【解説】サル痘“人から犬に感染”初確認 ペットとの接し方・注意点は?

【解説】サル痘“人から犬に感染”初確認 ペットとの接し方・注意点は?

【解説】サル痘“人から犬に感染”初確認 ペットとの接し方・注意点は?

欧米を中心に感染が急拡大しているサル痘をめぐり、新たな動きがありました。

・「人から犬にも感染」

・「公募で名称変更」

・「中国で新たな感染症も」

以上の3つのポイントについて、詳しく解説します。

■世界93か国・地域で確認 感染者は2週連続で20%増
WHO(=世界保健機関)によると、サル痘の感染者はこれまでに93の国と地域で3万7736人が確認され、12人が死亡したと報告されました。17日のWHOの会見では、先週だけでも約7500人の感染が確認されていて、2週間連続で前の週に比べて20%増加しているということです。

感染者のほとんどは、ヨーロッパ大陸とアメリカ大陸で確認されています。日本では、これまでに4人の感染が確認されていて、そのうち3人は欧米への渡航歴があり、1人は渡航歴はないものの、日本に短期滞在していた人と接触があったということです。

感染の急拡大を受けて、WHOは先月に緊急事態を宣言したばかりで、テドロス事務局長は引き続き各国に感染対策を求めています。

■感染経路は「体液・発疹」や「飛沫」
サル痘について、これまでどんなことが分かっているのか。

感染経路は、「感染者の体液・発疹に触れること」や「飛沫を長時間受けること」とされています。また、今回の感染拡大では、感染者の98.5%が男性だということです。ただ、数は多くありませんが、女性の感染も報告されています。

感染すると、発疹や発熱などのほか、リンパ節の腫れ、筋肉痛などの症状が出て、致死率は1~10%とみられています。

■「人から犬へ感染」初確認 ペットとの接し方に注意
世界で警戒感が高まる中、先週、イギリスの医学誌「ランセット」にサル痘の人から犬への感染例が報告されました。その報告によると、フランス・パリでサル痘に感染した男性2人に飼われていた、4歳のオス犬が感染したということです。このイヌは、男性たち添い寝をしていたということです。男性たち発症から12日後、イヌも腹などに発疹が出たといいます。

WHOによると、ヒトから動物へのサル痘の感染は初めてで、イヌの感染例も初めてとみられるということです。

この事例を、専門家はどうみているのでしょうか。

感染症に詳しい加藤哲朗医師は、「今後、身近なペットから感染が広がるのかどうか、注視していきたい。感染者は、ヒトへの感染だけでなく、ペットとの接し方にも注意した方がいい」と話しています。

また、アメリカのCDC(=疾病対策センター)も「今回は単独のケースで、パニックになる必要はない」とした上で、症状のある人と密接に接触したペットについては、「3週間はほかの動物やヒトから隔離しておくべき」とアドバイスしました。

■サル以外の動物 感染の可能性は…
犬以外にも、ほかの動物に感染する可能性はあるのでしょうか。

CDCのまとめによると、サル痘に感染する可能性があると言われているのは、「プレーリードッグ」、「リス」、「ハリネズミ」、そして名前のきっかけとなった「サル」などが挙げられています。今回のフランスの事例を受けて、新たにイヌも加えられました。ネコについては、18日時点でまだ分かっていないということです。

染した動物からヒトへの感染はあるのか、ということも注目されます。

■「サル痘」名称は差別? WHOが公募で変更へ
そもそもこの「サル痘」という名前ですが、たまたま最初にこのウイルスが発見されたのが、実験動物のサルだったことからきています。今、この名前を変えようという動きが出ています。

2015年にWHOは偏見や差別を避けるため、“特定の動物や国・地域などの名前を病名につけることを避けるように”という指針を出しています。

例えば、これまでも「豚インフルエンザ」と呼ばれたものがありましたが、ヒトからヒトへの感染が広がったことから、2009年にWHOは「H1N1のA型インフルエンザ」と名称を変えました。これが今では、いわゆる「新型インフルエンザ」と呼ばれています。

サル痘についても、WHOは新たな名称を公募し、協議の上で決定すると発表しています。

■中国で“新たな感染症” トガリネズミから?
こうした中、中国で新たな感染症が確認されました。

複数の中国メディアによると、今月、山東省と河南省の住民ら35人が発熱し検査したところ、「狼牙ヘニパウイルス」という新たなウイルスへの感染が分かりました。

このウイルスは、トガリネズミという小動物から検出されることが多く、患者らは何らかの形でこの小動物から感染したとみられています。

感染者の多くが発熱のほか、倦怠(けんたい)感やせきなどの症状がみられるということです。これまでに死者や重症者は出ておらず、今のところヒトからヒトへの感染は確認されていません。

加藤医師はこれについて、「パニックになる必要はない。ただ、ペットではない野生の動物は、様々なウイルスや細菌などの病原体を持っていることがある。そこから感染症になる可能性があるので、注意した方がいい」と話しています。

    ◇

新型コロナウイルスも最初に見つかった頃は、「ヒト―ヒト感染」のリスクはそれほど認識されていませんでした。サル痘も、中国で見つかった新たなウイルスも、最新の情報を確認して、それに見合った感染対策をしていくことが求められます。
(2022年8月18日放送「news every.」より)

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