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未来の農業“年収1000万円”可能? 「高齢化」「担い手不足」を転機に…玉川徹が取材【羽鳥慎一 モーニングショー】(2023年8月31日)
日本の食料安全保障は、国内の農業生産が鍵です。どうやって日本の農業を支えるか、新たなモデルが必要だと考えられます。番組レギュラーコメンテーターの玉川徹氏が取材しました。
■起業7年 1億円超の売上達成
中森農産の経営者・中森剛志さん(34)。中森さんは個人経営の農家ではなく、株式会社として農業を営むいわゆる「農業法人」で、埼玉県を中心に農場を運営しています。
玉川氏:「これが麦ですね。あんまり見ないですよね。麦って」
中森社長:「これ、もうすぐむけちゃいます」
玉川氏:「本当だ。すぐにむけた」
中森社長:「これが麦。小麦ですね。簡単に取れましたね」
中森農産では主に小麦、米、大豆、トウモロコシを生産しています。起業してまだ7年目ですが、売り上げはすでに1億円を超えています。
■若手に400万円以上の年収設定
玉川氏:「社員1人当たり1000万円目指すということだったんですけど、今、現在どれくらいまでいけているんですか」
中森社長:「400~600万円くらい」
玉川氏:「400万円が下限で、上限は600万円くらいにもう行っている」
中森農産の社員16人の年収はおよそ400万円から最高600万円で、日本の全業種の平均年収443万円に匹敵します。
玉川氏:「なかなか農家と言ってもお金にならないというところが多いなかで、何でそこまで年収が上がってきたのでしょうか」
中森社長:「僕からすると、逆算的にそのくらいの年収がないと人が来ないので、結局人材が入ってこないと会社の成長もないので」
中森農産では若い人材が農業に参加するハードルを下げるために起業当初から、年収400万円以上を設定していました。週休2日・労働時間は8時間と勤務体系も一般的なサラリーマンと変わりません。
玉川氏:「ここは、田んぼ?」
中森社長:「田んぼです」
玉川氏:「米はここでやっているということ?」
中森社長:「そうです。ついこの前まで麦畑ですね」
中森農産では麦を刈り取った後の畑で米を作る「二毛作」を実施し、年間を通して農作業を行っています。農閑期を作らず、少ない人数で大きな面積を耕作することで、労働生産性を高めています。
玉川氏:「やっぱり休みがちゃんとあるというのは大事ですか?」
IT企業から転職した高梨一樹さん(28):「そうですね。やっぱり疲れちゃうので」
玉川氏:「農繁期でも、ちゃんと休みがあるということは若い人には大事?」
高梨さん:「自分の時間を大事にしたいというのもありますし」
玉川氏:「前職は?」
ホテル業界から転職した黒田拓弥さん(32):「ホテル業をやっておりまして」
黒田さん:「ホテルマンの時はレストランサービスにいたんですけども、やっぱり料理の時に輸入の食材とか多いなと感じていたので、そこから国産の食材とかに目がいくようになりまして。自分たちで農業をやりたいなというのは思いました」
玉川氏:「収入の面は正直言ってどうですか?」
黒田さん:「かなり上がりましたね」
玉川氏:「ホテルマンの時よりも?」
黒田さん:「(収入は)上がりました」
■「年収1000万円」実現目指す
中森農産社員の平均年齢は28歳ととても若く、ほとんどが農業未経験者だといいます。
もし、彼らが個人で農業を始めようと思った場合、農地やトラクターなどの設備を自ら準備する必要があり、参入のハードルはとても高くなります。
しかし、作業のマニュアルやシステムが構築されている農業法人に就職することで、未経験者の若者でも参入しやすくなるといいます。さらに…。
玉川氏:「ここで今、どういう作業をされていたんですか」
中森農産 埼玉エリア所長 佐藤康平さん(30):「ここは、お米の苗を育てている所です」
佐藤さんは、4年前にシステムエンジニアから転職しました。社員のシフトや農作業工程の管理を行う、いわゆる管理職の立場にいて、社内で年収1000万円に一番近い人材だといいます。
玉川氏:「当然ながらサラリーマンであれば、いわゆるいずれ取締役とか、そういうのになりたいっていうのがサラリーマンは普通だと思うんですけど。どんどん規模を大きくしていけばあり得るということですかね」
佐藤さん:「取締役になりたい人は目指せる。そうではなくて、専門性を突き詰めるという人がいれば、そういう人が活躍するステージもある。ワーク・ライフ・バランスをとるという選択もできるというのは、やっぱり規模が大きくて人がいないとできないことだと思うので、そのためにはやっぱり組織化は重要かなと思っています」
では、具体的にどうやって会社の収益を上げ、社員の年収1000万円を目指すのでしょうか?
