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【解説】新型コロナ「全数把握」見直し 高齢者・重症化リスクが高い人に限定も
新型コロナウイルスの死者数はこの第7波で過去最多となっていますが、岸田首相が24日会見し、対策の緩和などを打ち出しました。緩和でどう変わるのでしょうか。
「水際対策」
「観光客戻る?」
「全数把握“見直し”」
以上の3つのポイントについて、詳しく解説します。
■全数把握・水際対策を緩和へ 岸田首相が会見
23日、全国で新たに確認された新型コロナウイルスの感染者は、20万8551人でした。秋田、岐阜、高知の3県では過去最多となりました。東京ではピーク時から1万人以上減少していますが、その他の地方では最多、それに近い状況が依然として続いています。
全国の死者数は343人でした。1日の人数としては過去最多となりました。第6波で死者数の報告が最も多かった2月22日の322人を上回る死者数が、第7波で報告されたことになります。
ただし、厚生労働省は新型コロナが陽性で亡くなった人をすべて死亡者としてカウントしていますので、別の病気や、ケガが原因で亡くなった人、もともと重い病気だった人が新型コロナに感染し、悪化して、亡くなるケースも含まれているということには注意が必要です。
こうした中、コロナ療養期間中の岸田首相は24日、オンラインで取材に応じ、水際対策の緩和などについて説明しました。
岸田首相
「ウィズコロナに向けた新たな段階への移行について、全国ベースでの全数届け出の見直し、陽性者の隔離期間の短縮などについては、できるだけ速やかにお示しをしてまいります。水際対策については、今後さらに緩和することといたします」
現在の水際対策は外国から日本に帰国したり、入国したりする場合、「陰性証明書」が必要となります。これは、さかのぼって72時間以内のPCR検査などと決まっています。多くの場合、行った先の国で検査を受ける必要があります。
■「これでは日本へは入国できない」証明書を取り直さなければならないケースも…
5月、日本テレビ国際部の小野解説委員がポーランドから帰国する際に、陰性証明書を取得しました。現地の著名な病院で発行してもらい、「陰性」にチェックが入っていました。
ところが、現地の空港カウンターに持って行ったところ、「これでは日本へは入国できません」と言われてしまったということです。検体の採取を鼻からか、口からかの記載がないため、無効だということです。「日本は厳しいのですよ」と嫌みを言われて、急いで証明書を取り直したということです。
■厳しい日本の水際対策 ヨーロッパの主な国々“何も必要なし”
現在の日本の水際対策は厳しく、アメリカなどはワクチン接種証明書があれば、陰性証明書は不要とされています。さらに、ヨーロッパの主な国々は、何も必要ないのです。
そこで、日本も9月7日からワクチンを3回接種済みの人に限り、入国前の検査を免除するとを発表しました。さらに、1日の入国者数の上限も現在の2万人から、5万人に引き上げます。観光目的の外国人については、添乗員がいないツアーでの入国を認めることも調整しています。
こうした措置によって、欧米などからの観光客、ビジネスでの往来が活発になることが期待されています。ただ、この緩和によって、外国からの観光客が一気に戻ってくるかというと、まだハードルがあります。
現在、外国籍の人が日本に入国するには、原則としてビザの取得が必要です。アメリカ、韓国などのように以前はビザ免除措置があった国も、わざわざビザを取得する手間がかかります。
しかも、観光目的では、旅行会社などが行うツアーでしか入国が認められていないため、個人旅行の人たちには敬遠される可能性もあります。こうしたことから、「今回の効果は限定的なのでは」との指摘も出ています。
■「全数把握」見直し 重症化リスクが高い人に絞り込み
また、岸田首相は24日、もう1つの大きな変化を打ち出しました。感染者の「全数把握」の見直しです。
現在行っている全数把握の場合、すべての感染者について、氏名や電話番号、感染報告日などの情報を医師が発生届に入力しています。そして、保健所に報告するよう義務づけられています。
ただ、現在の爆発的な感染状況の中、この全数把握の作業が医療現場の大きな負担になっています。全国知事会会長の鳥取県・平井知事からも「医師や保健所のみなさんが夜を徹してまでやらないといけないのは、ナンセンスすぎる」として、見直しを強く求める声が上がっていました。
そこで24日、全数把握を見直し、高齢者や基礎疾患のある人など重症化リスクが高い感染者に絞って、細かい報告を求めることを発表しました。若い人など重症化リスクが低い感染者は、人数のみを報告します。こうしたことを各自治体の判断で選択可能にするということです。今後、全国一律に見直すことについても、取り組みを進めていきたいとのことです。
◇
水際措置にしても、全数把握の見直しにしても、こうした緩和によって何を目指すのか。本当に効果は上がるのか。その実効性と即効性が問われています。
(2022年8月24日放送「news every.」より)
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