“異次元の少子化対策”「大学無償化」案に厳しい声　高校生世帯“税優遇”は縮小か　扶養控除は縮小の方向

“異次元の少子化対策”「大学無償化」案に厳しい声　高校生世帯“税優遇”は縮小か　扶養控除は縮小の方向｜TBS NEWS DIG

政府が掲げる“異次元の少子化対策”。その看板政策が揺れています。子どもが3人以上いる世帯を対象とした「大学無償化」をめぐっては、その恩恵が一部にとどまる見通しです。

子ども2人のママ
「（都内で）3人子育てするのは金額的に厳しいかなというので、支援が広がってくれれば本当は欲しいけど。でも厳しいかな、金銭面で」

きのう公表された「こども未来戦略」の案。政府が“異次元”と謳う、少子化対策の具体的な支援策が盛り込まれています。政府は、3人以上の子どもがいる世帯を対象に2025年度から、大学の授業料などを原則「無償化」する方針です。

ただ、条件があり、現状では子ども3人以上が「扶養家族」である場合に限られるのです。例えば、2歳違いで、子どもが3人いる場合、1人目の子どもが就職し、「扶養」を外れると、あとの2人も対象ではなくなります。3人目の子どもにいたっては、ちょうど大学に上がるタイミングで「無償化」の恩恵を受けられなくなるのです。

こちらの女性。高校生、中学生、そして10歳以上離れた1歳の子どもの、3人のママです。

高校生から1歳まで子ども3人のママ
「（初めは）正直嬉しいなとは思いました、（子ども全員）タダになるのだと思って。（1人目が扶養から外れたら）その先はお金かかるんだなって。3人ともとかだとありがたいなと」

国の調査では、18歳未満の子どもがいる世帯のうち、3人以上いるという世帯は12.7％。専門家は、対象となる世帯が「あまりに少ない」と指摘します。

少子化に詳しい中央大学山田昌弘教授
「（子ども3人以上を）全員を楽々、大学に通わせることができる、一部の“富裕層”に限られているんです。金額的にも不十分。でも、対象となる世帯の選定に関しては、もっともっと不十分だと思います」

政府はこの素案について今後、調整を進め、「こども未来戦略」として年内に閣議決定する方針です。

異次元の少子化対策のもう一つの看板政策も揺れています。

自民党税制調査会宮沢洋一会長
「ただいまの時点で公明党との間で、いくつか意見が違う方向にいっている部分があり、その辺りは今日・明日で調整したい」

岸田総理
「高校生の年代まで、支給期間を3年間延長」

岸田総理が6月に打ち出した、月1万円の児童手当の高校生への拡充。しかし、その代わりに自民党税調は今、児童手当と二重の優遇では手厚すぎるとして、高校生世帯の税負担を軽くしている「扶養控除」を減らす案を検討しています。

▼所得税では控除額を年間で13万円、▼住民税は21万円の引き下げが検討されています。この案通りに扶養控除が縮小されると、高校生世帯に新たに支給される月1万円、年12万円の児童手当の恩恵が目減りしてしまいます。子育て世帯は…

小学6年生と中学3年生の親
「（Q.高校生の扶養控除が縮小されるかも）それは困る」
「もう、そうしたらこの国は終わり。どんどん貯金が減っていく中で、なんで？」

高校2年生の母
「異次元ではないかもしれない。（児童手当支給でも）そんなに変わらないのか」