中森社長:「一番はスケールメリット」
玉川氏:「スケールメリット」
中森さん曰く、収益を上げるために欠かせないのが「農地の広さ」です。
中森社長:「機械って本当は365日動くじゃないですか。これが年間で2日しか動かないというと、この機械の資本生産性ってものすごく低いんですよね。これ大規模化していくと年間100日動きますというと、ものすごく効率が上がってくるんですよね。機械化を進めて稼働率を上げていく。スケールを大きくしていくことで、あらゆる生産工程が効率化されていく。そこを目指している」
中森農産では2017年に会社を始めてから年々、農地を拡大しました。現在、埼玉県を中心に茨城県、栃木県の3県で農地を展開し、東京ドーム約64個分の300ヘクタールにまで拡大しました。
農地の広さに比例するように従業員数や売り上げも伸び、今年は2億円にまで上る見込みです。
■中森さんが目指す「未来の農業」
玉川氏:「次の展開はどの県に広げていこうと思っている?」
中森社長:「全国的に高齢化が進んでいるんですけど、担い手が不足してるような地域に入っていく準備はさせてもらっています」
中森農産の農地は、全て借りている土地です。全国的に展開するためには、さらに農地を借りる必要があるのですが、それこそが中森さんが目指す「未来の農業」の狙いの一つだというのです。
玉川氏:「耕作面積を増やすということは、それだけ農地を貸してもらわないといけない」
中森社長:「おっしゃる通りです」
玉川氏:「耕作が無理だよという人が増える割合の方がずっと大きいから、皆さんからすれば(農地を)どんどん集めて大きくしていける。そういう局面にあるんですか」
中森社長:「そうです」
■リタイアする高齢者「農業変革チャンス」
現在、日本の農業従事者は約123万人で、半数以上が70歳を超えています。「20年後には中心となる人材がおよそ25万人と大幅に減ってしまうことが確実」と言われています。
しかし、中森さんは、この高齢者がリタイアしていく状況こそが日本の農業のあり方を変えるチャンスなのだといいます。
玉川氏:「高齢化が進んで就農人口が減っていく。こういう局面だということは、すごく悪いことしかないなと思っていたんですけど、規模を拡大する中森農産みたいな会社にとってみれば追い風かもしれないということですか」
中森社長:「もちろんです。追い風というかそういう状況なので来たので、特に日本の農業は戦後の農地解放で地権者が分散しまして、大規模化が構造上難しくなっていた。それが約80年経って地権者たちが農業をできなくなっている。兼業農家さんも含め、農業できない人が多勢になってきて。要は逆転現象っていうか、80年ぶりに産業構造が変わるという節目がもうじきやってくる」
玉川氏:「社員1000万円を目指すということだが、今の計画だといつくらいに実現できそうですか」
中森社長:「3年後ぐらいですかね」
玉川:「3年?そんなもんでいいんですか」
中森社長:「いけると思います。はい」
玉川:「行ける?」
中森社長:「はい」
担い手が減り続けるピンチを逆手に取り、日本の農業発展を目指す中森社長。さらに、その先にあるという大きな目標とは…。
■「食料安全保障の確立を目指す」
農業界に若い人材を取り込み、社員の年収1000万円を目指す中森社長。その先にある目標があるそうです。
中森社長:「基本的には、日本の食料安全保障に直接貢献できるようにお米生産の10%」
玉川氏:「日本のですか?」
中森社長:「はい。日本の10%を担うような会社になろうと」
玉川氏:「一つの会社で日本の生産量の10%を担いたいと」
中森社長:「僕が農業を始めた理由が、食料安全保障を日本に確立したいという目的で始めたので、そのためには自分がやっていける。農場1個やるでは日本の食料安全保障とかには焼け石に水じゃないですか。なので、そこにインパクトのあるような事業に会社にしていこうという方針でやっています」
(「羽鳥慎一モーニングショー」2023年8月31日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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