【独自】女子陸上選手のユニ姿を裸に加工しSNS投稿 名誉毀損容疑で大学生を書類送検 弁護士「被害は深刻化」別の現役陸上選手の被害者「国が守ってほしい…」｜TBS NEWS DIG
女性アスリートに対する性的画像の被害が相次ぐ中、女子陸上選手のわいせつ画像をSNSに投稿したなどとして、警視庁がきょう、男子大学生を書類送検したことがわかりました。
捜査関係者によりますと、名誉毀損の疑いで警視庁がきょう書類送検したのは、愛知県の20代の男子大学生です。
男子大学生は今年3月22日、20代の女子陸上選手の写真を加工して作ったわいせつな画像をスマートフォンからTwitter（現X）の自分のアカウントに投稿して不特定多数に閲覧させ、名誉を毀損した疑いがもたれています。
男子大学生は女性がユニフォームを着ている写真をネットからダウンロードし、特殊なソフトを使って上半身が裸に見えるように加工したうえ、元の写真と並べて投稿していたということです。
また、その3日後には別の女子陸上選手のユニフォーム姿の写真2枚とともに「ラブホでやりまくり」などの文言を投稿した疑いももたれています。
警視庁が押収した男子大学生のスマホからは、ネットからダウンロードしたとみられる女子陸上選手らおよそ70人の写真が見つかっていて、同様の手口で加工したわいせつ画像100枚ほどを投稿したとみられています。
警視庁は、東京地検に対し起訴を求める「厳重処分」の意見書を付けていて、事情聴取に対し、男子大学生は容疑を認めた上で「自分の欲求を満たすためにやった」「こんなに大きな事になると思わなかった」「被害者には本当に申し訳ないことをした」と話しているということです。
性的画像の被害を受けても声をあげることのできない現役アスリートが多くを占める中、陸上の七種競技の現役選手で平成国際大学でコーチを務める泉谷莉子さんがJNNの取材に応じました。
泉谷さんは2017年の大学4年時に全国大会に出場した後、「周りの人が応援してくれて感謝しかありません。この気持ちは一生忘れません」というメッセージと共に、後輩と抱き合う写真をSNSに投稿しました。何者かがその写真を保存したうえ、ブルマの部分を切り抜いて、SNSのアカウントのアイコン画像にしていたことを知人から知らされました。
そのアカウントには女子陸上選手のわいせつ画像が大量に投稿されていました。
泉谷さんは自身の被害について「怖いと思って鳥肌が立った。気持ちが悪いという思いと恐怖心を持った。純粋に悲しかった」と話しました。
一方で、「こういう見られ方をするんだなと思った」と状況を客観視しつつ、「自分の投稿が軽率だったな」と被害を受けたにもかかわらず自らの行為を反省したといいます。
女性アスリートの性的画像問題をめぐっては、2020年に日本オリンピック委員会などが共同声明を出していますが、その後も、盗撮行為や画像の拡散が相次いでいます。
この分野に詳しい工藤洋治弁護士によると、「アスリートは特に競技中は無防備で標的にされやすい」「カメラの高性能化やSNSの普及で被害が深刻化している」と指摘。
一方で、今年7月には盗撮を厳しく取り締まる「撮影罪」が施行されましたが、処罰の対象は性的な部位や下着などの撮影に留まっています。現状では、アスリートの盗撮や違法な性的画像は、自治体の条例や名誉毀損罪などでしか取り締まることができません。
工藤弁護士はその背景を「競技場での撮影は不適切な行為がある一方で、適切な行為もある。タイミングや角度による判断の線引きが難しい」と説明。
今後について「韓国やカナダではアスリート盗撮などを処罰する法律があり、日本でも諦めず議論して立法化してほしい」と呼びかけています。
被害者の泉谷さんも「個人ではどうにもできないので、国がいざというときに守ってくれる法律ができてほしい」と訴えていて、改めて国としてアスリートを守る対策が求められています。
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