【チェルノブイリ原発】電力供給停止か…ウクライナ外相「ヨーロッパ全体を危険にさらす」
ウクライナの原発を運営する企業は9日、チェルノブイリ原発で電力の供給が停止したことを明らかにしました。「この状態が続くと、放射性物質が外部に放出される恐れがある」と警告しています。
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先月26日、ロシア国防省が公開したチェルノブイリ原子力発電所の映像では、敷地内に多くの兵士の姿がありました。中には銃を構える兵士の様子も確認できます。
1986年に“史上最悪”と言われた事故が起きたチェルノブイリ原子力発電所は、ロシアによる軍事侵攻がはじまってすぐ、制圧されました。
そのような中、9日夜、心配な情報が入りました。
ウクライナの原発を運営する企業が、チェルノブイリ原発で電力の供給が停止したことを明らかにしたのです。
ロシア軍に占拠されている現在、電力を回復する作業ができず、この状態が続くと貯蔵している使用済み核燃料を冷却できなくなり、放射性物質が外部に放出される恐れがある、と警告しています。
原発の運営会社によると、使用済み核燃料がおよそ2万体あるというチェルノブイリ原発。事故後も3基の原子炉が稼働していましたが、2000年、すべて運転を停止していました。
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日本テレビのカメラは2013年、チェルノブイリ原発内部に入りました。
爆発後、放射性物質の放出を抑えるため、鉄やコンクリートで覆われた4号機。石のひつぎ「石棺」と呼ばれています。その石棺の中へ入る前、マスクとヘルメットの着用が指示されます。
科学ジャーナリスト 倉澤治雄氏
「（毎時）3マイクロシーベルトくらいまできています。この周りの壁にも触れることはできませんので」
ある扉の前に案内されると、同行していた放射線測定士が機器を準備。その中には、原子炉を制御するコンピューターの裏側があり、配線だけがむき出しになっていました。
事故後、封印され続けていた場所で、放射線量は毎時およそ9マイクロシーベルトでした。
倉澤治雄氏
「これが制御盤ですね。1986年4月26日、事故を起こしたままの制御盤です。もう塗装もはがれていますし、金属板もはげていますし、廃虚のような感じがします」
事故の瞬間、この場所で十数人が作業に当たっていたといいます。
奥には、原子炉の出力をコントロールする制御棒の状態を示したパネルがありました。
事故で溶け落ちた燃料はコンクリートなどと混ざり合い、原子炉の底で固まっていました。その量は160トンにも及ぶとみられ、近づけば即死するほどの放射線量を放ちます。制御室の壁の向こうには、手つかずで残る溶けた燃料があります。
それを覆い続けていた石棺は、至る所で赤いさびが見られました。事故当時、突貫工事で作られ、老朽化が激しく補修が繰り返されてきました。
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ウクライナの原発をめぐっては4日、ヨーロッパ最大規模のザポリージャ原発を襲撃、占拠したロシア軍。
ウクライナ国内には現在、4か所15基の原発がありますが、ロシア軍は占拠したチェルノブイリ原発やザポリージャ原発以外にも、国内2番目の規模の「南ウクライナ原発」に向けて進軍しているとの情報もあります。
そして、今回、電力の供給が停止したチェルノブイリ原発。
ウクライナのクレバ外相はツイッターに「予備のディーゼル発電機は、チェルノブイリ原子力発電所の電力を48時間まかなうことができる。その後、使用済み核燃料の貯蔵施設の冷却システムが停止し、放射能漏れが間近に迫っている。プーチンの野蛮な戦争は、ヨーロッパ全体を危険にさらす。プーチンは直ちにそれを止めなければならない」と投稿しました。
また、チェルノブイリ原発の設備を修理するため、国際社会に対し、ロシア側に至急停戦を求めるよう呼びかけました。
一方、ロシア国営のタス通信によると、ロシア外務省のザハロワ報道官は「ロシアはチェルノブイリ原発の状況をコントロールしている」と話しているということです。
(2022年3月9日放送「news zero」より)
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