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【解説】再び会見…“アポなし訪問”抗議に反論 「質問権」などにも言及
20日に行われた世界平和統一家庭連合、いわゆる“統一教会”の会見で、教団側は被害者の訴えに反論しました。
「“アポなし訪問”を釈明」
「元妻のインタビュー」
「初の『質問権』に反発は」
以上の3点を詳しくお伝えします。
■突然の自宅訪問を受けた男性の抗議に反論 「めったに行く機会が作れないから」“アポなし”訪問?
20日の会見で多くの時間を使って教団側が反論したのが、「元妻による高額な献金で家庭が崩壊し、長男が焼身自殺した」とメディアなどで訴えていた橋田達夫さん(64)についてでした。会見に出席していた教団の勅使河原秀行本部長が自ら、今月の16日に橋田さんの自宅に突然、“アポなし”で訪問し、取材に応じないよう求めた件です。
元妻が“統一教会”信者 橋田達夫さん(64・18日)
「『勅使河原です、橋田さんと直接会いたいと思って、直接来ました』と言って、マスクなしで来たんですよ。相手の家庭まで入るっていうことは、絶対したらいかんことなんですよ。ましてや命なんか落としてる家庭ですからね。もう全く考えていないと」
このように話して、教団側に抗議書を提出していましたが、20日、勅使河原氏は反論しました。
世界平和統一家庭連合・教会改革推進本部 勅使河原秀行本部長
「まず、私は自宅には足を踏み入れていないし、私はあくまでも扉の外にいたわけですね。それこそ、むしろお伺いしたいですけど、『一度話を聞くべきだ』とおっしゃったので聞きに行ったんですね。アポなしで訪問することが反社会的だということですか?」
勅使河原氏によると、そもそもアポなしで行く前日の15日、橋田さんに教団側から「明日お話したい」と連絡したところ、橋田さんが断ったということです。ただ、「勅使河原氏がめったに高知に行く機会が作れないから」と、断られたにもかかわらず自宅を訪問したと主張しました。
さらに、会見では、元妻が反論するインタビューの動画を作り、流しました。勅使河原氏は、「教団の名誉のため」と主張しましたが、記者からは「今回の訪問は、橋田さんに対して恐怖や困惑を与えるのでは」といった指摘が相次ぎました。
■“質問権”行使されれば…教団「誠実に対応」
また、教団の会見では、宗教法人法に定められた「質問権」についても説明がありました。今週、岸田首相が、教団に対して「質問権」を使っての調査を行うように文部科学相に指示をしました。
この「質問権」が行使されれば史上初めてで、調査の結果次第では、「解散命令請求」につながる可能性もあります。このことについて、教団は会見で次のように話しました。
世界平和統一家庭連合・教会改革推進本部 勅使河原秀行本部長
「仮に『質問権』が、実際に文部科学省、あるいは文化庁から私どもに来たときには、誠実に質問に対して対応させていただきます。このような事態になりましたことを、被害者と訴えられるみなさまと、政府関係者のみなさまに対して、心からおわびしたいと思います。大変申し訳ありませんでした」
■調査から解散命令請求までの流れは?
勅使河原氏はこのように謝罪したわけですが、この「質問権」を使っての調査と、解散命令の請求をする場合の流れを見ていきます。
解散命令を出すための要件について、宗教法人法では、「教団が“法令に違反して”、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした」ことなどが定められています。この法令違反などが疑われる場合、「質問権」を行使して、文部科学省などが“聞き取り”や、同意があれば“立ち入り”を行い、報告を求めます。政府は、「違法性などがある」と判断すれば、裁判所に解散命令を出すように請求することができます。裁判所が「妥当」と判断して解散を命じた場合には、宗教法人格が剥奪されて、税制上の優遇も受けられなくなるということです。
■岸田首相 “答弁”を一夜にして撤回 「やる気ない」と見られることを嫌った?
ただ、そもそも、宗教法人法には、「法令に違反して」と記載があるだけで、刑法とも民法とも明記はされていません。この解釈を巡って、岸田首相の答弁が一夜にして撤回されました。18日には「民法の不法行為は入らない」と述べていましたが、19日になって、「入りうる」と発言を変えました。
これは、「過度な献金や霊感商法の被害などは対象にならない」としていたのを、「やっぱり対象になるかもしれない」というふうに変えたということです。
これらについて教団は、会見で次のように話しました。
世界平和統一家庭連合・教会改革推進本部 勅使河原秀行本部長
「びっくりしましたよね。あんな一日で急に変わるんだろうかということは思いました。急に、民法が対象になるというのが、一夜にしてなったということに対しては不思議です」
これまで解散命令が出されたのは、「オウム真理教」と「明覚寺」の2つの例のみでした。いずれも、幹部が刑事裁判での有罪判決を受けていました。政府関係者によると、文化庁はこれらの過去の判例にこだわっていたということで、岸田首相は「民法の不法行為は入らない」と答弁していました。
ただ、野党の追及などを受けて、首相周辺によると、18日の夜、法務省の専門家らと協議し、「幅広い判例を含めた方がいいだろう」となり、答弁を一転させたということです。
政府関係者からは、「解散命令請求について、『やる気がない』と見られることを嫌った」という声や、ある自民党幹部からは「解散命令請求までやると思う」と話しています。また官邸関係者は、「こうなった以上、解散命令請求をするしかなくなった」と話すなど、政府・自民党内では、「解散命令請求に踏み切らざるを得なくなった」という見方が広がっています。
■「解散命令請求」ありきの流れに元信者の大学教授が疑問 「結束を強めてしまう可能性がある」
このような状況について、“統一教会”の元信者で、金沢大学教授の仲正昌樹氏は、政府のやり方に疑問を呈しています。
仲正教授は、「岸田首相自らが質問権を言いだすと、“解散ありき”の雰囲気になるので非常にまずい。信者らは、『政治的判断でターゲットにされた』、『迫害された』と受け止め、一層、結束を強めてしまう可能性がある」と指摘しています。
さらに、「解散したら終わりではない。税法上の特権がなくなるだけで、寄付や献金を続ける抜け道はいくらでもある。まずは、財務状況など教団の実態をしっかり把握して、どの教団にも等しく適用される客観的な基準を決めて、それに違反しているのであれば、まずは改善命令を出す。それでも改善できなければ、解散手続きに進むなど、信者らも納得できるプロセスが必要だ」と話しました。
◇
解散命令請求となれば、教団の現役信者や2世信者らの生活にも大きな影響が及びます。不信感だけが残るような結果にならないよう、適正で透明なプロセスが求められています。
(2022年10月20日放送 「news every.」より)
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