日本のアニメが中国で記録的ヒット 「世界興行が別のフェーズに入った」海外作品を規制している中国市場に変化【Nスタ解説】|TBS NEWS DIG
日本で大ヒットした映画「スラムダンク」が20日から中国の映画館でも上映が始まりました。今、中国では日本のアニメ映画の記録的ヒットが続いています。
■日本のアニメが続々と中国で記録的ヒット 「世界興行が別のフェーズに入った」
井上貴博キャスター:
「名探偵コナン」なども爆発的な人気を博しているなか、中国で20日に公開されたのが「THE FIRST SLAM DUNK」。中国では今、興行成績がリアルタイムで確認できるアプリがあります。見てみると「スラムダンク」「すずめの戸締まり」など、さまざまな映画がランクインしています。
スラムダンクだと日本円で13億円を超えており、中国の前には韓国と台湾でもヒットとなりました。
韓国では1月に公開され、観客動員数が400万人を超えました。「学生時代に経済危機を体験した30~40代が、登場人物の成長物語に慰められている」とも報じられているようです。観ると自分の青春時代がオーバーラップしていき、グッとくるところ、涙腺が弱くなるところがかなり多い映画だといえます。
そして3月24日に公開された新海誠監督の新作、「すずめの戸締まり」。着想が素晴らしく、「ここからどう展開していくのか」という新海誠監督の“妙”、“ワザ”がたっぷりと詰まっている映画です。中国での興行収入は147億円を超えました(18日時点)。
一方、日本での興行収入は144億7900万円(16日時点)。分母となる人口が違う分、ヒットすれば中国での興行収入が増えるのは当然に思えますが、やはり流れ、ムーブメントが変わってきています。
新海誠監督ご自身も「日本のアニメーションの世界興行が別のフェーズに入ったと実感」とツイート。今までの日本でも世界興行は考えられており、ハリウッドが多かったけれども、これからは中国市場が大きく跳ねていきそうだというわけです。
■中国では海外作品に規制をかけるも…ネット配信の人気トップ5に日本の3作品がランクイン
でも中国では基本的に、海外作品の上映数は年間で約60~130本に限られています。
2021年の実績でいうと、日本の映画で認められたのは年間だいたい6本で、それくらい厳しい規制です。そして海外アニメをテレビ放送するとしても、ゴールデン帯近くの一番いい時間帯(午後5~9時)はNG。2015年には、中国当局が「進撃の巨人」など38作品を取り締まり対象に入れました。「民衆蜂起などにつながると困る」ということで、ストーリーにも規制をしています。
ですが中国国内で日本のアニメや漫画の人気は高まっており、需要に合わせてどんどん広がってきています。インターネットがありますので、いくら規制をかけても効きません。
ネット配信でも日本アニメが続々配信されています。
動画配信サイト「bilibili」の資料によると、2022年度の人気新作アニメランキングを見ると、1位と3位は中国アニメですが、2位は「SPY×FAMILY」、4位は「鬼滅の刃」、そして5位は「王様ランキング」。トップ5に日本アニメが3つ入っています。
拓殖大学・海外事情研究所の富坂聰教授は「海賊版が横行していた時代から日本アニメは若い世代に絶大な人気があった。中国アニメの成長もあり、市場規模は拡大の一途。相対的に今、ハリウッドの力が少しなくなってきているといわれていますので、日本アニメの需要が世界で高まっていくのは間違いない」という分析です。
ホラン千秋キャスター:
映画館だけでなく動画配信サービスなどもたくさんあり、国境は関係なく、いろいろな国や地域の作品を楽しめる時代になりました。そこから「あっ、この国のこういうものが面白いんだ」とファンが広がって増えていくことは普通にありますし、日本のものが愛されてると聞くと嬉しいですね。
田中ウルヴェ京 スポーツ心理学者:
(アニメや漫画は)他国の違いを知ることもできるし、「人間としての共通項ってこれなのかな」とか考えることも可能です。井上雄彦先生のどの漫画もそうですけれど、例えばスラムダンクには単に楽しい、興奮する場面だけでなく、“本質”が入っています。バスケットやスポーツが好きなだけじゃない、スポーツに興味のない方でも「そもそも自分って誰なんだ」とか「諦めるってどういう意味なんだ」とか考えさせられます。そういうストーリーだと世界共通でウケて、共感されるところがあるのかなと思います。
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