中国“新地図”が波紋 南シナ海の全域を自国領とする意外な理屈は600年前に遡る?【サンデーモーニング】|TBS NEWS DIG

中国“新地図”が波紋 南シナ海の全域を自国領とする意外な理屈は600年前に遡る?【サンデーモーニング】|TBS NEWS DIG

中国“新地図”が波紋 南シナ海の全域を自国領とする意外な理屈は600年前に遡る?【サンデーモーニング】|TBS NEWS DIG

ASEAN開催を前に中国が発表した“新しい地図”が周辺国との間で摩擦を引き起こしています。特に南シナ海については、国際法に基づく「領海」の範囲を大幅に超えてほとんど全域の“領有権”を主張。そのエリアを囲む「九段線」が意味するものとは?そもそも、なぜここまで大胆な主張をするのでしょうか?歴史を遡ること600年以上、「明(みん)」の永楽帝や鄭和の時代を背景にした意外な理屈がありました。手作り解説でお伝えします。

■波紋を呼ぶ中国の「新しい地図」

8月末、中国が公表し、ASEANの会議でも周辺国が反発した地図。例えば、尖閣諸島は中国表記の「釣魚島(ちょうぎょとう)」と書かれ、インドが実効支配しているアルナチャルプラデシュ州などが中国の領土と表記されています。そして、南シナ海に至っては、中国本土から遠く離れたこの点線で囲まれた海域すべてが“中国の領域”という主張なんです。このエリアは、その形から「中国の赤い舌」「九段線」などと呼ばれてきました。もっとも摩擦を引き起こしているのがこの南シナ海で、この海域を詳しく見ていくと…。

■「領海」とは? 各国の反応

そもそも国連海洋法条約で定められた「領海」は、海岸から12海里、約22kmの海域です。そこを超えて広い範囲を中国は自国の領域だと主張しているのです。今回の地図について、この海域のフィリピンは「主張には国際法上の根拠がない」ベトナムは「我が国の領有権を侵害している」などと一斉に批判しています。

■南の海で実効支配進める中国

中国はすでにここで実効支配を強めていて、例えばフィリピンやマレーシアなどが領有権を主張している南沙諸島では、2006年には何もなかった岩礁に、中国は埋め立てを進め、2022年の写真では滑走路がある軍事基地となっています。ベトナムが領有権を主張する西沙諸島でも、軍事拠点化を進め、戦闘機が活動する様子も写されています。

■領有権の根拠は600年以上も前の時代?

ではなぜ、中国はここを自国の領域と主張しているのでしょうか?話は600年以上前、明の時代までさかのぼります。永楽帝の命令を受けた武将・鄭和(ていわ)が、大艦隊を率いて、東南アジアの国々を訪問。各地の特産物を貢物として明に贈らせる朝貢貿易を盛んに行ったのです。当時、中国人は南シナ海全域に進出して島々に名前を付けていたといいます。もちろん、国際法で領海が定められるはるか以前のことで、中国の専門家、拓殖大学海外事情研究所・富坂聰教授は「中国はこうした遥か昔の歴史を根拠に、この海域を中国のものと主張している」としています。

■「九段線」が拡大?「十段線」に

今回の地図では、これまで「九段線」とされてきた境界線ですが、一本増えて「十段線」となっているのです。増えたのは台湾の東側で、周辺国は懸念を強めていますが、富坂教授は「こうした主張は、中国側がこれまでも繰り返してきたもので、これほど各国から批判が上がるとは思っていなかったのではないか。実効支配を強めてきた自信も感じられる」と話しています。

(「サンデーモーニング」2023年9月10日放送より)

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