【タリバン政権】女子教育の機会奪われたアフガニスタン 「夢を絶対に…」少女の訴えは

【タリバン政権】女子教育の機会奪われたアフガニスタン 「夢を絶対に…」少女の訴えは

【タリバン政権】女子教育の機会奪われたアフガニスタン 「夢を絶対に…」少女の訴えは

アフガニスタンでイスラム主義勢力・タリバンが再び実権を握ってから、まもなく1年です。この1年で女性を取り巻く環境は劇的に変わり、教育の機会も奪われたままです。学校に通えなくなった女子生徒たち、そして彼女らを支える女性が、苦しい胸の内を明かしました。

    ◇

今月、NNNのカメラはアフガニスタンの首都・カブールへ入りました。

平山晃一記者
「カブールでは、街の至る所で『タリバン』による検問が実施されています」

テロを繰り返していたイスラム主義勢力・タリバンが、今は街の治安を守る存在になっていました。

こうした中、カブールに住む12歳の少女・スーサンさんを訪ねました。すると、スーサンさんは日本語であいさつをしてくれました。

スーサンさん(12)
「おはようございます、こんにちは。わたし名前はスーサンです」

日本語であいさつした後、はにかんだ表情をみせるスーサンさん。父親の留学の関係で、小学校1年から3年まで日本の小学校に通っていました。「宿題忘れゼロ賞」と書かれた賞状や日本語で書いた作文などを見せてくれました。

スーサンさん(12)
「宿題がとても大変でした。でも、日本の先生たちはとても優しく教えてくれて、励ましてくれました」

しかし帰国後の去年8月、タリバンがカブールを占拠し、実権を掌握。タリバンは、いまだ女子の中等教育再開を認めておらず、スーサンさんと姉のマスーダさんは、学校に行けない日々が続いています。

スーサンさん(12)
「学校に行く代わりに、テレビを見て勉強をしていますが、将来がとても不安です…」

今年3月には、「女子の中等教育の再開」がアナウンスされましたが、当日に突如、撤回されました。

スーサンさん(12)
「学校に行って、イスに座って先生を待っていたら、帰るよう言われました」

顔を曇らせ、涙をぬぐうスーサンさん。夢の実現のため、「一日も早く学校に通いたい、教育を受けたい」と訴えます。

スーサンさん(12)
「母の夢でもあった『看護師になる』という夢を、絶対に実現したいです」

    ◇

こうした現状に立ち向かう動きも出てきています。

平山晃一記者
「こちらの場所では、学校に行けない少女たちを対象にした授業が行われていて、イスに座りきれず、床に座っている子たちもいますね」

元教師の姉と大学生の妹が、40人ほどの女子生徒らに、ひそかに授業を行っていました。いわば“秘密の学校”です。

元教師の姉
「『これは机です』と英語で言ってください」

生徒
「This is a desk(これは机です)」

女子生徒たちは、真剣に授業に取り組んでいました。

“秘密の学校”に通う女子生徒(12)
「将来は医者になって、この国の人を助けたいです。勉強を続けないと、夢をかなえることはできません」

タリバンが再び支配するまでの自由なアフガンを生きてきた元教師の姉は、この1年を次のように振り返りました。

元教師の姉
「この1年間で、女性たちは精神的に多くのダメージを負いました。仕事も勉強も何もかも制限されるようになりました。私たちアフガンの女性は、これからも戦い続けます」

タリバン暫定政権は、「準備が整えば、女子の中等教育を再開する」としていますが、今も少女たちの教育の機会は奪われ続けています。
(2022年8月12日放送「news every.」より)

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