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57歳で“潜水士”自ら取得 不明の妻捜し…女川湾を500回以上捜索(2023年3月11日)
先月終わり、ダイバーが飛び込んだのは、女川の冬の海。冷たい海を深く、さらに深く…目指す先は、水深36メートルの海の底。
横倒しになった車に絡まったロープ、本のようなものも。そこは、津波で流された12年前のまま。
高松康雄さん(66):「実際、時間が経つとどんどん難しくはなる。このどこかに妻がいるのかなと思うと、やはり海に潜っているだけでも良いかな」
震災から2年後の捜索。その様子を見つめる、高松康雄さん。妻の祐子さんが津波にのみ込まれ、行方が分からないままとなっていました。
高松康雄さん(当時56歳):「ここまで来たら無事ということはないと思うんで、せめて遺体の遺骨の一部でも連れて帰りたいと」
12年前、海の近くにあった銀行の行員だった妻・祐子さん。高さおよそ14メートルの屋上に避難しましたが、想像を超える巨大津波にのみ込まれました。
唯一見つかった、祐子さんの「証し」。携帯電話には、津波到達直前に屋上から送られたメッセージが残っていました。
「大丈夫?帰りたい」
高松康雄さん:「つらかったでしょうね」
この手で、妻を連れて帰りたい。高松さんは決意します。
高松康雄さん:「自分でも行動に起こさないとダメだなと思って」
57歳で潜水士の国家資格を取得。その後もトレーニングを重ね、自ら捜索に加わりました。
高松康雄さん:「『危ないことしないで』って言っているんじゃないかな。早く出てきて下さい。一緒に帰りましょう」
あれから10年で、500回以上。被災地の海に潜り続けている高松さんは、この日も…。ここは3年前に見つけたがれきが集まる場所。流されたがれきの上に年々、泥などが堆積し、捜索は時が経つにつれ難しくなっています。
高松さんが、何かを見つけたようです。
高松康雄さん:「衣類だったら遺骨とか出てくる可能性もあります。着ている人がそのまま流されたら、そういう可能性があるかな」「(妻は)ブラウス着ていますね。ちょっと似ているというかね」
洗い流してみると妻のものではありませんでした。
高松康雄さん:「街はどんどん新しくなって、きれいな街になりましたけどね。海の中にはまだまだがれきがあったりで、まだまだ探さないとダメだな」
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