【医師の過労死】過酷な勤務を訴える同僚の音声入手 病院幹部「半分は勉強や、自分を鍛えるための」

【医師の過労死】過酷な勤務を訴える同僚の音声入手 病院幹部「半分は勉強や、自分を鍛えるための」

【医師の過労死】過酷な勤務を訴える同僚の音声入手 病院幹部「半分は勉強や、自分を鍛えるための」

 神戸市の甲南医療センターの若手医師が過労自殺した問題で2日、遺族が理事長らに対し損害賠償を求めて提訴しました。番組では過酷な勤務実態を訴える同僚の音声を入手。若い医師を死に追い込んだ病院の実態とは。

 26歳の若者はなぜ命を絶たなければならなかったのでしょうか。過労自殺した神戸市の甲南医療センターの若手医師に違法な時間外労働をさせていたとして書類送検された病院側。若手医師の同僚が、何度も過酷な勤務を改めるよう病院に訴えていたことがわかりました。

 専攻医
「このままでは患者さんの命に関わると考えられますので業務緩和をお願いします」 
 病院幹部
「半分は勉強や。自分を鍛えるための…」

 聞き入れられなかった要望。

 高島晨伍さんの兄
「まるで弟の死は無かったかのような対応に、憤りを感じているわけです」
 
 亡くなった高島晨伍さんの遺書
「知らぬ間に一段ずつ階段を昇っていたみたいです。おかあさん、おとうさんの事を考えて、こうならないようにしていたけれど限界です」

 26歳の医師・高島晨伍(しんご)さんは2年前、こう書き残して自ら命を絶ちました。

 遺族は2日、晨伍さんが勤務していた神戸市東灘区の「甲南医療センター」を経営する「甲南会」と具英成理事長に対し、2億3000万円余りの損害賠償を求めて提訴しました。

 高島晨伍さんの母・淳子さん
「私たちだけでは物事が動きません。みんなが気づいていただいて、広めていただくことで物事が変わると思っています」

 2年前の2022年4月。「甲南医療センター」で専門的な研修を受ける専攻医になった晨伍さん。順調にキャリアを積んでいたかに見えましたが、当番業務として外来患者を診ながら主治医としても入院患者に対応。さらにリポートの作成や学会発表の準備に追われる過酷な日々でした。

 労働基準監督署によると、晨伍さんが亡くなる直前1か月の時間外労働は207時間50分。「過労死ライン」とされる月80時間を大幅に上回り、100日間休みがない勤務をしていたのです。

 しかし、病院側は…。

 甲南医療センターを運営する甲南会の具英成 理事長(去年8月)
「病院として過重な労働を負荷していたという認識は持ってございません。特に時間外労働については、自学・自習の時間と生理的な欲求に応じて寝て過ごすということも多々ございます。(時間外労働を)正確には把握できない」

 読売テレビの取材に応じた複数の元専攻医たちは、「病院側から業務時間を調整するよう圧力があった」と証言しました。

 起訴状によると、晨伍さんが亡くなる直前、1か月間の時間外労働は労働基準監督署が207時間と認定していますが、晨伍さんが病院に申告したのはわずか7時間と実態とかけ離れたものでした。

 甲南医療センター 具英成 理事長
「医師というのは学会報告・研究活動・教育活動、そういった諸々のことで育っていく職業なんですね。まさに生涯教育で『一生涯勉強だ』というような典型的な仕事になります」

 こうした実態は晨伍さんが亡くなる前から“悪しき慣習”として病院に根付いていたことが新たにわかりました。

 これは晨伍さんが亡くなる1年前に、同僚の専攻医が病院に提出した嘆願書です。この時のやり取りを記録した音声を入手しました。

 専攻医(2021年5月)
「4月の専攻医の平均残業時間は100時間を超えていたと考えています。このままでは患者さんの命に関わると考えられますので、業務緩和をお願いします」

 病院幹部(2021年5月)
「忙しい、忙しくない、何が忙しいのか、難しいところやけど、それぞれの役割があって、その辺のバランスをとって考えながら…そういう経過の中で、今があるので」

 専攻医らのSOSに耳をかす様子はみられず、この時も時間外労働を「勉強」の場だと退けていました。

 病院幹部(2021年5月)
「言いたいことは、僕らも昔の世代で先生(専攻医)と意識が違うんやけど、主治医してると(週末でも)『今日あの人どうしてるかな?』 と見に行きたいときあるじゃないですか。主治医として、あるいは興味として、自分の入れた薬、例えばカリウムが上がっているか、下がっているか、見たいやん?半分は勉強や、自分を鍛えるための」

 もし、この時、病院側が真剣に耳を傾けていたなら…。2日の会見で遺族は…。

 高島晨伍さんの兄
「どうすれば晨伍は死ぬことなく、いまも医者を続けることができたのか。若手医師だけではなく管理者が、甲南医療センターの問題に目をむけて関心を持ち、推移を見守ること、これ自体が『医師の労働』への意識を高めるきっかけになるのではないか」
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