限られた時間で避難は…震源に近く短時間で街を襲う”超近距離津波” 沿岸部の海底隆起が原因か?
能登半島地震ではわずか1分で津波が到達したところがありました。「南海トラフ巨大地震」でも発生する恐れがあり、関西でも人ごとではありません。
最大震度7の揺れから約30分後の石川県能登町。
車はつえをついた89歳の女性を追い抜きます。
そのまま避難所に向かおうとしていましたが、女性を乗せるため、車は元来た道を引き返します。
この白丸地区、すぐそばに海が広がっています。
男性「地震が起きたけど上に行かないの?車に乗りなさい」
女性を乗せようとしますが、後方のカメラには迫りくる津波の姿が。
女性「みんなどうしたの?」
男性「みんな、もう上にあがったよ」
車は間一髪、津波から逃れることができました。
今回起きた津波についてのシミュレーションです。
南北の方向に発生した赤色が津波。
波は半島の先端にぶつかったあと、回り込むように進みます。東側の水深が浅い場所を進んだ結果、珠洲(すず)市などで被害が大きくなりました。
さらに別のグループの現地調査で、浸水の高さは志賀町で最大5.1メートル、珠洲市で4.7メートル、能登町で3.2メートルだったことが明らかになりました。
今月11日、輪島市内で調査をしていたのは金沢工業大学の有田守准教授らのグループです。
震源が近いため、最速でわずか1分で到達した“超近距離津波”。従来の津波と違い、その高さを割り出すには難しさもあります。
金沢工業大学 有田守准教授
「建物のガラス面についた津波の跡を見つけて、そこの高さを測るんですけど、津波の周期が短いので、津波に建物が浸かっていた時間が非常に短くて、それを見つけるのがかなり難しいというのが、今回の津波の調査の難しい点です」
震源が遠い場合、津波は間隔をあけて、長時間にわたり押し寄せます。浸水時間が長くなり、痕跡が残ります。
一方、今回のように震源から近いと短時間に津波が一気に押し寄せ、水も早く引くために痕跡が少ないというのです。
さらに調査を難しくしているのが、津波は到達したものの、想定以上に被害が少なかった場所も多く存在していることです。
原因の一つとして考えられるのがこの岩の山。隆起した土地です。
実は、波消しブロックの右側は元々は海底でしたが、地震によって盛り上がり、地表に露出しました。
地震によって、隆起が発生し、結果としてこれが“天然の防潮堤”の役割を果たしたという側面があります。
こちらの輪島市門前町では、最大で約4メートルも隆起していました。
また、能登半島の沿岸部では海底が総延長で約90キロ、面積にして4.4平方キロメートルが隆起して、新たな陸が生じました。
金沢工業大学 有田守准教授
「海底の地盤が海面上に露出したことに一番驚きました。(Q:これほどの隆起は珍しい?)かなり珍しいと思います」
わずかな時間で街を襲う“超近距離津波”。まだわからないことも多い中、限られた時間でどう避難をするのか。今こそ確認する必要があります。
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