流産・死産を経験後、職場で困難に直面も…「必要なケアや理解を」“働く天使ママ”2人の思い|TBS NEWS DIG

流産・死産を経験後、職場で困難に直面も…「必要なケアや理解を」“働く天使ママ”2人の思い|TBS NEWS DIG

流産・死産を経験後、職場で困難に直面も…「必要なケアや理解を」“働く天使ママ”2人の思い|TBS NEWS DIG

流産や死産などで赤ちゃんをなくした人は、その後、職場で困難に直面することがあると言います。働く女性の5人に1人が流産を経験しているとの調査結果も…。働きながら“別れ”を経験した人たちに必要なケアや理解を広めたい、と立ち上がった2人の女性を取材しました。

■働く女性5人に1人が流産経験 直面する職場復帰の困難

東京都内に住む、会社員の星野よしみさん(37)。

星野よしみさん
「こちらに赤ちゃんのコーナーを作っています。今はちょうどハロウィンの季節なので、お土産にもらったチョコレートを3人分並べて」

星野さんは、赤ちゃんとの別れを3回経験しました。1回目は初期の流産、2回目は双子のうちの1人をお腹で亡くした死産、3回目は先天的な病気のため人工死産でした。

星野さん
「動きすぎたんじゃないか、無理したんじゃないかと自分を責めた」

双子のうちの1人を亡くした当時の日記には…
「心音が確認できなかった」
「涙が止まらなかった」

星野さん
「生と死を同時に体験して、現実を受け入れるのが難しい。体も思うように動かない」

死産は1年間で約1万6000人(厚労省統計より)。また、働く女性の5人に1人が流産を経験したとの調査結果もあります(全労連調査より)。

妊娠4か月以降の死産の場合、出産と同じように2か月の産後休暇を取ることが法律で定められていますが…

星野さん
「自分自身が産後休暇を使えると知らなくて、自分で調べて使えるとわかり、結果的には使って復帰したが(職場側も)誰も知らない」

赤ちゃんと別れたつらさに加え、職場復帰についても困難に直面しました。

■職場復帰への焦りから「うつ状態」に “価値観が変わる出来事”

赤ちゃんとの別れを経験した人たちがSNSでつながるキーワード、「#天使ママ」。星野さんは「働く」を加えて、「#働く天使ママ」というハッシュタグを作りました。

このハッシュタグを通じて、星野さんとつながったのは神奈川県の会社員・藤川なおさん(39)です。2017年に死産を経験、長女ののぞみちゃんを亡くしました。

藤川なおさん
「(置いてあるリラックマの人形は)娘が産まれた時の身長とほぼ一緒。18週のときに産まれた子なんですけど、身長が21.5センチで体重が210グラム。手型足型、キラキラしたものを作ってもらいました」

小さな命との突然の別れ。さらに職場への復帰に焦りを感じたと言います。

藤川さん
「赤ちゃんを失ってしまった。これで万が一仕事にうまく戻れなかったら、仕事まで失ってしまう。私にはなにも残らないという恐怖」

産後休暇を使い2か月後には職場復帰しましたが、それでも不安で席に座っていられず、資料を読んでも頭に入らない状況が続きました。家族に促され病院に行くと、「うつ状態」との診断。その後3か月休職することになりました。

藤川さん
「流産・死産は見えないことで、前と同じに見られると思うけど、本人にとっては価値観が変わる出来事」

■「#働く天使ママ」で悲しみ・悩みを共有 「次はいつ妊娠できるの?」思いがけない言葉も

SNSを通してつながった藤川さんと星野さんは2021年、働きながら赤ちゃんとの別れを経験した「働く天使ママ」の支援グループを立ち上げました。

9月に2人は横浜市との共同事業として当事者に向けた座談会を開きました。悲しみや悩みを話しやすいよう、1回の参加者は5人ほどに限定しています。

座談会でつらい体験を打ち明けた、流産を経験した秋山さん。職場は8~9割が男性です。

秋山さん
「会社の人も気を使ってくれるけど、相談することにエネルギーが必要だった。時には涙を流しながら電話先で…」

流産した際にどう休めばいいか会社側も知らず、当時は有給休暇を使って休まざるを得ませんでした。

秋山さん
「大切な人を亡くした気持ち、忌引き休暇を取っていいくらいの気持ちで。『次はいつ妊娠できるの?』とか本当に思いがけない言葉を投げかけられた。たぶん疑問に思ったのでしょうけど。寄り添ってもらえなかった」

■周りの人はどう接する?励ましではなく見守る姿勢が必要

心に傷を負うのは女性だけではありません。男性も同じです。次男の死産を経験したばかりの夫婦も座談会に参加していました。夫は1週間会社を休みましたが…

死産を経験 座談会に参加した男性(30代)
「気持ちの整理は1週間だと全然つかないので。男性に対しても心のケアが必要になってくると思う」

職場などで周囲の人はどう接すればいいのか。専門家はこう指摘します。

静岡県立大学看護学部長 太田尚子教授
「グリーフ(悲しみ)は長く続きます。人にもより個人差が大きいですが、数年単位で続くと言われています。すぐに何かしようということではなくて、励ますのではなく、見守り、共にいますよという姿勢ですね」

星野さんたち当事者が現状を伝え続け9月末、働く女性の健康に関する厚労省のサイトに流産や死産などについてのページが新たに追加されました。

星野さん
「流産死産は女性にとっては体もダメージ受けているし、心もダメージを…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20221014-6045903)

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