【解説】新型コロナ×インフル“同時流行” 発熱したときの行動は? 年末年始「休診」の医療機関も
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、インフルエンザの流行シーズンに入り、すでに同時流行が始まっているところもあります。
◇インフル 3年ぶり
◇発熱したらどうすれば?
◇年末年始の医療は
以上の3点について詳しくお伝えします。
■新型コロナとインフルエンザの同時流行…医療体制の「警戒レベル」引き上げ
厚生労働省が発表した新型コロナウイルスの東京都の新たな感染者は、23日は1万7332人です。先週金曜日の16日と比べて1059人増えました。
東京都は新型コロナの医療提供体制の警戒レベルを1つ引き上げ、4段階中で最も高い「最も深刻なレベル」としました。このレベルになるのは9月8日以来、約3か月半ぶりとなります。
感染状況については、上から2番目の「感染が拡大している」を維持しています。
23日午後2時過ぎ、小池都知事は新型コロナとインフルエンザの同時流行について、このように話しました。
東京都 小池知事
「コロナとインフルエンザ、いわゆるツインデミック(同時流行)の話になりますが、定点医療機関あたり1.12となりました。1を超えると、『流行が開始しましたよ』という目安になる。これは3シーズンぶりの流行となります」
■インフルエンザ3年ぶりに流行…全国でも「休校」や「学級閉鎖」相次ぐ
東京都は、3年ぶりにインフルエンザの流行シーズンに入りました。コロナとの同時流行が非常に心配されます。
全国でみてみても、今月12日からの1週間で続々とインフルエンザの流行シーズンに入っていて、(青森や神奈川、熊本など)1都5県ですでに流行がみられています。休校や学級閉鎖なども相次いでいて、全国43の学校や幼稚園などで報告されています。(※12/12~18まで 厚生労働省ホームページより)
コロナ前、3年前の2019年と2018年の東京の(1医療機関当たりのインフルエンザの)患者数を示したグラフをみてみると、今年の伸び方とそっくりでした。2019年、2018年は1月から2月に流行が拡大していました。
加藤厚生労働相は23日の会見で、「(感染の数値が)1を超えてから6週間から8週間くらいでピークに向かって増えていく」と話しています。来年の2月にかけて警戒が必要です。
■なぜ3年ぶりに流行? 渡航者増え外から入ってくるものも
感染症学が専門の国際医療福祉大学・成田病院・感染制御部の松本哲哉先生によると、「インフルエンザは基本的に飛まつ感染なのでマスクが有効。ただ、今年は海外でマスクを外す動きが広がっているのと、海外の移動もできるようになったことで、外から持ち込まれて日本国内で流行が始まったのでは」と分析していました。
また、松本先生は、「今、日本ではマスクをしている人が多いので、コロナ前のような感染の規模には至らないだろう」と話しています。ただ、「インフルエンザに対する免疫はこの3年間で落ちていて、それが流行しやすい要因ではある」といいます。本当に用心が必要です。
■これから年末年始 医療機関が休みのところも…
発熱したら、コロナとインフルエンザ、2つの可能性があります。高齢者や基礎疾患のある人など重症化リスクがある人や、小学生以下の子どもたちは速やかに医療機関に行って薬をもらった方がよいといいます。一方、重症化リスクが低い若い人たちなどは、まずは自分でコロナの抗原検査キットなどを使って検査してほしいということです。
抗原検査キットは、東京都の場合ホームページで申し込めば、症状がある人には原則、翌日には届くということです。もし検査の結果コロナの陽性だった場合には、今まで通り各都道府県に設置されている「健康フォローアップセンター」に登録をして、基本的には自宅療養をします。万が一体調が変化したら、「健康フォローアップセンター」が医療機関を紹介してくれる仕組みです。
一方、コロナが陰性だった場合、松本先生によると、「コロナ陰性であれば受診できる医療機関もあるので、症状が深刻であれば受診する。もう1つはオンライン診療や電話による診察を受診する。これでインフルエンザと診断されたら、治療薬を家に配送してもらう仕組みもあるので活用してほしい」と話していました。
症状が出ると、「医療機関にまず行くか」となりますが、そうすると、本当に受診を必要な人がちゃんと受診できない状況が生まれるおそれもあるので、行動は慎重にしてほしいということです。
■医療機関の「休診日」のチェックを 帰省しても行動は慎重に
医療機関はどうなっていくのか。東京都の年末年始に向けた診療状況ですが、東京都は年末年始の診療・検査体制を強めるため、24日から帰省や旅行をする都民向けに、東京駅・品川駅・バスタ新宿などの主要ターミナルなどに8つの臨時の無料検査会場を設けます。(※東京駅は1月1日休業)また、12の都立病院の発熱外来では、年末年始も平日と同じ規模の患者を診療可能な体制に整えるということです。
松本先生によると、「年末年始は病院の休診が多いので、感染すると対処できない場合があります。あらかじめ、かかりつけ医の休診日などをしっかりチェックしておくことが重要です。それから、実家へ帰省したときに感染すると、難しくやっかいなことになる可能性があります。地方で感染し、その後、公共交通機関に乗るのは当然、控えた方が良いことになります。帰省や旅行をするにしても、現地での行動はできるだけ慎重に」ということです。例えば、マスクを外したまま大声でしゃべり続けたりせず、寒くても換気はしっかりと行うことを心がけてほしいということでした。
◇
これから人が集まっておしゃべりしたり、飲食したりする機会が増えます。喉が痛むなどちょっとした症状でも無理をしないでください。会食をキャンセルする、しっかり休む、そうした感染を広げないための行動が重要です。
(2022年12月23日放送「news every.」より)
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