【解説】大雨・水害への備え 防災に役立つ便利グッズも紹介
21日、九州などで雨が強まり、鹿児島では土砂災害の危険が高まっている所があります。梅雨の終わりが近づく7月上旬には、毎年のように豪雨災害が発生しています。大雨の備えをわかりやすくお伝えします。
「梅雨前線が活発」
「7月上旬に“集中”」
「備えにナビも」
以上の3つのポイントについて、詳しく解説します。
■豪雨災害の条件がそろいやすい7月上旬
21日、鹿児島県肝付町内之浦で1時間に68.5ミリ、長崎県脇岬で62.0ミリの非常に激しい雨を観測しました。
21日午後には一時、鹿児島県薩摩地方などで大雨警報が発表されました。そして、東京都でも伊豆諸島の青ヶ島で、21日午前5時半までの1時間に約110ミリの雨が降ったとして、記録的短時間大雨情報が発表されました。
21日夜は、東海地方周辺でも激しい雷雨となるおそれがあり、土砂災害や河川の増水などに注意が必要です。
本州は梅雨真っただ中ですが、これからの時期が1年で最も豪雨災害が発生しやすくなります。
ここ数年の豪雨災害を振り返ると、7月上旬に集中しています。2021年に大規模な土石流が発生した静岡県熱海市の豪雨も、7月3日でした。また2020年、熊本県の球磨川の堤防が決壊したのも7月4日でした。さらに2018年に発生した西日本豪雨も、6月28日から7月8日でした。
なぜ、7月に災害が多く発生するのか。シンプルに言うと、「梅雨前線の影響」です。
7月上旬は梅雨の最盛期で、梅雨前線が本州付近に停滞することが多くなります。すると、本州付近に雨雲のもととなる湿った空気が流れ込み、積乱雲が発生し、大雨の原因となります。7月上旬は、この条件がそろいやすいということです。
■1時間に50ミリ以上の雨 地下街などに雨水が流れ込む場合も
さらに、雨の降り方も、年々強くなっています。
国土交通省の資料によると、1時間の降水量が50ミリ以上の雨について、10年ごとの平均回数は、1976年から1985年までは「平均226回」、2012年から2021年までは「平均327回」と、約1.44倍に増加しました。
日本気象協会「tenki.jp」による実験映像によると、1時間に50ミリ以上80ミリ未満の雨を観測した場合、滝のように雨がゴーゴーと降り続きます。傘は全く役に立たなくなり、水しぶきで辺り一面が白くなります。
1時間に50ミリ以上の雨が降ると、都市部では地下室や地下街に雨水が流れ込む場合もあります。また、東京では一般的に50ミリを超えた場合、下水道管があふれやすくなるため、東京都は豪雨に強い下水道整備も進めています。
■ハザードマップを事前に確認 心の備えを
どのタイミングで避難すべきか、大切なので整理します。
「大雨警戒レベル」は、5つの段階があります。最も危険が高いのはレベル5で、「命の危険」があることを示します。このレベル5が、住民に命を守るための最善の行動を強く求めるものです。
このレベル5相当の情報となるのが、自治体からの避難情報は「緊急安全確保」、雨の情報は「大雨特別警報」です。レベル5になってからの避難では、遅いことになります。
1つ下のレベル4のうちに避難を完了しておくことが、とても大事です。ハザードマップを事前に確認し、心の備えをしておきたいです。
■家庭ごとに必要な備蓄品リスト表示「東京備蓄ナビ」
備えについて、東京都は「東京備蓄ナビ」という便利なサイトを作成しました。
「同居人の人数」「年代」などを入力し、住まいについて戸建てかマンションかを選択すると、家庭ごとに必要な備蓄品リストが表示されます。
例えば、大人2人・子ども2人でマンション住まいの場合、1週間分で、飲み水76リットル、レトルトご飯76食、トイレットペーパー9ロール、簡易トイレ140回分…などが必要となります。
ただ、あくまでもこれらは最大限の必要量で、すべてそろえないといけないというよりは、この中から各自、準備の参考にした方が良いと思われます。
■“防災に役立つ”アウトドアグッズを紹介
さらに、コロナ禍のキャンプブームを受けて、家にある「アウトドアグッズ」も防災に役立ちます。どのような物が便利か、アウトドア防災ガイド・あんどうりすさんに聞きました。
・ヘッドライト
手持ちの物より両手が空けられて、便利です。LEDタイプが電池消費も少なくなり、おすすめということです。
・ウオーターシューズ
長靴は中に水が入ると重く、流されやすくなります。ウオーターシューズなら、軽くて水の中でもすべりにくいということです。ただし、浸水してからの避難は危険なので、やめましょう。
・おりたたみ座布団
断熱性があり、手のひらサイズの物もあります。避難所の床冷え防止にもなるということです。
・防水バッグ
最近では、300円ぐらいから売られています。スマートフォンを入れれば、雨から守ってくれます。災害時には、水くみにも利用できるということです。
◇
九州南部では22日にかけて雨が続く予想で、土砂災害の危険度が高まっている所があります。安全の確保を最優先しつつ、避難する場合は、早めの避難をぜひ心がけてください。
(2022年6月21日放送「news every.」より)
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