外に刑事部でも訓練を受けている人がいますが、大体皆さん、立てこもりとかハイジャックとか、狭い場所あるいは立てこもっている、容疑者が動かないという前提の射撃訓練をされています。今回は当たり前のことなんですけれども、相手は野生動物です。
当然普段の訓練でやっているのと全く動き方が違います。予測もできません。
しかも当たり前のことですが、警察官は日常的に山に入るわけではありません。
ということがあるので、やはり国家公安委員長も明言されていますが、持っているからといってやれるわけではない、こういうようなことは我々も理解しておかなければなりません。
(黒木キャスター)
改めてお伝えしますと、猟銃と同等機能のライフル銃を保有していて、法律に基づいて発砲はできるけれども、クマには前例がないので、訓練などが必要だそうです。
(高岡 特別解説委員)
これややこしいんですけど、警察官は街中で市民の安全を守るために発砲というのは今でも認められているので、法律に基づき発砲が可能です。自衛官の場合にはさらにハードルが上がります。
自治体の長からの要請があって、しかも、できれば横に治安の第一義である警察官がいて、自衛官に災害派遣の目的でやってくださいと。そういう段階を踏まないとやれないということがあります。
例えば市町村ができないから県がやる、県ができないから今度は国が自衛隊を頼むとなってくると、場合によってはどんどん被害が出ている場所から離れるんです。
これが猟師さんたちからすると、警察や自衛隊に頼んでも危険だそうです。
それは山を知らないと言われています。
ハンターの方、それから猟師さんたちというのは地元の方で、毎日山に入ります。そうすると我々が地図で見る以外の知識があるわけです。
ここにはこういう木がある、もう少し行くと左側にどんぐりがある。だからクマは通常ここからこう横切る。こういったことが分からないと、私がさっき申し上げた、重機の扱いに慣れてるからというだけでは動き方が分からないんです。
だから結局、立場はどうあれ、山に入って野生動物と向き合ってもらう方々の命に関わるということですので、 確かに今、目の前に危機がありますから、いろんな手を打っていますけれども、来年以降も、クマ対策は春でも必要なので、やっぱり地域を分けるということを考えていかねばなりません。
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