【もしも災害が起きたら】医療的ケア児の避難を考える 知ってもらいたいこと、求められる支援とは…
和歌山県新宮市で、災害時に避難が難しい”医療的ケア児”などの避難について理解を深めるイベントが開かれました。求められる支援とは…。(取材・報告=黒木千晶キャスター)
和歌山県南部の海沿いに位置する新宮市。
南海トラフ巨大地震が起きた際、5分後に高さ3メートルの津波が襲うと想定されています。
こちらでは、災害時に支援が必要な人たちについて、理解を深めるための防災講座が行われています。
主催したのは、新宮市のNPO法人。日常的に医療の力が必要な医療的ケア児やその家族などを支援しています。
災害が起きたときにどういった不安があるのか、地域の人たちに知ってもらいたいと企画しました。
参加者
「防災となると、まず逃げるということをやらないといけないんですけど、寝たきりの子供たちを抱えて逃げられるかどうかというところに、私たちの難しさがあるのかなと思います」
NPOを立ち上げた加藤亜里沙さんの娘・希帆乃ちゃん(10)も、医療的なケアが必要です。
NPO法人「near」 加藤亜里沙 理事長
「4p-症候群という染色体異常を持って生まれてきていて、心臓に疾患があったりとか、腎不全だったりとか、色んな疾患があります」
希帆乃ちゃんは、食事を自力でとることができないため、24時間、チューブを使って胃に直接、栄養剤を注ぎこみます。また、1日5回の薬もチューブでとらなくてはいけません。
(Q:いざ災害が起きて、水が使えなくなったりとなると…)
NPO法人「near」 加藤亜里沙 理事長
「難しいですよね…。水が使えなくなると、希帆乃の場合は食事がとれないので。希帆乃の命が、というところにつながってしまうようなこともあるので」
避難をしたあとも、医療器具のための電気の確保や、衛生面など不安は尽きません。
新宮市では、高齢者を含め、避難に支援が必要な人たちが人口の約15%を占めていて、そのうち個別の避難計画作りが済んでいるのは3割にとどまっています。
新宮市防災対策課の上田紘大 係長
「近くに親族がいれば、そういった(避難の)支援者になってくださるのですが、それ以外の方は支援をしてくれる人がいないのが現状です。今回のイベントをきっかけに、理解が進んでいって支援の輪が広がっていければと思います」
助け合うためには、まずは知ること、そして地域でつながりを持つことが大切です。
来場者
「災害が起きたときに自分がケアの必要な人がいたりしたときに、自分もちょっとでも助けられるような行動ができたらいいなと感じました」
NPO法人「near」 加藤亜里沙 理事長
「何かをしてほしいというよりは、この町に住んでいることを知ってもらって、災害が起きたときに、そういう子供たちがこの町に暮らしていることをたくさんの人たちに伝えていただけたら、支援につながると思いますし、こういう子たちが暮らしていて、何か自分が、荷物を持ったりするだけでも助けになるんだって、そういうことを知ってほしいなと思いました」
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