【「酒瓶」が不足】スイーツやラムネの瓶も… 背景に“新型コロナ”需要回復も増産できず
日本酒を入れる「酒瓶」が全国的に不足しています。秋田県の酒造会社では、来月分の瓶の入荷のメドは全くたっていないといいます。他にも、スイーツやラムネの瓶なども不足。仕入価格も高騰する事態となっています。
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暑い時期にピッタリの爽やかな味わいで、本来なら今が「夏酒」の出荷の最盛期です。しかし、日本酒を入れる「酒瓶」が全国的に不足する深刻な事態が起きています。
秋田県横手市の酒造会社「日の丸醸造」が、SNSで“悲鳴”を上げていました。
日の丸醸造のSNS
「肉体的にも精神的にも厳しいです」
「深刻な瓶不足はいつまで続くのでしょうか…」
酒蔵を訪ねると、去年の11月頃から瓶の入手が難しくなり、今では種類を選ぶ余地がないほどだといいます。
日の丸醸造 製造部 長江祐昌主任
「こちらが茶瓶です。本来であれば緑の瓶を使う予定でした。瓶がないので売るために(茶色の瓶に)詰めるしかなかったです」
あと1週間ほどで月が替わりますが、来月分の瓶の入荷のメドは全くたっていないというのです。設備の関係上、紙パックなどに切り替えるなどの対応も難しく、「瓶」を確保するための“苦肉の策”として「冷蔵庫内で貯蔵しているものを空けざるを得なかった」といいます。
先月には一度、瓶に詰めて冷蔵保存していた日本酒5000本を、タンクへと戻して空き瓶を用意。目下、出荷時期が迫っている「夏酒」の瓶に代用するほど追い込まれているのです。
――(タンクに戻した酒は)瓶がないから行き場がない?
日の丸醸造 製造部 長江祐昌主任
「そうです。“精神的にキツイ”ものがありました」
そこで、この“ピンチ”を知ってもらおうと、あのSNSをアップしたのです。
この深刻な瓶不足の背景にあるのは「新型コロナウイルス」の感染拡大です。飲食店の需要減少などを背景に、一升瓶の出荷本数は2019年には4936万本でしたが、2021年には3892万本に落ち込みました。
行動制限が緩和された去年は、出荷本数はやや回復したものの、酒瓶などを製造する大手の会社が、兵庫県の工場での生産を去年12月に停止。コロナ禍が落ち着いた今年は一気に瓶の需要が増えましたが、急きょ増産するのは難しく、当面はひっ迫した状況が続くとみられているのです。
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深刻な瓶不足は日本酒だけでなく、祭りの縁日などでもおなじみの夏の風物詩「ラムネ」にも広がっています。瓶を製造する会社がコロナ前より減ったため、都内にある会社では需要は急増しているのに、ラムネの製造本数を思うように増やせていないということです。
実は、いろいろな場面で重宝されている「瓶」。その不足によって、レアで柔らかいティラミスを瓶に詰めて販売する都内のスイーツ店「TIRAMISU HOME MADE」では、仕入価格の高騰にも苦しめられています。
TIRAMISU HOME MADE 野田淳也代表
「値上がっていますよ、どんどんどんどん。『瓶だけは上がらないで』というところは正直ある」
フタを含めた瓶の価格は1年で2割ほど上がりましたが、使用する食材を工夫するなどして、商品の販売価格は現状据え置いています。しかし…
TIRAMISU HOME MADE 野田淳也代表
「調整できないところなんです。瓶って(食材などの)原材料とは違って。今後は(商品の値上げを)どうしようか考えています」
私たちの「食」にも大きな影響を及ぼす「瓶不足」。
秋田県の酒造会社、日の丸醸造の長江さんが「飲んだらリユース、リサイクルに回す」と話すように、貴重な資源である「瓶」の循環方法について、私たちも真剣に考える時が来ているのかもしれません。
(2023年5月24日放送「news every.」より)
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