【解説】病院も空爆… ロシア軍攻撃激化 リビウから中継
ウクライナでは、ロシア軍による首都・キエフへの包囲網が狭まりつつある中、病院など民間施設への攻撃が激しさを増しています。ウクライナのゼレンスキー大統領も自身のSNSで、「人々・子供たちはがれきの下敷きに」などと惨状を自ら発信しています。
■空爆された産科・小児科病院 けがの妊婦が運ばれる様子も
ロシア軍が包囲する街では、病院など民間施設への攻撃が激しさを増しています。
9日、ウクライナ・マリウポリにある産科・小児科病院がロシア軍に空爆され、中にいた子供たちや母親は外に避難しました。けがをした妊婦が運ばれる様子もみられました。地元当局によると、「マリウポリでは9日間で1207人の民間人が死亡した」ということです。
こうした事態を受けて、ウクライナのゼレンスキー大統領も自身のツイッターで、「産科・小児科病院にロシア軍の攻撃。人々・子供たちはがれきの下敷きになっている」と惨状を発信しました。
■「人道回廊」で避難も…ロシア軍さらに激しい攻撃か
こうした攻撃は、一時的に停戦して住民を安全に避難させるための「人道回廊」が設置される中で起きたことでした。
この「人道回廊」は9日、ロシアとの合意の元、合計10ルートに拡大されました。これまでロシアが主張してきた「ロシアへ避難するルート」は含まれず、全て「ウクライナ国内への避難ルート」です。
ゼレンスキー大統領は、「この拡大されたルートを通って、約3万5000人が9日だけで避難した」と明らかにしました。
ただ今後、ロシア軍が「住民の避難は完了した」として、さらに激しい攻撃を仕掛けるという見方も出ています。
■首都キエフ制圧目指し…ロシア軍“包囲網” 狭める
こうした中、ロシア軍は首都・キエフの制圧を目指して、徐々に包囲網を狭めています。
アメリカのシンクタンクが「ロシア軍支配地域」、「ロシア軍前進中の地域」を分析した資料によると、日本時間10日午前5時時点で、ロシア軍の部隊はキエフの3方向から軍を進め、包囲しようとしています。
東からの部隊は、キエフの北東・約65キロの地点でとどまっているとみられています。シンクタンクの分析によると、この部隊は通信網を確保しようとしているものの、ウクライナ側の激しい抵抗にあって、そこから先に進めていないということです。
また、最もキエフに迫っているのは、北西約25キロ地点の部隊、南西側に回り込んで約37キロ地点まで迫っている部隊です。ただ、いずれも、そこから先にはなかなか進めていないとみられています。
このように、首都・キエフの包囲網はここ数日、ほぼこう着状態が続いていて、「ロシア軍側が大きく前進した」という情報は入っていません。
ただ、9日に発表された最新の分析では、「予想よりも小規模ではあるものの、キエフへの攻撃が始まったとみられる」ということです。そうなると、キエフから西側などに避難する人も増える可能性があります。
(2022年3月10日「news every.」より)
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