“首相襲撃”男は選挙制度に不満、立候補できず国を提訴 警察は海中で爆発物の破片を捜索 足取りは…
和歌山市で、岸田首相の演説直前に爆発物が投げ込まれた事件で、逮捕された兵庫県川西市の木村隆二容疑者(24)が、昨年、国会議員の選挙制度に不満を持ち、国を相手に裁判を起こしていたことがわかりました。
事件発生から3日がたった18日。現場では、新たな動きが…。
古井林太郎記者「現場では警察による海中の捜索活動が続いています。爆発物の破片などを探していると見られます」
警察のダイバーらが、現場のすぐ横にある海に入り、爆発物の破片を探す作業を始めました。
岸田首相の演説会場で起こった爆発。投げ込まれた爆発物は、衝撃で聴衆を飛びこえ、約40メートル先で、筒状のものが見つかりました。
近くの小屋の壁には、大きなへこみが見つかり、爆発物が当たってできた可能性もあります。
警察はこの日、さらに奥の方へと範囲を広げて、遺留品を調べていました。破片をすべて集め、場所や形状を把握することで、どの程度の威力があったのか確認するのが狙いです。
一方で、現場で落ちていた木村容疑者のリュックサックについては、押収したものの、爆弾が入っている恐れがあり、まだ、中を確認できていないということです。
17日、身柄を検察庁に送られた木村容疑者。小学校・中学校の同級生はーー。
小・中学校の同級生「すごくまじめでおとなしい性格でした。小学生の時より、おとなしくなっていると思います」
中学校に入り、目立たなくなったといいます。
逮捕後は、黙秘を続け、事件について何も語られていません。
そんな中、新たな事実が判明しました。
木村容疑者は、昨年6月、神戸地裁に裁判を起こしていました。裁判資料からわかるのは、国の選挙制度への不満。
木村容疑者は、昨年7月に行われた参議院選挙に、立候補しようとしたものの、被選挙権をみたさず立候補できなかったことで、精神的苦痛を受けたとして、国に対し10万円の損害賠償を求めていました。
訴えは退けられ、大阪高裁に控訴しましたが、昨年12月に提出された書面では、こんな主張を。
「投票行為が抑制され、既存の政治家は国民に信任を得ずとも、“統一教会”などの組織票で当選し、利益を不当に独占し、国民に損害を与え続けている」
さらに、安倍元首相の国葬にも触れ、「反対多数の中で強行した」と、岸田内閣を批判していました。
また、昨年9月には、木村容疑者とみられる男が、当時の兵庫・川西市議会議員の市政報告会に参加し、被選挙権について「憲法違反だ」と、話していたこともわかりました。
市政報告会に参加した人「若い子が珍しく来ているなという感じがあった。若い子なのにしつこく聞かれるなというのが正直な感想」
木村容疑者の自宅があるのは、報告会が行われた兵庫県川西市。事件現場までは、どのように移動したのでしょうか。
神田貴央記者「ここ南海和歌山市駅では、事件が起きる約1時間前、木村容疑者に似た男が、改札を通る姿が映っていたということです」
私たちの取材では、南海電鉄和歌山市駅の防犯カメラに木村容疑者とみられる人物が映っていたことがわかっています。
駅近くのスーパーマーケットには、よく似た人物が、店内をウロウロする様子が……。
その後、事件の30分ほど前に、演説会場近くのバス停で、よく似た人物が見かけられていました。
見かけた住民「バス停で降りて、スマホ見ながら階段を下りて行った。全然、迷うことなく」
そして……。
古井林太郎記者「木村容疑者は、この細い道を下りてきた後、200mほど先にある岸田首相の演説会場へと向かったと見られます」
その演説会場へと続く道では、複数の防犯カメラに木村容疑者とみられる男が映っていました。
中には、岸田首相を乗せた車列を追うかのように、警察官の背後を通っていく姿も……。
その約15分後、事件が起きました。
動機の解明が焦点となる一方で、事件現場は近年、要人警護が行われた実績のない場所だったことが、新たにわかりました。事件を未然に防げなかった当日の警備態勢について、すみやかに検証を進めることが求められています。
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