日大アメフト薬物事件　大学側が“植物片”など回収も→12日後に警視庁に報告…なぜ後手の対応に？【Nスタ解説】

日大アメフト薬物事件　大学側が“植物片”など回収も→12日後に警視庁に報告…なぜ後手の対応に？【Nスタ解説】｜TBS NEWS DIG

日本大学のアメリカンフットボール部の寮から違法薬物などが見つかった事件について。なぜ日大側の対応が後手になってしまったのか?5年前の“悪質タックル問題”から日大を取材し続けている大学ジャーナリストに聞きました。

■改革はどこへ次々と後手の対応が…

日比麻音子キャスター:
8月8日に日大の林理事長が会見を開く予定ですが、一体説明があるのでしょうか?まずは、事件の経緯について見ていきます。

▼2018年:日大アメフト部“悪質タックル”問題▼2022年4月:田中前理事長が脱税で有罪判決▼2022年7月:林真理子新理事長が就任

22年、新しい理事長になったということで大学は組織の刷新を宣言しました。▼全て男性だった理事を24人中8人を女性に▼過去のことについて調査をするべく「特別調査委員会」を設置▼田中前理事長らへ11億円超の損害賠償を請求。こういった改革の動きの中、新たな事件が発覚してしまいました。

今回の事件、2022年11月には大学に「部員が大麻を使用している」という情報提供がありました。これを受け、日大は聞き取り調査のみを実施。その結果、「問題はなかった」と結論づけたものの、それ以降も情報提供が続きました。そして、23年6月に警視庁はさらなる調査を日大に促しました。

日大側が追加で調査し、7月6日には寮から植物片などを回収しました。しかし、大学は回収から12日後に警視庁に報告していたことがわかりました。

■林理事長は知らなかった?学生逮捕で8日に会見へ

日比キャスター:
林理事長の発言も見ていきますが、8月2日の時点で、林理事長はこれらの流れに関して「違法な薬物が見つかったとか、そういうことは一切ございません」と否定していました。

ところが、8月3日に大学の寮を家宅捜索、8月5日にアメフト部員の北畠容疑者（21）が逮捕されました。

捜査関係者は「（大学側の対応に）隠ぺい体質を感じる」などとも指摘しています。

こうした流れに関して、大学ジャーナリストの石渡嶺司さんに聞くと、「林理事長にはこの内容を知らされていなかった可能性が高いのではないか」と指摘しています。

石渡さんによると、体育会系部活でこのような不祥事が起きた場合、競技スポーツ部の職員→競技スポーツ部の管理職→学長・副学長→理事長という順序で報告されるべきですが、理事長は知らなかったのではないかという指摘が聞こえてきています。

ちなみに日大では3年前にもラグビー部員が大麻を所持したとして逮捕されていました。このときの対応について、石渡嶺司さんは「薬物に関する知識が無いとは考えられない。林理事長に反感を持つ職員があえて伝えなかった可能性もあり、明日の会見でどう説明するのかが注目される」ということです。ちなみに、3年前はホームページで報告し、会見などは行われていませんでした。

ホラン千秋キャスター:
日大を巡ってはガバナンスに問題があるとたびたび指摘されて、トップが林理事長に変わりました。しかし、トップが代わっても内部が刷新されたわけではないとなると、これまでの体制が水面下で続いていることも考えられます。

大学としての隠蔽体質なのか、それとも林理事長が蚊帳の外のような状況なのか、どう思われます?

若新雄純慶応大学特任准教授:
日大は学校法人全体で見ると教員とは別に職員も数千人いる超大組織なので、結論から言うと、かなり大がかりな民主化を図らないと難しいんじゃないかと思ってるんですよね。

林さんが理事長になることで改革の旗印になって、改革してるよねって雰囲気を出してる一方で、これまでの古い体質で甘い汁を吸っていた人がいたと思うんですよ。

一方で、それがどうなのって思ってるような勢力もある。つまり隠蔽体質って相当複雑な派閥争いの匂いがするんですよね。この派閥がずっとゴタゴタ揉めて争っている限りは、トップをちょっと変えても結局どっちの派閥が強くなってこっちがそれを邪魔してってことの繰り返しじゃないですか。

そうではなくて、日大に関わる全ての人で選挙をしたり、派閥の力学でこの人を選ぶ・変えるではなくて、教員や学生やその保護者も含めてこういう人に経営をしてもらいたいっていう1つの町を運営するようなオープンさを持たないとこの体質は変わらないんじゃないかなと思いますね。

ホランキャスター:
数千人規模の職員を全員新しくするのは非現実的なわけじゃないですか。その中で取りうる効果可能な選択というのは?

若新雄純慶応大学特任准教授:
今回、理事が女性もたくさん入ったと言うんですけど、選挙したわけじゃなくて、いろんな派閥の力学で今回この人を選んどいて、みたいなことが続いていたと思うんです。

大学では珍しいかもしれないけど、こういうふうに大学を変える、こんな運営をするから私たちを選んでくださいと、フェアに選ぶ。それが微妙だったら選挙してまた変えていく、みたいなことが必要なのかもしれない。民主化に触れるかどうか、8日の会見に注目したいです。

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