ベッド転落6日後に死亡…コロナ禍の介護施設に不信感「ブラックボックスなのね、今施設って」【報道特集】|TBS NEWS DIG

ベッド転落6日後に死亡…コロナ禍の介護施設に不信感「ブラックボックスなのね、今施設って」【報道特集】|TBS NEWS DIG

ベッド転落6日後に死亡…コロナ禍の介護施設に不信感「ブラックボックスなのね、今施設って」【報道特集】|TBS NEWS DIG

介護施設に入所した101歳の女性が、ベッド転落から6日後に死亡した。この死をめぐり、市は施設側の「虐待」を認定した。コロナ禍で一部の介護施設はブラックボックス化したとされる。不信感を募らせた遺族が取った行動とは。

■101歳の母、特養でベッドから転落…6日後に死亡

中国地方に住む福井清美さん、71歳。2021年7月、101歳の母親を亡くした。

福井清美さん「これは母が100歳のときに総理からいただいた賞状。ギネスに載るんじゃないかというほど元気だったんですけどね…」

福井さんの母・美枝さんは88歳のころ、認知症を発症。2016年8月に地元の特別養護老人ホームに入所した。

福井さんの妻・伊津江さん
「最初に老人ホームに移ったときは、本当に嬉しそうだった。前の施設にいたときよりも明るいし、私たちが行っても喜ぶし」

しかし、2021年7月5日、美枝さんはベッドから転落。翌日、突然施設からその知らせが入った。

福井清美さん「最初は『シーツを交換していて、誤ってベッドから落としてしまいました』という言葉でした。医者にかかったが『異常がない』ということで『このまま様子を見ます』ということでした」

ところがその6日後、美枝さんは死亡した。死因は「肺炎」だった。

■“家族の知らなかった”記録が…

施設でベッドから転落し、その6日後に亡くなった福井美枝さん(享年101)。

転落した翌日(2021年7月6日)の朝、美枝さんは地元の診療所を受診した。
そこで医師からは「頭部打撲」と「頭蓋内出血の疑い」と診断された。その後、施設に戻り、施設の嘱託医からは「様子見」とされた。

ベッド転落から亡くなるまでの6日間、対応に疑問を持った福井さんはその後、施設に情報の開示を求めた。すると知らなかった事実が次々と明らかになった。

当時、美枝さんの介護にあたった職員たちが記入したケース記録がある。

ベッドから転落した翌日の6日13時12分「肩呼吸ぎみ」。さらに、16時30分には「肩呼吸でしんどさあり」と記録されている。

「肩呼吸」とは呼吸困難が強度になった時に起こる呼吸で、末期の状態などにも見られる症状だ。

また、同じ日の17時30分から18時にかけて「喘鳴あり」と記録され、それが翌7日も続いている。「喘鳴(ぜんめい)」とは気管支が狭くなり、「ゼーゼー」という異常な音を出し、呼吸困難になることだ。

当時、美枝さんの状況を見ていたという施設の元職員から話を聞くことができた。

施設の元職員「肩で息しているのは覚えてます。足も少しは動かしておりましたけど、あんまり動かなかった」

美枝さんがベッドから落ちた2021年の7月、世の中はコロナ感染拡大の真っ只中だった。施設での面会も一時中止になったが、息子の要望で短時間だけ会うことが許された。

転落事故から2日後の7月7日、夫婦で会いに行くと…

福井清美さん「頭にお椀を被せたぐらい、こんな(腫れた)頭になっていました」

美枝さんの頭頂部は大きく腫れ、コブのようなものができていたという。ただ、その時の容態は落ち着いているように見えたため、2人はそのまま施設を後にした。

その4日後、美枝さんは亡くなった。

■「特養で見る状態ではない」疑問残る現場の対応市は虐待認定

日本高齢者虐待防止学会の副理事長・遠藤英俊医師は、記録を見る限り現場の対応に疑問があるとした。

日本高齢者虐待防止学会遠藤英俊副理事長
「肩呼吸と、ここでいう喘鳴というのは今までなかった症状なので、おかしいと思わないといけない。少なくとも、特養で見る状態ではない。激変している、悪化している」

美枝さんの死について、これまで福井さんは市に何度も問題を告発してきたが、思うような進展は得られなかった。

だが、2023年3月、ようやく市は美枝さんに対する虐待を認定した。市から説明を受けた際、福井さん側が証拠として記録した映像がある。

【市から説明を受けた際の映像】市の担当者「利用者の症状に応じた受診などの対応が遅れたことについて、不適切なケアなのか虐待なのかというなかで、市としては『虐待』ということで認定をさせていただいたところでございます」

市の認定は、美枝さんが医療が必要な状況だったにも関わらず、緊急対応を行わなかったことなどが虐待にあたるとのことだった。

施設は、市の虐待認定をどう受け止めているのか。

施設のコメント「専門医と嘱託医の指示に基づいて適切に対応しました。虐待にあたるような放棄・放任は行っていません。美枝さんをベッドから転落させてしまったことは申し訳ないと思っています」

当時、美枝さんを診察した診療所と施設の嘱託医を取材すると、「診断に問題はない。カルテに書かれてある通り」と回答した。

■「ブラックボックス」介護施設での“虐待”10年で約5倍に

高齢者が介護施設の職員などから虐待を受けたとされる件数は、2021年度に全国で739件。この10年で約5倍になり、調査開始以来、過去最多になった。

遠藤医師は、コロナ禍の影響を指摘する。

日本高齢者虐待防止学…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20230506-6083476)

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