ゼレンスキー大統領来日“歴史的瞬間”「核による脅しの居場所はない」被爆地から支援訴え
21日、戦時下の大統領の姿は被爆地・広島にありました。原爆資料館を視察後、慰霊碑に献花を行ったウクライナのゼレンスキー大統領。
黒木千晶キャスター
「ウクライナのゼレンスキー大統領が平和記念公園に入りました。その近くのおりづるタワーからはウクライナの人々がゼレンスキー大統領に見えるように青と黄色の国旗を掲げています」
平和記念公園に隣接する建物では、母国から避難した人やその家族らが集まり、広島訪問を歓迎しました。
ゼレンスキー大統領
「我々の街は原爆資料館で見た廃墟にそっくりだ。私が広島にいるのは、ウクライナから世界へ団結を呼びかけるためだ」
ロシアによる核の緊張が高まる中、国際社会に平和の実現を訴えたゼレンスキー大統領。「広島が原爆の惨禍から復興したのと同じようにウクライナも復興したい」とも述べました。
「いやーもう、やっぱりびっくりしました」奈良県生駒市に住む大田孝由さん(76)。母親と兄が広島で被爆し、その2年後に広島で生まれた、いわゆる“被爆2世”です。現在は、語り部としても活動しています。
大田さん
「核兵器を使うという事態にならない、その前で押しとどめておいていただきたい。そのためにいろんな条件があるというのはわかるし、ロシアがどういう出方をするかわからないが、命は失われたらもとに戻らないんです」
20日にフランス空軍の軍用機で来日したゼレンスキー大統領。ロシアから侵攻を受けて以降、初めてのアジア訪問となりました。到着後、フランスのマクロン大統領やイギリスのスナク首相などと相次いで会談し、「ウクライナへの支援の継続」を“直談判”。
アメリカのバイデン大統領との会談では、同盟国からF16戦闘機の供与を受けることを認めてもらうなどの成果を得ています。また、バイデン大統領はF16戦闘機の操縦訓練をウクライナ兵に開始するとも伝えました。
ロシアへの制裁に加わらない「グローバルサウス」と呼ばれる新興国・途上国への説得も注目されました。
黒木キャスター
「インドのモディ首相が現れました。ハウ・イズ・ジャパン?」
その代表格、インドのモディ首相に直接訴えることで、ロシアへの圧力を強めたい狙いがあったとみられるゼレンスキー大統領。侵攻後、初となる対面での会談でモディ首相はー。
モディ首相
「ウクライナ情勢を解決するためにできる限りのことをすると保証します」
一方、ゼレンスキー大統領は地雷の除去などの支援についてモディ首相に説明したということです。
昨年6月、ウクライナのキーウから母親と避難してきたアンナさん(21)。21日、兵庫県淡路市の自宅で“歴史的な瞬間”を見つめていました。
アンナさん
「やはり日本にいらしたことは私たちにも勇気を与えてくれます。ウクライナ侵攻のことに注目してもらうことも、すごく大事。インドとかあまり立場がまだ決まっていない国の代表と直接話して、もしかしたらウクライナ側に目を向けてくれるようになるのかなと…」
アンナさんの母
「(広島で)核兵器の使用後、どれだけ街が壊されていたか、みんなよく知っています。ロシアがウクライナに核兵器を使用する心配があります。広島でのサミットの参加を機に平和につなげることが大事です」
「核による脅しの居場所はない」原爆資料館でこう記帳し、昨夜、帰国の途についたゼレンスキー大統領は機内で動画メッセージを公開。G7での手応えを語りました。
広島滞在を終え、昨夜、帰国の途についたゼレンスキー大統領は機内で動画メッセージを公開。G7での手応えを語りました。
ゼレンスキー大統領
「世界はウクライナの立場に耳を傾けています。安全保障と領土奪還についてです。ここ広島では名誉ある参加者としてG7に出席しました。G7に本当に感謝しています」
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